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魔族襲来2

魔物はこっちから見える位置で停滞していた。



夜のうちに作戦会議を立てようという訳で、勇者含む高ランクPTのリーダーが招集された俺もそれに参加した、Cランクは俺だけだった。


有名どころで言うとAランク、赤騎士団・ガンド組・デーモン抵抗軍・勇者と愉快な仲間たち・百万力

Bランクで黒狼・エンジェルダンス・魔法試行会・リンカ商団など


ネーミングセンスねぇなーと思いながら丸い机に席を着くPTリーダー達を見ていた

なんだかんだで主要な代表があいさつし終わり本題に入ろうとした時、デモーン抵抗軍PTのリーゼントが机に脚を乗せた状態で俺の方を差し


「見たことねぇ顔だな、どこのもんだ?」


他のPTリーダー達も同じような感じに視線が集まって来る。


ガンドさんに目を向け助け舟を出してもらおうとするが首を横に振られる。さっき女性と一緒に居た男にも視線を向けるが同じ反応だったので仕方なく立ち上がり


「俺は”夕焼けに誓う”に所属しているCランクの冒険者だ、少し気になって傍観しているだけだから適当に話し合いしてくれ」


それだけ言い座ろうとしたが


「Cランクだぁ!?おい、ここはお前の様な雑魚が来るとこじゃねぇんだ出て行け!」


椅子を別の奴に蹴り飛ばされ、机に脚を乗せたままのリーゼントが顎で入り口を指す。

蹴り飛ばされたおかげで中腰のまま頬が引き攣る、・・行儀の成ってない足だな、おい・・・。


勇者と愉快な仲間たちはハーレム状態で俺らの方など見ても居ない、百万力と黒狼の男は腕を組んだまま口を一文字にして黙っている、リンカ商団は仲間と別の話をしている真っ最中、エンジェルなんとかは自分の爪を手入れして、魔法試行会はフードで顔は見えない、ガルド組と赤騎士団は俺の方を心配そうに見ている。



椅子を取りに行き机の傍に置き座ろうとするがまた吹き飛ばされ粉砕する。

魔法かなんかだろうか、武器が飛んできたようには見えなかった。


「おい、聞いていなかったかルーキー出て行けと言ったんだ!」

「ちょっとーぉ爪に埃ついちゃたじゃないぁーぃ、どうしてくれるのよぉー」


やけに間延びするエンジェル何とかのリーダーが椅子を粉砕したリーゼントに抗議するが

「うるせぇ!テメェは黙ってろ」


と一蹴りされる、足癖が悪いなこいつ。


「デーモンはん、そうおこんなさんな、新人が動かなくなっちまったでないかい?」

商団リーダーで商談をしていた女がそういう。


「ではこのまま壁で立たせてもらいます」


机から数歩下がったところで壁に寄りかかり腕を組む、すると顔面に何か飛んできて気を纏いそれを受ける


「ふん、今のも避けられない奴がこんなとこにいても・・・・!」


リーゼントが笑いながら足を下ろし笑おうとして異変に気づき傷1つ付いて無い俺の顔面を見て驚く


「なっ!テメェどうやって防いだ!?」

「答える必要はないガンドさん早く会議を始めてください」

「おい、無視すんじゃねぇ!」


「まぁいいじゃねぇか?おめぇさんの技を見切れたんだ、Cランクでもそこそこの実力はあるんだろう?」


今まで黙っていた百万力のリーダーが穏やかに自身の筋肉美を見せつけながら間に入る。


「筋肉ダルマには用はねぇが・・・チッまあいいその通りだ強ければ問題ない」

再び足を机に置き偉そうな態度でガンドさんが話し出すのを待つ。



場が静まりガンドさんが咳ばらいを1つし


「では、これより明日の持ち場確認と戦闘体制・勇者様の援護者を決めさせていただきます。明日は今日より激戦が予想されます、こちらも戦力を分散させるよりもある程度接近させ配置した方が攻防戦に有利になると思われるので各PT間隔には注意してください」


一息つき


「まず開戦時、デーモン抵抗軍と百万力には先鋒をお願いします」


その答えとして


「ああ、分かった」   あまり乗る気ではない風に。

「よしワシ等に任せよ」 思いっきりやる気満々でポーズをとっている。


その後


「次鋒は赤騎士団さんたちと私どもが出ます、中堅にエンジェルダンスさん・黒狼さん・リンカ商団さん方、副将兼援護を魔法試行会さん達にお願いします」


各自了解の意思をみせ、最後にと勇者と愉快な仲間たちに視線を向け、ため息を吐き


「最後の魔族を大将の勇者様にお願いしたいのですが・・・よろしいでしようか?」


何故ため息を吐いたか、それはもう・・・現状市民が見たらがっかりする光景が見れる、これを重要な会議だと思ってないほど取り巻きの女と話し込んでこっちの話を聞いているのか、いや聞いてないだろうベタベタしているのを見ているこっちが恥ずかしくなってくる。


それにキレた者が一人、まあそこまでも行かなくても気分は悪くなるな。


「おい、勇者様聞いてのか?やる気がねぇんなら俺達が最後変わってやるぞ?目の前でイチャイチャすんじゃね、ぶっ飛ばすぞ!!」


武器に手を伸ばそうとしたリーゼントの動きが止まる、勇者の取り巻きか勇者本人から殺気が出ているようで微かにリーゼントは指先を震わせる、震えていたのはリーゼントだけではなくエンジェルなんとかを除く強者達が同じ反応だった。俺か?こんなのドラゴンさんに比べたらなんでもない。


勇者は椅子から立ち上がり


「君かな?今僕たちを”ぶっ飛ばす”って言ったのは?」


この声はイケメンの方か・・・その面でいろんな女を侍らしているんだろうな。

さらに室温が下がったような気がした、戦闘系で無いであろう商団のリーダーは顔色が悪い。


気を纏った状態で机に近づくと、その殺気は俺の方に向けられた冷たい感じは消える、もう2年以上顔を合わせていないもので向こうも完全に俺のことは忘れているようだ、別に覚えて貰えたい訳でも無いからいいけどよ。


他のPTリーダー達はホッとし息を整えている、お互いにらみ合いで神聖魔法と気法のオーラがぶつかり合う。

少し力を強めると息が詰まった声を漏らし目線を外すと、威圧的な雰囲気が消える。


思ったより大したこと無いな・・・あれか?勇者だから”覚醒”とかするのか?俺が強くなったって感覚は無いしな、怒りが静まったのか殺気を抑え


「魔族の相手は任せろ」


もう一人のマントからヤンキーの声がした。ああ・・後ろに居る黒マントは誰だろうと思ったがヤンキーの方か、そっちの方は取り巻きは居らずフードを被り表情は見えないが自信のある声で答えた。


息を整えガンドさんは


「そ、それでは皆様には明日まで交代で休んでいただき今決めた順で斬り込んで行ってもらいます、異論がある人は挙手を!」

誰も手を挙げずそのまま解散になった。そしてなぜかリーゼントに「済まんかったな」と帰り際に言われ「は?」と頭に??が浮かんだ。





時間が開いたけど夜の内は敵襲もなにもなく次の日の朝になった

朝と言っても明朝の方が正しいような気もする。

何故昨夜一度も奇襲を掛けられなかったのかを考えたが、無駄だと判断しマリー達に合流するとダルとガッツにあきらさまに嫌な顔をされ不機嫌になった。


今日からは防衛線だ敵が正門を突破しない様に守りながら攻めなければならない、逆に調子よく前に行くことも出来ない。

ただし、昨日会議に出席していたメンツは攻撃部隊だ、火力はあの8PTだけで行うんだろ?その取りこぼした雑魚を正門から内側に突破されない様に俺達C以下が抗戦する。


ある意味難しい戦法だ、横一線を常に保っていないと凹凸どちらが出来ても、そこに敵が集中し突破される可能性がある、まぁその分楽なこともある・・それは正門が破壊されない限り内側の陣はほぼ安全で、敵に襲われる可能性がかなり低いこと、あと補給と援護・回復が楽だな。



敵陣の空に2つの影が浮いている向こうの大将だろう、魔王軍何番隊か知らないがあれは勇者に任せるしかない・・・。


第2回戦の合図が迫る前に向こうの空から1つ影が降りて来て先行攻撃部隊の目の前に降り立った。そしてとても軽いトーンで


「やぁやぁ!人間の皆さんお初にお目にかかる、僕は魔王軍第5番隊隊長アラン・ギルソ。魔王様にはアラン君と呼ばれている、そして後ろに居るのは僕の妹で魔王軍7番隊隊長イラン・ギルソ。魔王様に勇者の実力を推し量るために派遣された、という建前だけどただの暇つぶしでここに来た。」


赤髪で角と翼の生え執事が着ている様なスーツを着飾り、少年が自己紹介をしてただの暇つぶしに来たと言った、魔王軍5番と7番か前戦ったのが3番だから素数が揃ったわけだ。

何度も発言された”魔王”という言葉に少なからず動揺する正門の部隊、しかも今回は2体居るので片方こっちに来たら終わるな。


先頭集団を少し観察した後「フッフ」と笑い右手を上げ


「勇者を壊したら帰るから君たちは出番無しだね?」


振り下ろした瞬間数人、人が潰れていた。生き残った者は居るが皆重傷を負っている。


「おや・・・仕留めきれなかったか、まぁいいこちらとて後ろのは出す気はない」


余り面白くないと言いたいような口調で話し後ろの魔物を指したが、先頭の部隊は皆武器を構え突撃態勢に入った


「でも抵抗するなら・・・蹂躙してあげる!フハハハハハハ!!」


少年か少女か聞き分けのつかない声で高らかに笑い、魔物の軍が一斉に向かって来た。

入り乱れる戦場、人の叫び声か魔物の声か判断しづらいものが上がり前線は崩壊した。

正門部隊に魔物が押し寄せ勇者が魔族に向かって飛んでいく、どうやら防衛の方は無視するようだ。



必死に抗戦する者も居るがそういう奴から魔物の餌食になっていく、手に負えないと判断し敗走する者が出てくる。

いくら防衛都市の正門でも数百の魔物が押し寄せた時のことを考えてあるわけでもなかったようで割とあっさり崩壊した。




冒険者達は正門が崩壊したところで敗走を開始した



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