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貴様等まとめて地獄に堕ちろ!

髭の男達と別れ俺達は無言のまま丘を下り、白い煙が上がっていた人だかりを見つけた。

外回りを男の冒険者や兵士が中を覗こうと背伸びやジャンプしており、その視線を遮るように背丈の高い重そうな鎧を着た騎士らしき男達が剣を片手に野次馬を睨み付けている。


「・・・なんだアレ?」

「ここからでは見えませんね、もっと近くに行きましよう」


別に話を振った訳ではなかったのだが俺の呟きにガルディが答え2歩前をスタスタ歩いていき、それをゆっくり追って行った。近くに来ると見える訳でもなかった。

冒険者はともかく騎士の背丈が俺よりもまだ高く、それが横並びしているので異様な光景の様に思え、中で何をしている?という疑問だけ強くなっていた。


「カルディお前は下がってろ、これは俺達の問題だ。この世界人の意見は取らん」

「勇者様・・・」


俺達の問題・・・実際はそんな小さい問題じゃない、この世界の人間側は魔王やつを殺すか家畜えさになるかその2択を迫られている。俺ももしこの世界の出身であれば今の様な思考はないだろう。


「おい!勇者が居るっていうから参加したのに、人の女奪って何様じゃテメェ!!」

「お前らだけイイも思いしゃがって!こっちとらもう4日も酒飲んでねぇんだよ!こんな依頼破棄してやるからな!ぶっ殺されなかっただけ有り難く・・・」


「貴様等目障りだ殺せ・・・ハンハンハン・・中に出すよ」「やめて、それだけは・・痛い!ハンス!」


2人の若い冒険者風の男が騎士の壁を突破しようとして取り押さえられ、1人がそれを振りほどき騎士向かって唾を吐き怒りの表情で喚くと、騎士の背後から感情の無い声が騎士に命令を飛ばし女の悲鳴が続く。


「ハンナ!テメェ等王国はむかっしから腐ってると思っていたが!それが勇者のすることかぁ!!」

「黙れ!貴様等を反逆者とみなし即刻処分する!」

「お前ら騎士も同類だ!このクズ共が!!」


「我々王国騎士団を侮辱するなど、あの女も後で処分することにする」

「貴様等ぁぁぁあ!!!」


これまで相当の不満を溜め耐え忍んできた冒険者達が目の前で行われている惨事に抗おうと、それぞれが武器を構え騎士等と向き合う。

冒険者二十数人に対し騎士は十数人、個体の戦闘力も集団の戦闘力を圧倒的劣っている。このまま見ていてば全員殺されるだろう・・・それは困る。


「やはり亜人女はすぐにくたばるな、俺達の子供を孕みたくないのか?この勇者の子を、ゴミめ」


冒険者の男達と騎士が斬り合っているときにふと耳に入ったその言葉に軽いイラつきを覚え、近くで冒険者と死闘を繰り広げる騎士を蹴り吹き飛んだ先の騎士も巻き込み地面に転がった。


「手助け、感謝する」

「たまたまだ、お前らが死のうが生きようが俺には関係ない」


騎士2人を軽く吹き飛ばした男の登場により優勢だった騎士達に戦慄が走る、息を切らし肩を大きく上下させている冒険者に礼を言われ冷たく突き放す。


「退け雑魚共、俺はそこの勇者ごみに用がある、邪魔をするなら手加減はしない」


俺に吹っ飛ばされた騎士はこの中でも大柄な方だった、死んでもらっても困るので吹っ飛ばすだけに止めたが、あまり沸点が高い人間では無いので釘を刺しておく。


「何をしている!そいつをとっとと殺せ!勇者様のご命令が聞けないのか!!ひぃ!」

「お前が司令塔か・・少し黙れ」


それでも頭の悪い人間は居るようで偉そうな騎士が周りに指示を出し自らも剣を構えるが、騎士が落とした剣を手に持ちそれを投げつけ分厚い鎧と胴を貫通し倒れた。

騎士等は標的を冒険者から俺に移し8方から逃げ場を阻む様に足並みを揃え、じりじりとにじり寄って距離を詰めるその様子に飽きれ額に手を当てる。


「言葉が分からないのか?降伏しろと言ったつもりだったのだが」

「今だ!掛かれ!」


誰かの掛け声で騎士等が一斉に走り向かって来る、剣を振り下ろされ棒立ちのままそれらを見つめる。

いくつもの剣が振り下ろされ先が肌に当たり鈍い感触が伝わっていく。


「この程度か?」

「なん・・だと・・!?」

「無防備で受けてこのザマか・・どこの番隊かは知らんが、アルインのところに比べ動きも技も大雑把すぎる、お前らの方こそ身の程を弁えろ雑魚共が!」


全ての刀身が体のどこかに接触し一部血が滲んで流れる。

ただの力技で繰り出された剣技はこの身を傷つけるだけに留まった。

そして再び剣を引いて剣技を放とうとしている騎士共に1撃ずつ拳と蹴りを叩き込み、一番近くに居た数名が白目を剥いて地面に伏した。

一瞬で味方がやられた騎士共は何がどうなっているのか理解できないっと言いたげな表情で俺を見ていた。


腑抜けを殺さずに戦意喪失させ半裸で複数の全裸女を嬲っている勇者ごみに近寄ると、転がっていた冒険者風の女がズボンを掴み暴行を受けたであろう顔を上げ


「助けて・・・お願い・・・死にたく・・ない」

「悪いが今は忙しい」


助けを求められるがしゃがんで左手を女の顔の前に出し体を治療する、そしてその女は眠った。

再び立ち上がりゴミを見る、騎士等が懸命に守っていた間もゴミ共は体中に青痣が浮き上がっている無反応な女に腰を振っている、さっきハンナと呼ばれた女も今は微動だにせず顔が半分土に埋まっていた。


「一回やめろ、そして俺の話を聞け。トケカガミで国民を置いて逃げた勇者様方、こんなところでこんなことして恥ずかしくないのか?」


「僕らは勇者だ!僕らが死ぬとこの世界は終わるんだ!都市の1つや2つでどうして僕らが命を懸けて戦わなければならない?君ら平民がどれだけ死んでも大した痛手にはならないと王に聞いた」


行為をやめることなく顔も合わせることをせず、ただひたすらに。


「そんなことは聞いていない。戦場で今ここで、こんなところで女性を暴行して恐怖を与えて己の性欲を満たしてそんなもんが勇者なのか?いやお前たちは本当に勇者なのか?昔のお前はそんなに終わっていなかった、いつからそんなふうになった?」


「僕達は紛うことなき無き勇者だ!王様も姫もみんな僕らをそう祝福してくれる!お前の様な冒険者が僕らの存在を否定するな!」


人の方を一向に見ようともしないのだがそろそろいいか


「やめろと言っているもうそいつは死んでいる、死んだ女も孕ませないと気が済まないのか?オーガ以下だなお前らは」

「うるさい!こんな不良品を使ってやってるんだ、感謝されても貶されるいわれはない!」


冒険者の女を不良品と言い死に至らせ謝罪の言葉もない、だがそこまで怒りは湧いてこない。結局同じ穴のむじな俺もそっち側の人間。


「動くなそこの冒険者!この女がどうなってもいいのか!?」

「無駄なことを・・」


誇りはどこに消えた?騎士の一人がカルディの首元に刀身を当て笑っている。

目を閉じため息を吐く、形勢逆転とでも思っているか?お前が捕まえている女は一国を滅ぼせる力を有している、そいつは動く自爆弾。殺すことが出来るのは俺かそれこそ魔王位だ。


「カルディそいつを始末しろ・・・苦痛を与えもがき苦しませ自決も出来ない様にしろ」

「畏まりました」

「誰が勝手に喋っていい・・と・・!熱い!なんだこれは!?この女俺に何をし・・グギャアァァァッァァァァ!!ダ・・ズ・ゲ・・・」


カルディを捕らえていた騎士の体が発火し鎧や剣もドロドロと溶け、火柱がその男を包み燃え尽きた。


「完了いたしました、次はどなたです?」


カルディを抑えたことにより余裕を取り戻していた騎士等の顔がまた絶望に染められ、武器を捨て腰が抜け無様に体を引きずってこの場から離れようとしている。

けれどもそれらにゆっくり近づき体の一部に触れ1人2人と炭になり果てて行く、屈強な精神をしているはずの騎士が現実を受け入れず精神崩壊を起こし糞尿を垂らし笑い壊れた、流石にやりすぎだと声を挙げる。


「カルディもういい!それ以上は殺すな!」

「・・・ユウタ様は甘いです、男など生きる価値もないのです。殺してしまった方が世界は綺麗になるのです」

「やめろ!と言っている!俺の言う事が聴けないのか!!」

「・・・・畏まりました」


声を荒げ怒鳴りつけると次の騎士に触れる一歩手前で停止しそれらに背を向けこちらに歩いてくる、無表情のまま制止をかけた俺をも殺してしまおうと考えていそうだ。

だがカルディはそのまま体に抱き付いて背中に引っ付いた


「こういう時は命令するんじゃなくて、ギュってするものですよ。私も女の子なのですから」

「お前は遥か年上だろが・・」


「この人殺し!何をやっている、早くこいつを殺せ!おいそこの冒険者さっさとしろ!!勇者の言う事が聞けないのか!!」


状況に合わないツッコミは流され体を絞める力だけが強くなる、目の前で行われたこと受け入れることが出来ずにいたのは勇者も同じことで腰を振るのをやめ、衣を羽織り白い剣を構え後ろにいるもう一人の勇者と勇者に不満を爆発させた冒険者に助けろ、と命令するが


「誰がテメェ何かに!兄ちゃんその悪魔を殺しちまぇ!そっちの姉ちゃんも遠慮は要らねぇ!」

「・・・・・・」


冒険者達からは罵倒を飛ばされもう一人の勇者は他の事に夢中になっている。

助けがなく目の前には騎士すらも敵わない冒険者が2人、普通の人間なら諦めて人生終了するところだが目の前の男は始末が悪かった。


「僕は・・・僕は勇者だ!!!僕が負ける訳無いんだ!!」

「自らの力に慢心し鍛錬を怠ったお前に、いや勇者に俺が負ける訳ないだろう」


気迫だけで剣を振りかざし上から下に振り斬った、カルディがくっ付いて素早く動くことが出来ず髪が何本か宙に舞う。背中の荷物を置きたいのは山々だがそれじゃ意味がない、この女は囮にしたくない。


「モドキ3倍!」

「グゲェ、ギザマァ!」


身体を強化した途端、勇者の動きがスローになりそのがら空きなった腹部に重い一撃をめり込ますと、剣を落とし鳩尾辺りを押さえうずくまり憎い醜い感情を隠すことなく曝け出し叫んだ。


「この程度か・・・それでも無いよりはマシかもしれん」

「ユウタ様・・・それは・・


心もとない・・・そいつの実力は大したこと無かった。

人間レベルではズバ抜けているだろうがそれは物差しが違うからだ、人間レベル・・そこらの騎士が強者と分類され勇者と呼ばれる人物が最上に位置する。

その物差しではない勇者としてのだ、魔王が3000より高い戦闘力を有している以上俺の全力と互角位ではあって欲しかったが、仕方の無いことだと諦めた。


息を整え勇者を見下ろし手を差し伸ばす


「俺と一緒に来い、共に魔王を倒す。お前達が俺にしてきたことは水に流そう、そして心を入れ替えて使命を果たしたいのなら、この手を取れ俺達が協力すれば必ず魔王を倒せ・・・」



「お前の様な奴は知らん!身分を弁えろ下級貴族の分際で俺達に命令するな!魔王は俺達が倒す!貴様の様な者に手助けされる覚えはない!!」


もう一人の勇者が2本の大剣を携え死体を跨ぎうずくまっているそいつの横に並ぶ迷彩服の野郎、片方の剣を俺に向け話の途中で言い放ちそれを聞いて


”ああ、またか”と・・



「俺の事を忘れたか・・・この国に召喚された勇者は3人居た・・・お前らが何故日本食をこの世界で食えるか不思議に思わなかったか?それは俺が城の料理人に教えたからだよ、大臣が覚えていたんだお前らもそうであってほしかった」


双剣の勇者は首を傾げるだけで完全に忘れているようだった。


「そうか、忘れたか。神白勇磨・西京龍夜、俺は今だに覚えているというのに」

「知らん!勇者は俺達2人だけだ!いい加減にしなければ貴様を殺すぞ?」


空を見え上げ両手で顔を覆いこれで日本人が完全に敵対したことに嘆いた、そして諦めたこの世界は平和になることは無い。


「わかった、もう頼まんよ。そして貴様等からの頼みももう聞かん。散々王族の一員として良い思いをしてきたんだろう・・・貴様等に残された俺の気持ちは全部知らん存ぜぬか」


「姫や陛下には恩義がある、反逆者になりかねん貴様をこのまま生かしては還さんぞ!!」


「生かしては還さん?そうか・・ではやってみるがいい、温室育ちタイプと現場叩き上げタイプどちらが勝っているか!界王拳モドキ4倍・・・だ」

「あまり無理はなさらないで下さい」



実力で仲間にするかこのまま1人で行動するか・・・考え答えを出す。

西京だったか?武人のように黒と金色の剣を構え、王族の生活に慣れ浸ったおかげであの頃とは違い太っているようにも見える。

一度解いた強化を再び3倍まで上げ少々時間が掛かったが4倍に成る、体が発熱し血管が強く脈打ちより大きく筋肉が膨張する。


「いくぞ!おりゃぁー!!」

「・・・・・」


「おい!放せ!卑怯だぞ!!」


ただの突進の様に向かってくる西京だがその動きはほぼ止まって見え、目の前で振り下ろされた双剣を素手で掴み両掌から赤い筋が落ちる。

剣をどうにかして引き抜きたいようだが押しても引いてもビクともせず、卑怯呼ばわりされたので両手の力を抜きバランスを崩し後退したところを思い切り蹴り飛ばすが、剣を地面に突き立て勢いを殺す。


相当切れ味の良い剣のようで、まさか強化した体を傷つけられるとは思っておらず眉を顰めるが、一度握りしめ気を集中させると傷は塞がった。

今ので肋骨の2,3本逝ったのだろうか?うずくまり中々立ち上がらない、ふと背中の荷物が気になり顔だけ後ろを向く。


「おい、暑いだろ?空にでも浮いて居ろよ」

「いいえ、大丈夫です・・・が、前危ないですよ」


「戦闘中にどこ向いてやがる!!!」


カルディに忠告されるのと同時に近くで声が聞こえ前を見ると目前に黒い物迫っていた、それは顎に直撃し強く頭を揺さぶり後ろに倒れそうになるが荷物カルディのおかげで踏み止まり、何が飛んできたのかを確認するが球体の様な物は見当たらず首を傾げると


「膝蹴りですよ、私の事はいいので勇者アレを早く半殺しにしちゃってください」

「ああ、膝蹴りか・・・」


よく見れば西京が右膝をかばって立っているのが分かった


「もう一度だけ聞く・・これが最後だ。俺と一緒に・・・」

「断る!誰が貴様の様な下級人種に!!」

「・・・・・・」


さっき決めた決意が早くも揺らぎ最後の確認を取ろうとしたが、言い終わる前に一蹴りされ押し黙った。


「殺してやる!俺のユウマを傷つけた奴はどこの誰だろうと殺してやる!!」

「じゃさっさとしろよ雑魚が」


怒りを露わにしたそいつは痛みの事など忘れて、我も忘れて襲い掛かってきた。

だが多少のパワーアップを今更したところで戦闘力の差は埋められず繰り出される攻撃をすべて避け、剣を弾き足をかけたことにより隙が生まれ、胸と顎・首と横腹に1撃ずつ入れ気絶した。


「止めを刺しましょう!殺しましょう?ね?男なんかみんな殺しちゃいましょ?」

「男という括りだと俺も入るな・・」

「いいえ、ユウタ様は”漢”ですから殺しません、出来ませんしね」


「イントネーションの違いか・・・にしても怖いこと言うなお前」

「そうですか?普通だと思いますが」


どこの世界に”勇者殺しましょう”って笑顔でいう女が居るんだ?それどころか性別が違うだけで抹消されたんじゃキリがねぇ。


「結局こいつ等も人並み外れた力を持っている、むやみに殺しても良いことは無いだろう」

「そんなもんですかねぇ?」

「コレよりの目の前のアレをどうにかするのが先決だろう・・・」

「そうですね・・・じゃぁ・・・あ・・・」


肩の荷物カルディが下りたと同時に強化を解き、目の前に広がっている黒い蠢くそれらに対する方法を考えようと振り向いた時、カルディが何か言おうとしてその後に地面に重い物が落ちた鈍い音が聞こえたのと、同時に黄色い光がすぐ脇を通って蠢くそれらの前線に落下した。


「ギィアハハハハハ!!僕らに逆らった奴らはみんな死じゃえ!ギャアハハハハッハ!!」


気が狂ったように笑い声を上げ振り向いた時にカルディの右胸に風穴が開き、どす黒い液体が体を守るように広がっていく。


一瞬こいつが不死であることを忘れ去るほど怒り狂い目頭が熱く脈打ち握りしめた掌から血が滴り、4倍の上を往く5倍モドキに相当する気力が無意識の中に放出され、懐かしい師匠ドラゴンさんを思い出し記憶を辿り・・行き着いた技スキルを発動する。


「貴様・・許さんぞ・・・最大咆哮のさらに上位・・・・”竜咆哮”!!!」


目の前の勇者だけでなく壊れた騎士も犯し殺された死体も見守っていた冒険者も、その常軌を逸した一撃により半円状に何百メートルと飛ばされその範囲にあった木々や草花も同じく大地から抉り取られ、発動者オレとカルディの居る場所以外は地肌が露わになっていた。


「おい、カルディ!しっかりしろ!」

「・・・私が死んじゃうと思いました?」

「・・・・・え?」


「クスクス・・今のは素ですよね?でもそういう風に思って下さっていたのは、本当に意外でした」

「・・・俺はお前に一杯喰わされたという訳か」

「はい、クスクス」


倒れたカルディの体を揺さぶり叫ぶといつもの感じで返答が戻ってきた、唖然と脳の整理が付いてこなく間抜けな声を漏らし、血だまりから身を起こし伸びをして俺の顔を真っ直ぐ覗き込みやっと状況を思い出し頭を抱えたくなった。

吹っ飛ばされた冒険者たちが命からがら土砂から身投げだし、それを見たカルディが片手で土砂を浮かせもう一方の手で埋もれていた被害者を引き出した。


「この騒ぎの主犯は貴様かぁ!!?カルデディア様?そのお怪我は!!」

「今の爆発は兄ちゃん達がやっちまったのか?」

「勇者様!勇者様は何処へ!!」


咆哮が起こした衝撃波と爆発音により、丘の上に居た女騎士様と髭のおっさん等と遅れて兵士が転がるように駆けつけ、現状を見るなり女騎士と兵士が怒鳴り散らしおっさんらは呆れていた。


「私は大丈夫です、今の衝撃音は敵魔族が放った爆裂魔法によるものです。私が防御魔法陣を展開するのに遅れ、ユウタ様が身を挺して守って下さいましたが力及ばずこの有り様に・・・」


「そ・・そうか、それは悪いことをした。すまない」

「・・・お、おう」


「まずは負傷者の手当てを優先してください!それと先制攻撃を放ってきたことにより総攻撃を掛けられる恐れがあります、一時退却又は一部足止めで撤退を進言します」


鬼の形相で女騎士ガラダリが詰め寄ってきたが、カルディが間に入り口から出任せで嘘を並べそれを信じたガラダリは俺に謝罪する。やはり女は怖い。


「確かに・・今の状況で攻め込まれでもしたら半壊は免れない、だがここを明け渡すようなことをしては・・・」

「撤退はしなくてもいい、勇者の代わりに俺が出よう」

「なに?貴様1人でか?」

「ああ、向こうをこちら以上に削り落とせばいいんだ、この中で唯一それが出来るのは俺だけだ」


撤退はまずいという雰囲気だったそれもそうか、ここが落とされればアルキメスは目と鼻の先、他の番隊が応援に駆けつけてもこれら全部を片づけることは出来ないだろう。

勇者を行動不能にしてしまった罪滅ぼしにガラダリに伝え自信を持ってその目を射抜く


「分かったならカルディを頼む、俺以上に消費しているだろうし」

「・・・承った」




カルディを置いて前線まで飛び、急に降ってきた男に警戒するように兵士の一人が声を掛ける。


「おい!ここは一般人のくる様な場所ではない!とっとと立ち去れ」

「お勤めご苦労さん。アンタ等の仕事を取るようで悪いんだが、まぁ許してくれや」

「はぁ?お前何を言って・・・」


槍を構え警告を放った兵士の肩をゆっくり叩きその後ろ・・・最前線の並びを出る。


「こうやって見ると絶望的な光景だな」

「お前!自分がどこで何をやっているか分かっているのか!」


「分かっているさ・・・1度にこの数の魔物を相手に出来る人間は、世界中探しても俺だけなんだから」


半笑いで目の前の光景に恐れ戦き体の震えが止まらない、でもそれを大きく上回る喜びの感情が湧き上がった。

そしてそれらが合わさった時、両手には眩い光を放つ光弾が包まれておりその後ろ姿を止める者はもう居なく、魔物の大軍に向かってその2つを投げつけ着弾した瞬間、轟音が鳴り響き黒いキノコ雲が2つ空に向かって立ち上り、魔物の阿鼻叫喚が轟音に混ざり聞こえてくる。


「さて、報告に行くか」

「ちょっと待・・・夢でも見ているのかワシゃ」


強い脱力感を覚えたが女騎士ガラダリに終わったという報告をしに再び飛び上がり、その姿を見た兵士の1人が呼び止めようとしたが一足遅く飛び去ってしまった。


そしてその兵士はモクモクと立ち上る黒煙と離れていても感じる熱気を浴び、呆然と眺めながら1人呟いた。


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