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月影のエレメンター~五神祭編Ⅱ~  作者: ハイエナ=エレメント
第一章・迷宮
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論証の迷宮・第二話

小松正也こまつせいや

 中二病は山滉穎やまこうえいに次ぐが、勉強における記憶力は非常に良い。魔境に来てからは金属の扱いを得意とし、特に近代兵器の製造は群を抜く。そのため、南半球に位置する社会主義国家に交換留学生としてイオパニック後、学びに向かった。




小栗臥龍おぐりがりょう

 属性影響による音属性の攻撃を得意とするが、バリエーションに乏しく、攻撃方法が単調なのが悩み。滉穎こうえいさとしとは旧知の仲で、魔境に来てからも行動を共にすることが多い。数学や理科が得意ということで、玄羽くろう=ヴァトリーや滉穎こうえいに物理を学ばされた結果、力任せの振動攻撃ができるようになった。




木村捷きむらさとし

 木属性の扱いを得意とし、マナタイプとして平均的に全ての魔法が扱える。つまり、器用貧乏ということだが、玄羽くろう=ヴァトリーにはその点を評価され、滉穎こうえい臥龍がりょうのサポートとして力を発揮している。現在は、電気属性取得に向け、精神世界に接続できる迷宮に挑戦しようとしている。

 クロノス暦4096年、イオパニックも収束に向かい、五神祭一ヶ月前となっていた。これは、後の大戦(アポカリプス戦争)を終焉しゅうえんに導かせたエレメンターの軌跡である。




 フレア帝国北東に位置する論証の迷宮に向かう一行がいた。

 山滉穎やまこうえいを筆頭とする五神祭団体戦のトイラプス帝国βチームである。メンバーには、小栗臥龍おぐりがりょう木村捷きむらさとし稲垣翔祐いながきしょうすけ松尾冬輝まつおとうき川相希望かわいのぞみ林佑聖はやしゆうせい、召喚者の中で実力上位七名が選ばれていた。


 ちなみに団体戦の内容を説明すると、5人1チームとなり、トーナメント形式で行われる模擬戦である。1on1勝ち残りで戦闘を繰り広げる実戦を意識したものとなっている。五神祭の初日から三日目にかけて行われる人気の種目だ。

 しかし、出られるのは政府機関に所属する上位のエレメンター、十五から二十歳だけである。

 優勝すれば、その国が今後の共同研究において、主導権を握れる。つまり、トイラプスであれば「雷」、フレアであれば「炎」といった強化属性の研究が促進される訳である。共同研究では、聖教会の助力があるため、優勝は全ての国が狙い、強者を送り込む。

 それ故、毎年白熱した戦いが見られるのである。




 そして、今回は玄羽くろう=ヴァトリー、特別諸般対策考案部隊(SVMDF)がその任を受け、この七人がβチームに選出された。普通は魔省の役割であるが、SVMDFの優秀さをかんがみた結果、異例の事態となった。

 しかし、肝心の玄羽くろう=ヴァトリーやその父である宰相は、皇帝の留守を預かることとなり、滉穎こうえい達の監督にルクス=カンデラが就いた。




 滉穎こうえい達は、迷宮へと続く獣道と言える狭い道を歩いていた。辺りは杉の木が植えられているが、まるで人が整えているかの様に整然としていた。

 滉穎こうえいを先頭に一列で進めるβ(ベータ)チームは、車酔いも重なり、疲れを溜めていた。さとし滉穎こうえいに、

「なあ、やま

 酔いのダメージを一番受けた捷は、弱々しく声を出した。

「何だ? 木村きむら

「まだ着かないのか? その論証の迷宮とやらには」

「もう少し、地図によるとこの大森林を抜けた先にある。あと500メーターぐらいかな」

 滉穎こうえいは手に持っている地図を捷に渡すと、先に見えて来た灰色の洞窟を指差した。

「いかにもダンジョンらしい所だな。あの入り口前で休憩しないか?」

「そうだな。皆かなり疲弊ひへいしているようだし」




 滉穎こうえい達は、迷宮前の平地で休憩を取ることとなった。彼等は手慣れた様子で野営の準備を整え、酔った者達を寝かせていた。平気な者達は迷宮探索への下準備を進めていた。

    

 迷宮とは、8000年前から7000年前の魔境で最も盛んに造られた、言わば遺跡である。神々が残した人類またはエレメンターへの最後の贈り物であるとされている。

 そこから出土または出現するものは、プライスレスなものが多く、オーパーツも確認されている。そんな迷宮への挑戦は、エレメンターとしての強さを計ると同時に、新たな武器を手に入れることができる機会なのだ。

 しかし、挑戦することへの代償は大きく、基本的には出血する程度の外傷で済むが、死が伴う迷宮も少なくない。そのため、迷宮税がかけられ、無謀な挑戦を抑止している。


 論証の迷宮は、守護者と呼ばれる魔力で生成される、所謂いわゆるモンスターがおらず、知恵が試される種類の迷宮のため、危険性が低い。

 だから、迷宮税がかかっておらず、金欠の彼等が挑戦することとなった。


「ここってさ、管理者いないんだっけ?」

「そうみたいだな。まあ、そもそも創作者不明の迷宮で人里離れているからな。いないのも仕方ないだろ」

 希望のぞみの疑問に対して、滉穎こうえいが即座に答える。

「管理者って言ってもさ。それは厳密に言うと誰なんだ?」

 佑聖ゆうせいがその話を聞いて、会話に入ってくる。

「ああ。管理者には大きく分けて二つの組織があるな。聖教会と自由組合、この二つ。前者は公的機関、後者は国際的な私企業、法人と例えれば分かりやすいかな。聖教会は迷宮から生産される物品と、高い迷宮税等が主な資産になっているらしいし、自由組合も依頼がない時は探索中心に稼いでいる。まさに異世界だな」

「なるほど。ここに管理者がいないのはなぜだ?」

「いや、正確には聖教会の所有物だね。ただ、人里離れている上に危険性も低いから、という都合からだろ。それに、どうやらここは魔力を自動的に取り込んで、稼働しているしな」

「そうか。やまは本当に色々知ってるな!」

「ありがとう。“オンライン”様様だな。非戦闘系の型だけど、便利過ぎる上に戦闘時も結構役立つし」

 ここで、さとしが起き、滉穎こうえい達に歩み寄って来た。


「俺達も回復したし、早く行こうぜ。迷宮制覇してやる」

 さっきまで溶けたスライムの様な状態だったとは思えない程、テンションが上がっていた。やはり、日本男子だ。迷宮、ダンジョンと聞いて胸が躍らない訳がなかった。当然、異世界好きの滉穎こうえいも例外ではなく、

「ああ。楽しみだな」

 最後、体を震わせて笑い、口角を上げるのを見て、彼のスイッチが入ったのを全員が確認した。こうして彼等は論証の迷宮攻略を始めた。

マナタイプ

 魔力を形にして、放出する複雑な構成のタイプ。他にも、操ったり、変形させたりすることができる。五気1つに付き裏属性があり、これは五神の試練に打ち勝ち、認可されなければ使用できない。

 属性を2〜4使用できる者を「フォース(Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)」と呼び、五属性の使用は、「コンプリートマナ(完)」と呼ばれる。範囲魔法、攻撃魔法を得意とする者が認められやすい。使用する際は魔法陣が現れる。魔法陣の色も五気によるもの。

 マナの漢字表記は「外」。


・コンプリートマナ(完)

 魔境において、皇帝、帝王になる例が多い。その時、「極」を将軍とする例が多数。


・具現化

 五神または他の鬼神に認められることにより使える。五神、鬼神を魔力によって具現化し、自身が契約した魔導生命体(精霊)との連携で戦う。具現化された鬼神は、魔法で起こした現象のみ通じる。

 また、具現化は、強い事象干渉力により、気象を変化させる。五神の場合は、青龍は「雷雨」、朱雀は「快晴」、麒麟は「砂嵐、磁気嵐」、白虎は「台風(サイクロン、ハリケーン)、竜巻」、玄武は「雪、霰、雹」となる。

 また、具現化精霊は実体を持たないため具現への物理的攻撃は透過される。具現時間は、魔力量に比例する。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定がよく練られている。 [一言] ○漢字が多い。それにより、内容を入りづらくしている。 ○行間が詰まりすぎているせいで読みにくい。行間を開けて欲しい。
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