☆4
狭い部屋の中で30分程待った後、ガキがお菓子やら飲み水やら果物のを買って部屋に飛び込んできた。
そしてそれらを薄っすら埃の被った机に置き母親の膝の上に座った。
なぜ俺は気づかなかったのだろう?やっぱり顔に目が行っていたからなのだろうか・・・。目の前の親子を眺めながらその異常なまでの身長を不思議がった。
いや異常ったって元の世界に居なかった分けではないだろうしちょっと特殊なだけか。
母親は子供に買ってきた物を先に食べさせ満腹になったそいつは膝の上で寝た、その頭を愛おしそうに撫でていた母親は汲んできた飲み水を一口飲んでから自己紹介をした。
「私はラリンダル・キ・エリルドリと申します」
椅子から立ち上がり縦に長い体を腰から曲げ貴族がするような礼を俺に向かってしたのだが、
「エリルドリ?」名前だろ?なぜ国称が・・・。
俺の頭の中で答えが出たと同時位にラリンダルさんが
「お気付きにならましたでしょうか?貴方様が城で会ったのは私の甥に当るエリンダルです。甥は即位して半月しか公務を行っておりませんのでご無礼な態度を取ってしまってはいないでしょうか?もしそのようなことがありましたのなら弟に成り代わりラリンダル・キ・エリルドリとして謝罪いたします」
立ったままの態勢で俺の考え付いた答えを話し、その後少し行き過ぎてないかとも思われる謝罪をしようとしたが、途中でやめさせ。今そんなことされても後の報酬に響いてもらっても困るしな。
まあ今はそんなこと考えている時ではないな、座りなおしたラリンダルさんに体調はどうかと聞いたが「絶好調です」と答えられたので「お、おう・・・」なんかたじろいでしまった。
王族が何でこんなボロ小屋に寝たきりになってたか気になるが王族にもなんかあるのだろう・・・と黙っておいた。
特別に話をするわけでは無く、ただそこで時間を潰していたからなのか太陽が建物の陰に隠れるほどまで日が暮れ俺はその小屋を後にし宿屋に帰った。
なんであの小屋の入り口があんなに高かったのか納得した。
次の日城に行くと昨日バックレたのを4賢者にこっ酷く叱られ見張り付きで調合室で1日過ごした。
それからは毎日どこにも行かず腰が痛くなるまでポーションを作り続けた。
大体1週間が過ぎた頃、国民全体分のポーションが生産し終えその日明朝から夜まで城には長い行列が付いた。
その何日後か、王に呼び出され城に行くとアルキメスなんかよりも多くの人が廊下や庭を行き来し訓練所からは威勢のいい掛け声が響いて来た。
謁見の間に通され家臣や兵士が左右に並んでいる中を歩き若い王と久しぶりに対面する。
それから契約内容を確認させ10白金貨を受け取り王のそばにいた中年・じいさん・女性のギルマスに俺のギルドカードを見せ3人同時に頷いた後カードが銀に淡く光り、2つ目の報酬☆4のギルドカードを受け取り置き土産としてポーションを100ほど調合室に作り置きしたことを伝えそこから出ようとするが、そう上手くは行かないのか・・・。
若い王エリンダルはこの災厄とも呼べるこの事態をたった1人で納めた・・・優秀な調合士を欲した、がそれはその者に喧嘩を売る行為になった。
謁見の間から出ようとしている調合士の名を呼び、足を止めた瞬間左右から兵士がその者を取り囲み、「我専属の調合士となれ」と言うはずだったが風も何も吹いて無い筈の者から突風が吹き兵士たちを吹き飛ばした。
その者は一度だけ振り返り扉の向こうへと消えて行った。
カードも手に入ったしお金も貰ったしこの国にはもう用は無いな、城門を抜けたあたりから馬車を探そうとしたが数日前とは見違えて人の出入りが多くなっておりいくつかの業者に話しかけたのだが満員だと言われた。
仕方なくその日は宿屋に泊まり翌朝食材を調達してから歩きで街道を歩くことにした。