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武器製造からの・・

日が山に沈むちょっと手前でフェイ達と合流し宿屋に泊まろうとしたが、街の宿屋は全滅しており仕方なく対カルディ用の結界を張り外で野宿した。

寝ているときに何度も肉食獣が結界を壊そうと攻撃魔法を行使していたがそんなもんで壊されてたまるか!と継続的に気を注ぎ強化しながら眠りについた。



結局朝までその攻防は続きいたけど結局可哀想になり、気弾を作りそれを投げると体に当たる直前で霧散しカルディの血色が戻った。結界の気は吸収できなくてよかった。




再び街に入ると子供がわらわらとフェイ達の方に近寄って行きじゃれ合っている。


サッカルの方を見ると子供の保護者らしき人ごみの中に埋もれ何か話し合いをしている。


カルディは魔法で瓦礫を撤去していた。何人がかりかで動かす壁材も指をクイっと曲げると宙に浮き手を振って瓦礫で出来た山に投げている。


それぞれに役割がある中1人坂を上がり製鉄場の門前までたどり着き用件を話し中に入る。

建物に入ると左右に分かれた男達が一斉に腰を曲げ礼をする。


「よろしくお願い申し上げます!!!」

「うわ・・・」


若干引き気味で進みおっさんを探すと大窯のところで汗を滴らせながら刀身を研いでいた。


「うわー・・・」

「おお、旦那!よくぞ御出でなすった!ささ早速ですがこの剣と同じ物を打って下さらぬか?」

「お、おう。・・約束は覚えているだろうな?」

「はて?ワシに叶えられそうな願いであればですが・・」

「その言葉・・しっかりと覚えておくからな」




一応念を押し上着を脱ぎ気を全身に行き渡らせ金槌を持ち金属を打ち始める。

1日で60本は打たなければならないそんなに長居する訳にもいかないからな、それにやっと御守りから解放されるんだ!叶えられる願い?そんなもん楽勝だろ!


一息入れることもなく夕方まで打ち入れ続け軽いめまいを覚えるまで刀身を作り続け、その作業を済ませるには3日半掛かった。


そしてその夜酒盛りに強制参加されられた。

野郎が集まって酒場に溜まり俺を囲んで木製のジョッキでビールの様な物を飲み流していた。ある程度酔いが回ってきたところで馬鹿騒ぎがドンチャン騒ぎに移り変わり、酒の匂いが一層強くなり気分が悪くなる。



「カンパーイ!いや~旦那のおかげでこんないい武器を打ってくれるなんてオラもう涙が」

「カンパーイ!そうだよな、そのおかげで3日休めたんだしw」

「乾杯!ホント旦那様様だww」



旦那旦那うるせえよ・・そんな年じゃねぇし結婚もしてねぇし、したくもねぇし。


「おっさん、ちょっと外に出てくる」

「おうワシも付き合おう年のせいで酒にも弱くなっちまった、あいつ等はちょっと騒ぎ過ぎだな。まだなんにも終わっちゃいねぇつうのに!」


2人で酒場の外に出て夜風に当たり地面に腰を下ろす、壁に背を預け空を見上げるそしてふと気になったことをおっさんに聞いた。



「なぁ?ここを襲った奴等ってどんな見た目をしていたんだ?」


「あ?ああ、思い出すだけで身の毛もよだつ、1か月前彼奴等は2体で東門から攻めて来やがった。1体は地上から砂埃を上げ外壁をぶち破りもう1体は空に留まっているだけだった、その時丁度兵士隊が街に居て背後から奇襲したが返り討ちに遭い全滅した。そこでギルドのお偉いさんが王都に伝令を送り、そこに属していたBランク以上の冒険者で討伐に向かったが散々街を破壊され終いには皆殺しにされた。この街は彼奴等に降伏したのだが王都から来た騎士団によって”魔王軍12番隊隊長鬼人オルドラン”は捕縛したのだが、上空で待機していたもう一人の魔族の魔法によって騎士団は半壊しオルドランは逃亡、街は甚大な被害を被ってしまった。」



特徴だけ教えてもらえれば好かったのだが、経緯まで聞いてしまったため酔いが覚めてため息を吐き今出て来た奴の名前を呟く。



「魔王軍オルドラン・・・知らんな・・・」

「まぁこれで仲間の敵も討てるってもんだ感謝する」

「仲間?ああ、鍛冶屋のか・・・」

「・・・いやそうじゃない、鬼人オルドランに殺された仲間だ。後ろでまだ飲み弛んでいるがな」

「は?」



おっさんが意味不明なことを言い出したのでボケてんのかなとも思ったが、その真剣な眼差しに嘘はなさそうだが少し身構えて様子を窺う。



「どういう意味だ?」

「まぁなに・・・私の魂がこの体に乗り移った、そういうことだろうな」

「・・・・」

「信じられないのは分かる、私自身が一番戸惑っている、でもなこれが最後のチャンスだと思って準備をしてきた」



死者の魂が生者に乗り移ることなんぞあるのだろうか?中身が入れ替わるなんてことはドラマやアニメでいくつかあるだろうけど、つか乗り移ると言うより取り憑かれたという方が正しい気もする。


「私の名はエレキレル・エクス。元アルキメス王国騎士団5番隊副隊長だった、そして貴方がおっさんと呼んでいる本当の体の持ち主はガンコウ。生粋の鍛冶職人だ、私は彼に許可を取り貴方と会話をしている。武器を打って頂き誠に感謝する・・・物は相談なのだが・・・」



魂の人エレキレルはおっさんの体を起立させ敬礼を取り身分と本体の名前を告げられる。

そして膝を突き最敬礼の形を取り起立に戻る。

「まだ何かあんのかよ・・・面倒だな?」

「親父!こんなところに居たんだな!もっと飲もうぜ!?ああアンタも居たのか」

「今は親父ではない、それとこのお方をあまり無下にするな」

「エレキレル殿・・・」



そしてまた相談を持ち掛けられそうになるところに数人の酔っ払いが出て来てこっちに声を掛けた。



「部下が失礼した、物は相談なのだが貴方にも次の作戦に参加してもらいた・・」

「断る」


「なんでだ?エレキレル殿は王都でも5本の指に入る知将!それに貴方の武器が加わり我々は当初より大幅に戦力を増強を果たした!なのになぜ!?貴方も何かしらの武術の心得はお持ちであろう!弱き民を守るため協力し魔族を滅ぼす!そのための犠牲なのになぜ!!」


(どんなに緻密な計画を立てようとも圧倒的に戦力が足りない、それこそ勇者を2人位呼んで来なければ話にならなほどに、俺が参加すればいい?したとして良くて五分に成るかどうかだ。

そして別に戦う理由もない・・・魔族に襲われたのは気の毒だが今すぐここを捨てて王都に行けばいい。あ・・・あいつ等どうしようかな?・・・・。)



「お前達もういいのだ、分かってはいた・・無理を言って悪かった聞かなかったことにしてくれ」

「副隊長・・・」


ガックリと肩を落とし部下を宥め飲みかけの酒を仰ぎ、部下に囲まれて再び騒がしい酒場に入っていく背中に自分の知っている魔族の名と特徴を投げかけるが知らないと申し訳なさそうに言われる。



「アランという名とダークエルフに心当たりはないか?」

「すまない、どちらも心当たりはない」

「そうか」



酒場から夜空に視線を移しボーっと見つめる、最近こういう風に空を眺めることがあっただろうか?

ふと隣に人の気配がして横目で見るとマント姿の人物・・・カルディが居た。


「なんだ?気なら朝やっただろう」

「はい、でもそのことではありません。私の居ない所で色々やっていたみたいですね」

「俺の勝手だろ?お前にとやかく言われるいわれは無い」

「確かにそうですが、このままだとあの人達は死んでしまいますよ?」



なんだそういうことか武器を作ってそれをどう使うかなんて知らんし、騎士道なんかで命を捨てる奴らなんぞどうでもいい。

どうでもいいんだが・・なんだこのイライラは?



「カルディ帰るぞ」

「はい」




もやもやとした心を吹っ切るように夜空に飛び上がりそれにカルディも追尾してくる。

街外れの林で野宿しているフェイ達のところに降りてから横になり眠りにつく。






「貴方はホントめんどくさい人ですね」チュ

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