また居場所探し
魔王軍6番隊長ゲイキドキングをあっさり撃破し雑魚を一掃し夜が明けた。
コルックからの女どもとサッカル?の女どもまで集まっていた。
「この村に残る者は勝手にしろ、付いてくる者はこの円の中に・・・」
「待ってくれ・・・私達も連れて、行ってください」
人が説明している時に忍び女が目の前に立ち片膝を突く、それに習って身を低くしていくが
”連れて行けと言った”
「自分より劣る奴なんかに従えないんだろう?」
「・・・それに付いては謝罪します、私に出来ることなら何でも致します。貴方様の強さに感服しましたここに居るサッカル一族皆を・・」
「それはフェイに聞け、俺はただの護衛だ」
「ふぇい・・・って私ですよね?そんな重要なこと決められません」
「お前らなど要らないようだ、とっとと失せろ」
「フェイ様!どうかそこをどうか・・・私達をお救いください!」
「様!?重い・・思いは伝わりました!一緒に行きましょう!」
面倒なのでフェイに話を振ると挙動不審になり慌てふためくき、そいつらがしがみ付き止む無く連れていく事になった。
集団の人数が倍以上になりサッカルの族長にそっちを任せ全員が光鎧を纏った、サッカルの奴らの鎧は少し水色がかっていたが気にしないことにした。
「ここから一番近い街か村はどこだ?」
「この地から西に向かうとギョクロという小規模都市があります」
「よし、まずはそこまで走れ先頭はフェイとサッカルがやれ」
「はい」
サッカルと呼んでいるのは忍び女のこと、村の名前が族長名だったようだ。
その数大体40~50人の女が林道を駆ける、それをまた空から警備することになった。
(ギョクロ・・玉露?サッカル・・サッカボール?ただの偶然か気のせいか。久しぶりに緑茶でも飲めるのか)
コルックからサッカルまでは2時間強の道のりだったが今度はそんなに掛かりそうは無い、空に上がった時山の方に要塞らしき建築物が見えその方向に向かっている。
警備をしていると言っても結構暇なのだ。
強い反応は皆無、空中水泳にも飽き懸命に走っている者達を観察したが、ほぼ全員田舎娘の格好と顔なので何も楽しくない。生きるためにこんな人間に頭を下げるなんてな。
何分飛んだのか・・時計が無いから分からない。
体感では1時間ほどだが目的している城塞の大きさがあまり変わらず進んでいるのか少し不安になった。
一度集団の前方に降り休憩をさせ、その隙にほぼ全力でその城塞に向かった。
近づくにつれ顔が引き攣っていった。
小規模だと聞きトケカガミより小さいのかと思ったら全然デカイことに気付かされた。
遠くから大きさが変わってなかったのは、要塞が縦にデカ過ぎて錯覚を見せられている感覚になっていた。
この分じゃ半日は掛かるな・・・。
偵察が終わり引き返そうとしたら外壁の上にある投石機の様な物が動き出し石ではなく柱が飛んできて、危うく身を掠りそうになった。
(敵かなんかだと勘違いしているな?・・・槍の投石機・・・なんていう名前だっけ?)
速やかに引き返し人の気を探り地面に降り合流する、なんだかんだで30分程往復で掛かり今日はもう少し進んでから野営をすることにした。
翌朝日が山々から顔を出した頃には全員目覚めており再び光の鎧を纏わせ進行した。
昼に休憩を1度だけ挟み全力で走らせ日の沈む前には入場出来そうだと思ったが、大門の前で兵士に止められた。
「大所帯でしかも女ばかり、ここギョクロ要塞にどのようなご用件で?」
「私達はコルックとサッカル村の生き残りです、両村は魔物に襲われ命からがらここまでたどり着きました。どうか中に入れてもらえませんか?」
兵士の問いにフェイが答え願う、すると中から傭兵だと思われる男どもが複数出て来た。
「こりゃぁ・・女ばかりどうした?」
「いえ、辺境村の生き残りだと申しておりまして、中に入れるべきか少し迷っていまして」
「グヘヘ・・入れてやれよ、久しぶりに楽しく過ごせそうだ」
「はぁ?はぁ・・マッチーヤ様がそう仰るのであれば、おいお許しが出たぞ!入ってよし!」
荒くれをそのまま再現した男がこちらに目をつけ近寄って来る、その風貌はオークとどっこいどっこい。
生理的に受け付けなかったのか何人かの女がへたり座り震えていた、まぁそんなこと気にもかけず品定めするかのように見回し兵士に了解を出した。
その男は水筒を開けその中身を仰ぐ、中身は安物の酒のようでその匂いが漂った。
その後自分らが来た道のりに向かって行った。
荒くれの許可で中に入ったがかなり散らかっており気分が悪くなる臭いがした。
それに視線を感じる俺を見ているというより大勢の女を視姦するように舐める様な、それを感じながら責任者が居ると言われた部屋に着いたが、その扉を開けるとデブが居た。
「なんじゃ?客人か今良いとこじゃったのに、お代わりかの?おお女どもがこんなに・・・苦しゅうないちこう近う寄れ」
「他を当たれ、今すぐここを出るぞ!」
デブは裸の女を抱いていた、何人も生気のない顔の女を。本人はそのことにまったく気が付いて無い、そして後ろの果てた遺体それが目に入りデブが手を振り替わりを呼び寄せそうとするが、背を向け女どもに告げる。
「なに、貴様!朕の女を横取りするとは不届き者めが!」
「誰の女だって・・・おい、その胴体に風穴開けてやろうか?」
「この不届き者め、者ども出合え!出合え!」
あのゲキドなんとかよりも頭の悪そうなデブが声を挙げ、助けを呼ぶが誰も来ない。
いや少し遅れて衛兵が来た。
「ウーロン様如何されました!」
「この男を斬れ!叩き斬れ!朕の女を横取りしようとした罰じゃ!!」
「えっと・・・ウーロン様大変言いにくいことなのですが、この者達は貴方様への貢物ではなく。救助を求めて来た避難民なのですが・・・」
「そんなことどうでもいいのじゃ!飽きたのじゃ!こんなもの要らぬ、替えを早う!」
衛兵が歯切れ悪く事情を伝えるが、デブは暴れ今さっきまで抱いていた女の首を捻り殺した。
ブチ・・・。
「・・・・・」
もしかしたらその女はもう精神的には死んでいたのかもしれないし、これ以上犯されなくてよかったのかもしれない。それでも・・・少しだけ頭に来た。
「おい、デブ。退け」
「朕に命令するな!お前などとは違い高貴な生まれの・・・ブラッハ!」
女どもを待機させデブに近づ回し蹴りで壁に叩きつけた。
そしてその場に倒れている女性を寄せその前に座り両手に気を溜めた後、床に打ち付け一人1人に注ぎ込むとみるみる若返ったように肌にハリツヤが戻り首を振り起き上がる。
「衛兵・・服を彼女らに」
「へ?あ・・・はいぃ!?今すぐ御持ち致します!」
「おい、早く朕を助け・・どこに行く!?」
壁に埋まったデブを引っ張っていた衛兵に服を要求し、少し足をぶらっとしたら快く快諾してくれた。
意識が戻った4人の女性は俺がその姿を見ているにをやっと気づき腕で胸元を隠す、その後服・・というか布きれを4人に渡し瓦礫を退かす作業に戻った。
「フェイ・・サッカル、介抱してやれ外に出る」
「はい」「はい」
入って1時間もしないうちに外に出ることになるとは思いもしなかった、だがこれならまだ野営の方がマシだ。
大門まで歩くと何故かそれが開かれ前に荒くれ達が居た。
「ありゃ?なんだ、お前外に出るのか?女も連れてか。ウーロンがヘマこいたな、あいつの性癖ときたら・・・ヘレン!?ヘレンじゃねぇか?お前ウーロンの務めはどうした?」
「・・・・」
「ゴミの様な扱いだったので治して連れて来た」
「っへ、よそ者が余計なことするんじゃねぇよ、俺達にだってルールってもんがあるんだ!そいつを連れていかれると困んだよ」
「知ったことか・・・雑魚が」
「この俺様が雑魚だとぉ!!」
道を塞ぐように横に広がる荒くれ共はみな顔が歪んでいた、あながちサッカルの言った通りなのかもしれん。
男など信用に足る生物ではない。
「若造が・・・これを見てもそう言えるかぁ!」
「マッチーヤ様は魔王軍の幹部を仕留めその首を持ち帰ったのだ!」
「お前の様なガキがどうこう言えるお方ではないのだ!口を慎め!」
荒くれが持っていたのはゲイキドキングの首だった。運悪く首だけ消滅しなかったのだろう、だが・・・
「なぜ、お前らがそれを持っている。そいつは俺が倒したはずだが?」
「フハハハ!お前が?アホなことを言うな、こいつはついさっき俺達が仕留めた得物だ」
「それにサッカルまではかなり遠い筈だ、大して強そうにも見えないし何をした?」
自分がほぼ全力で飛んで往復30分強、光の鎧を纏わせたこいつ等で半日以上。
普通に考えて1時間で往復できる距離じゃない。
「ガキには分からねぇだろうなww」
「特別に教えてやるよwこれだww」
そう言って簀巻きにされた何かが転がってきた、中身はまた女性だった。
猿轡をされ顔だけ露出した女だった、黒く長い髪であの4人と同じく生気の抜けた目をしている。
「そいつは転移魔法を使える珍しい魔法使いだ、お前らの様にこの要塞に入り俺様の性ペットになった」
「転移魔法・・・そうか、ルーラか便利だな」
「酷い・・・貴方達には人の心がないのですか!?」
「無駄だ、そんなものこいつらには無い」
転移魔法。そんなもんが使えるのは魔法使いにはいない、魔導士クラスだ。
(元々顔もそこそこ良かったのだろう、今じゃ痩せこけ青白いが・・・涙すら流せないのか)
「便利だぜww一度行った場所には何度だって飛べる、夜は性処理ですっかりオナペットだ」
「・・・・・・なぁ、そいつもくれよ。殺さないでおいてやるからさぁ」
いいように扱われ人格が壊され物言わなくなった女にマリー面影を見たような気がして自然と言葉が出た。
それは冬でもないのに底冷えするような低い声で、無意識で5倍に近い状態を作り出していた。
「その女全員でも割に合わねぇなwww殺さないでおいてやる?何様だwww」
「そうか、分からないのか、なら試し打ちをしてやろう」
馬鹿みたいに笑う荒くれだがマッチーヤだけ少し顔色が悪かった。
外壁の方に歩きフルスイングで打ち付けると石造りの壁は破壊され穴が開いた。
それでも感覚が合わず両手に気弾を持ちまだ無事な外壁に放つと、1つ目でその幅を崩壊し2つ目で瓦礫を消し去った。
「こんなもんか・・お前ら魔王軍幹部を倒したんだったな、じゃ・・・俺よりは強いよな?」
「なんだこいつ!?人間じゃねぇ!」
「マッチーヤさんどうしゃす!?」
「知るか!お前らがそんなもん持ってきたのが悪いんだろうが!!」
目標を外壁から荒くれに移し高速移動しながら接近する、どうやって近づかれたのかも分からず焦り仲間割れをしだす。
「待て待て!落ち着け奴の狙いはこの女だ、こいつを盾にして逃げれば・・」
「逃切れると思うか?」
腰が抜けた周りの雑魚は放置しその女を持ち上げ盾にした男は笑いすぐに絶望に染まった。
それもそのはずその盾にした女ごと胸を気波で打ち抜かれ吐血しているのだから。
「テメェ・・・そいつが・・欲しいんじゃ・・・」
「お前が盾にするからだろ?」
その荒くれはそのまま死に、俺は女を抱き抱え治療するために理性が耐えられる強化まで落としつぎ込んだ。
「っは!モドキ4倍!」
意識のない状態で嬲られ犯され続けた女を癒す、魔導士は一般の人間と違い魔力の許容量が桁違いに多いのでそこまで注ぎ込むと自分の分が空っぽになった。
「今日は野営だ、こいつの面倒も見ていろ・・・うっぐ・・っは!」
「え、はい・・・大丈夫ですか!?」
(俺は魔法使いじゃない初級魔法も使えない、魔力は人並みより多い位・・使わないよりはいいが枯渇するとこんなにも気分が悪いものなのか?)
周りの女どもに命令を出し簀巻きの女をフェイに渡し頭を抱え蹲る、途中に話しかけられるが答えられる余裕はない。
魔力を気力で補う様に全身に巡らせ立ち上がりフラフラと歩き始め何キロも進まないうちに倒れた。