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暗黒騎士1

ある雨降る日だったが斥候らしき女がギルドに入って来た途端倒れ、医療室に運ばれたがそのまま命を落とした。

腹が斬り裂かれ内臓は腐っていたという、とても息があった人間の姿では無かった。

だがそれはこれから起こる出来事の一端に過ぎなかった。


その日を境にギルドや近隣の村・町で墓が掘り出され、夜には数人の村人が人の屍が徘徊している目撃しギルドに領主からの特別討伐クエストが発令された。



*大規模ゾンビ・スケルトン討伐


・参加資格はDランク以上

・対象ゾンビ・スケルトン(Dランク~)

・北北東の廃城にそれらが集まっていることを確認

・Aランク以上の魔物が潜伏している可能性がある


親玉を討伐した者には金貨600枚が支払われる


こんな感じか。



この間Dに上がり参加は出来るが、ゾンビやスケルトンって証拠部位はどこになるんだ?とマリーに聞いてみると

「アンデット系の魔物はギルドカードにその数が計上されていくよ、少し強い個体になると魔石を落とすこともあるしウハウハなんだよね・・・」


すっげー逞しいな、白骨はともかく腐った死体はきつそうだな、人殺しの俺が言うのもあれか・・。


まあボスは高ランクに任せ雑魚狩りでもしていよう。


遠征隊に参加することに決まったのであまり重くならない程度にポーションを作り鞄に入れる、鉄剣も砥がないと切れ味が悪くなる今回は骨を切るんだからな。


準備期間が終わり3日後第2の、50人規模の冒険者・傭兵・魔法士で結成された遠征隊が出発し5日掛け目撃情報が一番多かった、廃城が見えるドニル村の傍に拠点を建て各自情報収集と周辺巡回をした。


その夕方拠点で会議をしていた高ランク数人に第1遠征隊が全滅した、という報告が入り指揮とそのPT達数人が小声で話し合っているところに、ドニル村に情報を集めに行った者から、村人の姿が一人も見えずもぬけの殻だったと、食器や引きの類は置かれたままで墓は荒らされていた。

と報告されたところで外から高い悲鳴が聞こえ男達は武器を取り外に出ると、


何十もの骸が巡回から帰ってきた者や休憩をしていた者に襲い掛かり見るも無残な姿になり果てていた、先ほどの悲鳴を聞きBランクPTが駆けつけ何とか持ちこたえてはいるが後ろからまだまだ魔物は湧いて出てくる。



「俺達が殿を務める!総員拠点を放棄し撤退しろ!!」


指揮官の大声が騒音の中駆け出し聖水を振り掛けた剣でアンデットを無双していった。



巡回組だった”夕焼けに誓う”の俺達はそんなことが起きるなど予想もせず辺りの警戒を行っていた。


俺達の様に巡回に回されたPTは5つそれぞれ範囲を決めアンデットに遭遇した場合照明弾を打ち上げ近くに居たメンツが集まり一掃する、という戦法で2回白骨した兵士と戦ったのだが、日が暮れもう戻ろうかと支度していたところ15ほどの白骨に囲まれそれとほぼ同時に2つ救援弾が打ちあがったのが見えたがとても助けに迎える余裕はない。


完全に囲まれじりじりと詰め寄られる、


「正面突破する!ガッツは俺の後に続けマリーとカクはその後ろを・・ユウは最後を頼む」


ダルは俺のことが嫌いらしい。



ダルが盾と剣を構え、音が近かった方の救援光の方向に向き直り突攻する。

言われた順で各自ダルがタックルで空けた隙にガッツが斧を振り回し骨を2体粉砕し、カクはマリーを守りながら敵の頭頂部を蹴り上げ行動不能にし駆け抜け、俺もその後を追うがアイツ等に追いつかれない様スピードを落とし、鞄をあさりながらマグカップほどの液体が入ったガラス瓶を先頭の骨に当て足止めをする、昔ポーション作った時聖水の代わりに気水を使っていたことを思い出し、超高濃度の気水を3日で作れるだけ作り持ってきた。


この鞄の半分はこの瓶で埋まっている、ざっと12本。


効果は結構あったようで先頭の奴が金切り音を発し骨格が崩れていく、その後ろの数体にも掛かったようでばらばらに骨が散らばり、もう1つその後ろから見える追手に投げ全力で撒いた。


4人の立ち尽くしている姿が見え駆け寄ると、拓けた草の上に惨殺された若い男女の死体が散らばっていた。

膝を着きマリーが吐いていたのだがまだ微かに戦闘音がした、よく目を凝らすと対面側の森の中で斥候が一人で逃げ回っているのが見えた。

鞄から3つ瓶を取り出し鞄を足元に置き相手が見えるように前に出て


「死にたくないのなら全力で俺のもとに走れ!!」


後ろから罵声が鳴るがガッツ達がマリーを担ぎ拠点の方に走っていく。


声が聞こえたのかその斥候は一直線にこちらを目指し骨ごと走りってくる。

手負いの斥候の姿が見え同じところから骨が森から出たとき、瓶を投げるために思いっきり振りかぶり「伏せろ!」一体目の骨が草から出てきた時警告し伏せた隙に3つ連続全力で投げる、それは1体目にぶつかり霧状になり追加で通ってきた骨を道ずれに地面に散らばる、2発目と3発目は気弾に包み固まっている所にぶち当て吹き飛ばす。


「早くこっちに来い!まだまだ来るぞ!」


急かす様に呼び鞄を拾い予備に右手で1つ持っておく、立ち上がり走ってくる斥候を左肩に担ぎ走ろうと思った、がその方向から骨が来ているのが見え斥候の女が顔を青白になり喚く。


爆発音で骨を呼び寄せてしまったようだ、八方から骨が数百・・・集まって来る。


「・・もういいです、私を置いて逃げてください。貴方だけならその不思議な瓶で逃げれるはずです」

死場を悟ったように斥候が呟き降りようとするが舌打ちし、


「チッ、少し”飛ぶ”からしっかり捕まっていろ」


ゆっくり膝を曲げ伸ばす勢いで空に飛び上がる、目下で白く丸い骨がうごめき拠点があった方から煙が上がっている。


「え?本当に飛んでいる!?っげ、骨があんなに」


思っていたより元気なようだ、

「飛ばすから落ちるなよ・・・」

俯きで寝るときの様に体を地面と平行にし全身に力を籠め、全力で馬車と競争した時と同じほどのスピードで飛行する。


拠点は炎と煙が包まれてまだ数人の冒険者が戦っていたのが見え、右手に持っていた瓶を骨の中心に投げ込むとさっきの骨と同じく体が散らばり修復しなくなる。


地上の降りへたり込んだ冒険者に近づく、


「え?アンタ、今空から・・・とにかく助かった、礼を言う」


戦っていた男性冒険者は3人で全員酷い傷を負い、血で服が染まっていた。

鞄から3本緑のポーションを取り出しそれぞれに手渡す、それを不思議そうに飲み干し


「な!痛みが引いていく・・・」

「傷が塞がっている・・・、」

「一体・・・まさか上級ポーションか!?」


男達が喜んでいるとこ悪いが新手だ。

担いでいた奴にも同じ奴を飲ませ自分で歩かせる、


「え、痛くない、何今の・・・?」


さっきまでは死んでもいいって言っていた奴は肩から降り体の傷を探っていた。



「薬の効果に驚いているとこ悪いが、新手だ。」


俺達が立っている正面と左手の方から20ずつ暗くて見えなにくいが骨のカラカラとした音が聞こえるのでそれくらいは居るだろう。


「残りの奴らはどこに行った?」


リーダーっぽい冒険者に問う、


「ドニルの村に避難したはずだ、君たちの前に来た4人も私の仲間とそっちに向かったはずだ」


マリー達は無事か、この人の仲間だと俺よりは出来るだろう。


「ではそこに案内してくれ、言っておくが俺はあまり戦えない」


ガラス瓶を両手に持ちそれを男達に見せる


「大丈夫だ、君のおかげでほぼ全快した」


リーダーは正面の群れに突撃し大剣で骨を蹴散らしながら進んでいく、それに続き俺達はその村に向かう。


何度か骨とゾンビの群れに遭遇したがほとんどガンドさん達が倒してくれた。リーダー=ガンド

村らしき場所に付くそこでも火の手が上がり金属音が聞こえ骨と交戦していた。

ガンドさん達3人が駆け込んでいくとたちまちその数が減り喝采が起こった。


その村に生き残っていたのは16人俺達入れて21人、当初50人いたはずの遠征隊員は半分以下にまで減っていた、けが人も多く何かしら傷を負っている者がほとんどだった。


「君・・悪いがみんなの手当てをお願いできないか?」


さっきポーションを渡したのでガンドから指名が来るが内心迷うが、



「・・・分かりましたどなたかこの村の井戸から水を汲んできてくれませんか?」

緑のポーションを薄めて配ろうとしたのだがマントを着た冒険者が


「井戸水はダメだ、村人の死体が浮いていて飲める状況じゃない」


提案が否決されまた注目される、それを逆に見まわし


「では・・・これからポーションを配ります、が数が足りないので男女で別れて2人で1本です」


2人組を作らせ重症っぽ人達に緑のやつを、そうでなさそうな人達に薄緑のポーションを渡す。

余分に持って来てよかったと思ったが、これで薄緑が3本・緑1本になり気水の瓶はあと6個。

ポーションを飲んだ人達の反応はガンドさんたちと同じだった。


「怪我が治った者から無事な家屋で休んで行ってくれ、それとPTの代表は残ってくれ。」


PTリーダー・・・もしくは生き残った中で代表者が4人近づいて来て、残りは火の手が及んでない家に入って行った。


「私達も少し休もう・・あそこの家を借りよう」


他の家屋より一回りデカい村長の家?にお邪魔しそれぞれが椅子に座った。隣にマリーと斥候の女が座った。

台所に無事そうな水差しがおいてありコップにそれを注いで各自飲み一息つく。


「ユウ無事だったのねガッツに1人で残ったって聞かされたときはもう駄目かと・・・。」

「大丈夫だ、いつもよりも多めに作っておいて良かった、そっちは大丈夫だったんだな?」

「うん、ダルが私を庇って怪我しちゃったけどユウの薬で治ったよ!ありがとう」


・・・1人残ったのではなく1人残されたのだが、今更それを言ってもあれなので黙っていた。






「さて、これからの行動についてだが、夜の見張りは私達が受け持つから安心してくれ、問題は明日からだ。私はここまま撤退しギルドに今回の事を報告しもっと大人数での再出撃をするべきだと思っている」


大きいテ-ブルの上座でガンドが話を切り出した、それに肌が黒いゴツイ片目に傷がある男が立ち上がり


「おいおい!仲間がやられてんのに尻尾巻いて逃げるってのか!このままこの数で親玉倒さねえと腹の虫が治まらねえ・・・チッ、腰抜け共が」


そういうがそれ以外のPT代表は全員ガルドさんの意見に賛成している。誰の賛同も受けることが出来なかった男はそのまま扉を蹴り開け出て行った。


「そういう訳で私達生き残りの遠征隊はトケカガミに撤退する、これで結論は良いな?」


そこに居た者は誰も反対しなかったので


「それでは各自休息を取ってくれ・・・あ、君は・・・ユウだったか?済まないがもう少し残ってくれないか?」


名前を呼ばれマリーに先に行ってくれと伝え


「どうしたんですか?傷が痛みます?」


ガンドさんは首を横に振り


「それは大丈夫だ、別の用件でちょっとな・・・」

「私達はここから見える廃城の高ランク、この悲惨さで多分A相当のアンデットを討伐しにここまでやってきたが、たった数時間でこのザマだ、ギルマスと領主様に合わせるかをが無い。そこで相談なのだが」


そこで一度話を区切りガンドさんは仲間に目配せし真剣なまなざしで俺を見て


「私達と君が組んだら場合、あの城のボスに勝てるだろうか?」

「え?」


突然俺とガンドさん達が組んで見たこともない元凶を叩くと勝率はどうなるか言われても・・・。


「いや、何をおっしゃりたいのか俺にはさっぱ・・」

「そう謙遜することは無い、あの激昂状態のイリアと”まともにやり合った”とカインの奴が言って居ったのでな、もしその実力が確かなら十分な戦力になりうる・・と考えた訳だ」


さっき提案していた事と言ってることが違うじゃないか?


「・・・俺は撤退に賛成です、素人がしゃしゃり出たところで返り討ちに合います」


ガンドさんは両手を固く組み合わせ顔を伏せたまま話を進める。


「この際だから君には本心を話すが、私達は今日襲って来た魔物たちが憎くて憎くてしょうがない!もちろんその魔物を生み出している親玉もだ。」


途中で組んだ腕をテーブルに振り下ろし叩きつけた。


「私達にはもう1人仲間が居た、バイラという魔法使いだ、彼女は私の幼馴染で結婚も考えた仲であった。断られたがな、その彼女が拠点に魔物が押し寄せた時魔法の詠唱中に剣を持ったスケルトン兵士に不意打ちされ殺された」

苦笑を混ぜ目から滴を零しながら


「私達は誰1人彼女の助けに向かわなかった、魔法の技術に関しては彼女に並ぶものはそう居ない、そう確信していたたかがスケルトンごときに後れを取るはずが無い。だが敵の数に押され彼女が守っていたはずのところにから敵が多く来るようになり、そこで初めて生暖かい彼女の遺体を見つけた。すべて驕りから来ていた失態だった。もし君があそこにもう少し早く着ていればその薬で助かったかも・・・とも思ったが流石にそれは自己勝手すぎる」


目元が腫れ赤くなっていた


「隊で行動するときはその状況に合わせ最善の手を考え実行する、指揮官に課された役目はこれだけだが、今はそれすら果たせそうにない。他の者に代理を任せ私達はあの城に向かうバライの敵を討つために、無理にとは言わないが君にも来てくれた方が勝率は上がる、もちろん無理だと感じたら逃げることも考えている。捨て身で特攻を仕掛けようとも思っていたが死んでしまっては元も子もないのでな」


少しでも雰囲気を和らげたいのか苦笑いを浮かべているが眼は全然笑っていない、ガンドさんらは間違いなく明日死ぬ気で廃城に向かうだろう、指揮官という立場を放棄して。


40超えているベテランが20そこそこの青二才に頭を下げることが難しいことかどうか置いておくが


「・・・申し訳ありませんがお力にはなれません」

「そうか・・・分かった無理を言って済まなかった、君もゆっくり休むといい、馬車も無い歩兵の撤退戦では非常に体力の消耗が激しい、寝れるときに寝ておかないと体が持たないぞ?」




その家から出てマリーたちが居るであろう端の家に向かおうとしたが


「ユウ・・・ちょっといいかしら?」


マリーに呼び止められた、なぜが横から?


「・・・中の話を聞いていたのか?」


恐る恐るといった感じで頷くマリーにため息がでる。


「俺は廃城に行かない、みんなでトケカガミに帰ろう?その方が絶対安全だ、そしてボスはもっとランクの高いAとかに任せて他の依頼をこなして行こう?コツコツ時間が掛かっても・・」


何かから逃げるように早口になり捲し立てる意見を言うが


「ねぇ聞いても良い?」


遮る様に口を挟まれ、話を戻そうとするが掠れるだけで言葉にならない


「ユウはさぁ・・・私がもし・・・魔物か何かに”殺されちゃったら”どうする?」


息が詰まり言葉が出てこないが構わずマリーは続ける


「私達は何度もユウに助けられた、ブラックベアーの時も試験の時も町での時も、ユウには返しきれないほどの恩がある、だけど・・・仲間だけどたまに私達のことどう思ってるのかなと思う時があるんだー、ユウはシャイだから全然話しかけてくれないし、話しかけても素っ気無いしもしかしたら嫌われてるのかなーって・・・」

じーっと目を離さず、そんなこと気にしてる意味が分からないのだが


「だから答えて?もし私が殺されちゃったらユウはどうする?」


マリーの声が頭に響く、が・・考えたくもないそんなこと。


「・・・・。」

「ユウは私が殺されても何とも思わないの?」

「・・・・・。」

「私はダルもガッツもカクもユウもみんな大切な仲間だと思ってる、その1人が欠けても私達は成り立たない」

「・・・・・・。」

「なんで答えてくれないの?」

「・・・俺は、君が殺されれば怒り狂うだろ、だが他のガッツとかが殺されても大して思うことは無い」


沈黙を押し通そうとしたが最後だけ本心が出てしまった。


「私のために怒り狂うなら、ガンドさん達の気持ちも分かるでしょ?明日私達も行くから・・・」

本当に全部聞いていたようで一緒に行くと言われ


「ダメだ!俺達が行っても無駄死にするだけなんだ!・・・もう今日は遅い休んでくれ」

まだ何か言いたそうだったが先に帰ってもらう


いまだ燃えている家屋の柱を殴りつけ屋根が崩れ落ち火が大きく燃え上がり木材が散らばる、それ一部始終を木蔭から見ていたものが居た。







翌朝になった。


結局昨日は家に入ることが出来ず馬小屋のワラの上で寝た。


起きて顔を洗おうと思ったが井戸は使えないんだった、まだ微妙にうす暗いので2度寝しようと寝っ転がると柔らかく暖かい物はが頭に触れた。


最初は馬かと思ったが白い肌を見て離れる。・・・なぜこんなところでこいつが寝ている?


昨日助けた斥候が添い寝するような形で眠っていたが、足に頭が乗った時目が覚めてしまったようだ。

「起こしてしまって悪い離れるから・・」ゆっくりするといい、と続けようとしたが


「助けてもらったお礼がしたい。お金、無いし・・・初物じゃないけど・・使ってください」

礼がしたと言われ女は恥じらいながら服を脱いだ。



気分が悪くなった、自分の醜い部分が表面化しそうで目を閉じた。

脳裏に御付きの少女のことをが思い浮かぶ、あの時の感情が底から漏れ出し頭を抱え強く髪を掴む、俺は自分自身が醜い、姿も心も。



”人殺しが人の温かさと求めてはならない”


低い男の声でそう囁かれた気がした

どこか暗い冷たい穴の底で死ぬのが自分の末路だ、

少しずつ距離を詰めてくる女に向かって叫ぶ、底から這い出ようとするモノを封じ込めるように


「・・・それ以上こっちに来るな、礼などいらない、金も言葉も要らない、そんなモノのためが目的で助けた訳では無い!」


そう・・あの時知らぬ存ぜぬで見捨てても良かった、火中に飛び込むような真似しなくてもよかった、でも助けた、それはまだ自分の根っこに残っていた日本人の心が・・良心から来た行動だ。

見返りなど要らなかった、身体なんか差し出されても要らない。


男としてとかじゃなく日本人、俵 侑汰としてそこは譲れなかった。

ここで負けるともう自身が保てないような気がした。




ワラを払って護身用の剣と鞄を担ぎ外に出る、女はボーっと俺の方を見つめていた。

ある意味女としての価値を否定されたようなものだ。



1人で骨が闊歩する森に入り散歩に向かった。


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