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ゆっくりしたいけど

再び宿屋に引きこもります、でも毎日毎日どこで調べたのか知らないが使者が訪ねてくる、その度に場所を変えてるのにも拘らず・・・。

朝来て夕まで扉を抑えながら押し問答してゆっくり休めやしない



気分転換に薬草採取でも行きますか・・・その前に服屋行かなければ・・・。

部屋の中だから別にいいと思っていたがこのボロで昼間は歩けないなとか思いながらも、外には出て服屋に向かってるが、他の歩行者と微妙な間隔が空いている。

まあホームレスっぽい人と並んで歩きたくないわな・・・。


そうこうしている間に服屋に着く金は持ってるさっきギルドで未払いの報酬を受け取ってきたから・・・その代わりイタイ目で見られたがな、服屋に入った瞬間店員・客が不審者を見る様な目で見てきたが適当にサイズが合う地味な服を3着上下選び金貨1枚出す、するとさっきまでの態度とは打って変わりハキハキとした接客で会計を済ませ図々しくも値の張る服を持ってきたが「要らない」とだけ言って店を出た


適当な裏路地で地味な服に着替えボロはそこらに置いておく、まだ着ることは出来るからホームレスのガキでも拾うだろうここらはそういうのが・・・居た、そう思いながら鞄を担いで通りに出ようとしたがガキが数人姿を現した

手に枝みたいな物を持ちホントにボロの服を着て獰猛な目をしながら近づいてくる


「なあお前ら今日の獲物はこいつでいいな?」「いいですぜ兄貴」「金持ってなさそうじゃんww」「俺らよりは持ってるだろう」「え?マジでやるの?」



好き勝手なことを言ってる兄貴と言われた奴だけは他より少し体格も良く得物も一端の剣を持ってる、1人乗る気ではないようだが他はやる気満々だ、だけどこっちはそんな気はない中学生くらいのガキに喧嘩売られて買う馬鹿がどこに居る?いや居るかもしれないが・・・こっちではそんなこと関係なのだろうか

少し気になって事があったそれを聞いてみた


「なあお前らって成人してる?」


気になってたことというのは割とスールーしがちな年齢のことだ、見た目は中学生くらいだが栄養失調だとかで背が伸びないことはあるだろうしもしそれでガキ扱いしていたらちょっと悪い気がした。

それだけの軽い気持ちだったのだが


「こいつらはまだ成人してない」「・・・」「・・・」「あと数日だ!」「僕が一番年上・・・」


と落ち込んでいるみたい、おい最後お前一番背低いじゃねえか!?



とずっげーどうでもいいことだなこの状況には、鞄を下ろし何か入ってなかっただろうかと探す・・・・ダメだロクなの入ってないのでまた背負い直しリーダー格の少年に近寄りさっきの服屋の釣りを握らせた

「少ないけど取っておけ、出来ればこんなことは止めて真っ当に生きろよ・・・」


そしてそいつらに背を向け表通りの方に歩く後ろで「兄貴!こんなはした金でなにボサッとしてるんすか俺らに怖いもんなんて無いんだよ!あんな・・兄貴?どうしたんですかい」と聞こえるが振り返るのもあれなのでそのまま人ごみに紛れる





その後残された少年の1人は何故か心が落ち着いていた左手に握られていた銀貨十数枚と銅貨数枚、今まで同じような状況になりはした金を握らせられたことはあったがそれは精々銅貨2,3枚だ、銀貨なんて掏り空き巣・低ランク冒険者をボコった時でも数回しか見たこともない。

そしてあの男に手を握られた時よく分からないけど心が温かくなった、親の顔など当の昔に忘れちまったのになぜか懐かしかった

ふと足元を見たそこにはボロく所々黒ずんだ服が落ちていたそれを拾い臭いを嗅ぐ、血の臭いが鼻を突く

一体何人殺したらこんな風になるのだろうとそしてさっきの言葉を思い出す”真っ当に生きろ”その言葉がスッと心に入ってきた。

今まではどうなことをしてでも生き残る覚悟はあったつもりだったそれこそさっきの男を殺してでも・・・だが殺されていたのは俺達だったのかもしれない、手元の異臭を放つ服を見つめながらちょっとでも機嫌を損ねるようなことを言っていれば俺もこいつ等も・・・と首を動かし仲間の方を向くそこには心配そうに自分を見つめる姿があった。

「あ兄貴?大丈夫ですかい?」と聞いてくる一番先に出来た子分と文句も言わず付いて来てくれた仲間、それに唯一俺達に優しくしてくれたおやっさの娘さん、背はちっこいけど結構気は強い、こう見ると結構可愛いんじゃないか?じっと見つめ 何?って言ってるかのような視線を返してくる


「よしお前ら今日で俺達はこんなことから足を洗う、明日から真っ当に生きていくぞ!」


無理かもしれないがやってみよう・・・

「兄貴!?アイツになんかされたのですかい!待っててくだせい追っかけて絞めてきやすから」

「俺の言うことが聞けないのか?やめだ」

「でも兄貴・・・」

「大丈夫さ今もこうして生きてんだなんとかなる」


とすぐに追いかけようとするが肩を抑えながら止める、しょぼんとした子分を見て何の根拠もないがそう信じた、心のどこかでもう終いにしようと思っていたのかもしれないな


「さあ帰ろう今日は俺のおごりだ肉でも何でも食えるぞ!」



その声には歓声が上がりその日から彼は何故か急に丸くなった、仲間のことを不思議に思いながらも

仕事を見つけ大人になり家族が出来真っ当な人間に成れた、あの日あの出来事がなければ俺達は今生きていただろうか?と横に寝ているチビの寝顔を眺めながら眠りについた。



部屋の隅にはあの服が今でも残されそれが向こうの世界との扉になり気を留めておくことが出来た。

















まぁ・・んなことになるとは知らずに未払いを受け取るついでに依頼を取り森に向かってます。


ありゃ今日は人が多いな?狩人・戦士木こり・鑑定士・魔道士?僧侶ほかにも兵士・冒険者がチラホラと歩いているがなんかあったのだろうか?いくつものパーティが円陣を組む様に座って休んでおり作戦会議の様なことをしている風に見える

あぁ、遠くから見てるだけだから話は聞こえない別に聞きたくもないし、そう思いさっさと秘密の薬草群生地に向かった、しばらく行って無かったからどうなってるかと思ったら・・・すっげー茂ってる草丈は精々膝位しかないのだが、もう腰位まで伸びていて葉も三つ葉というより柿の葉だよこれ・・・。


そして薬草地帯の真ん中ら辺に青半透明の小さい人型が浮かんでるし・・・こっち見てるし・・・こえぇ



もう頭がおかしくなったのか?半透明の物体を見ていると少ずつ近づいてるように見える、目を凝らすが青いこと以外よく分からない・・ちょっと体に力を込めて気を放出させる、すると声が聞こえた


「怖がらないで、私はこのラルイスの妖精・・貴方のおかげでやっとこの姿に成れた・・・ありがとう」


ラルイスというのはこの薬草の正式名称だが・・・薬草としか覚えていなかったのですぐにはピンと来なかったが奇妙なことに気付いた、俺の放っている気がその妖精?の方に流れて行っているそれに従って色が濃くなっていっているような・・・放出量を上げ空に向かって気弾(白気)を投げる木より少し高いところで飛散させ周辺の木々に降り注ぐそうすると木々が騒めき妖精?が笑った


そうか本物か、本物の妖精か・・・。


何歩か近づきラルイスの背丈ほどの妖精の前でしゃがみ込むそうすると大体顔が同じ高さになる、いやちょっと浮いてるから向こうの方が高いかも、ちょっと失礼して肩に触れる「冷たい」と感想を零す 

また妖精は笑う、その表情はとても可愛らしい。そのまま軽く手を置いたまま気を流す一気にではなく 気持ちを落ち着かせゆっくり緩やかに・・・妖精は少し困惑した表情になったが特に嫌がりもしなかったので続けた数分経った・・・かどうか分からないが結構気力を使ったので頭がふらつく、

地面に両手を付き深呼吸し息を整え前を見るが妖精の顔が見えない・・・あれ?っと思い立ち上がるすると俺の胸の辺りまで背が伸びていて半透明からほぼ実体化していた白いドレスの様な服を着ていて耳が尖がっている背中には羽があり今は浮いて無い様でフワフワ上下してない、その代わりに子供みたいに走り回っている



エルフに羽って生えていたっけ・・・俺の知ってるエルフは森の民って位置づけなのだが妖精だったのか?だけどレギスさんはこんな感じじゃなかったしな・・・走り回ってるのを見つめながらそんなことを考えていたのだが、背後から矢が飛んできた。

とっさにそれを避け飛んできた方向を凝視する一瞬弓の弦が見えた気がした。

背中の鞄から既製品の剣を取り出し構えるそしたらゾロゾロと20人近くの武装した・・・なんだ傭兵と見覚えがある冒険者が半円状に姿を現した。

さっきの弓とまだ木の陰に隠れている奴の気配が数人する遠距離だろうな・・・魔導士かさっき入り口当たりに屯っていた連中か・・・狙いは後ろで走り回っていた妖精か?今は背中に張り付いている



「ありゃ先客がいるよ?」「あ?」「問題ないでしょう」「俺達が最初に見つけたのに」「横取り少しようなんて」「殺してもいい?ww」「妖精か・・・高く売れるだろうなキッキッキ」



・・・背中に引っ付いている妖精に話しかける「少し隠れてろ危ないから」だが背中から退こうとしないし尚更掴む力が強くなる。

仕方なく体をひねり首根っこ掴み持ち上げるそして落ちても痛くないであろう力で木が密集している場所に投げ光の鎧を纏わせドーム型の気を張る。

音は聞こえないはず景色は見えるがな、準備は終わったのでまた武装集団の方を見直し構える


「おいそれは俺達が先に依頼されたものだ横取りすんじゃねえぞ!!」「ねぇ殺ちゃおうよw」「あの妖精から物凄い妖気が感じられます」「ほう・・利用すれば死ぬまで遊んで暮らせるなww」



ほとんど前衛で隠れてるのが遠距離か、ごちゃごちゃ何か言ってるが知るか、どうせロクな奴等じゃないんだ骨の1、2本覚悟してもらおう



何人か斬り込んできたが「遅い・・・」死角から魔法の矢が降り注ぐが「弱い・・・」試しに一番力のありそうな大斧を頭で受けてみたが斧が砕けただけでこれっぽっちも痛くない「雑魚い・・・」全く期待外れな雑魚共が集まっただけかよ。

少し油断した時肩に矢が刺さっていたどっから飛んできた?引き抜きながら周囲を見るが気配は感じられない1人1人相手にするのも面倒だ。


一度全身に気力を漲らせ全方位に咆哮を発動させ武器を持った前衛と草や木の陰に隠れていた、遠距離を吹き飛ばし一か所にまとめ消し飛ばそうと左手を掲げた時妖精を投げた方向から「こいつがどうなってもいいのか!!」っと声が聞こえ振り向くと薄笑い顔の盗賊が片手斧を振り下ようとして構えていた。

こいつ等のは見えてない二重のシールドがあることは、背後を取り人質を取ったと勘違いしているのであろうが右手に持っていた剣を投げその男の額に刺さり血と中身が零れながら倒れる。

そしていまだ気絶しているであろう奴らのほうを見た後女の魔導士の1人が目覚めたようだったので何で妖精を捕らえに来たのか聞くが命乞いが五月蠅い、さっき殺した盗賊の死体を風で巻き上げそいつの傍に落とす、すると一気に静かになり細い小さい声で話し出す



「私達はただ依頼されただけなの・・・この森の近隣に住む貴族から、夜青白い人影が毎晩のように目撃されるからゴースト退治エキスパートの冒険者が集まりここに来たのだけれど・・・何日探索しても見つからず報告期限が迫っていた今日貴方がこの森に入っていくのを見て後を付けたの、そしたらあの妖精が居て貴方に取り憑いているのかと思って解呪魔法を掛けたのだけど何もなっていなかった。そして皆妖精を見て目が眩んでしまったの・・・私は止めたのよ!妖精に手出ししたら祟りが来るからって!でも誰も信じてくれなかった。そこからはさっきの通り・・・・・さあ全部話したから私は助けてよ・・・なんでもするから殺さないでよ・・・」



女が話すことをずっと聞いていたそして、女は横たわっている男の残骸を見て泣きながら足にすり寄って来る・・・邪魔くらしい、その女の首を持ち上げ足が付かない高さまで持ち上げ脅迫する


「おい、そのゴミと仲間を連れさっさと去れそして二度とここに近づくな!次は無い・・それとその依頼人には”何もなかった”と報告しとけ」


ここまで言って首を掴む手の力を緩め女は地面に落ち首を抑え息を整えようとするが「聞こえなかったのか?今すぐ立ち去れと言ったのだが?」と発言したら青い顔で首を激しく上下させふらつきながらゴミと仲間を何かの魔法で浮遊させそそくさと姿を消した、完全に気配が遠のいたのを確認し妖精に掛けて置いた気を解除する、俺を見てギョッとしビクついたまま肩を震わせていた。



それを見て何も言わずその広場を半径10メートルほどの位置で円を描き外側から全力で力を放出させる、それに驚いたのか妖精はバッと飛び上がり外に出ようと走ったがその前にドームのシールドが完成し、外から中の様子は見ない・・・というかそこには何もないただ数人でピクニックにでも来ればいいような空間が広がっている風にしか見えないようにした。

結局自分が蒔いた種だからこれくらいしか解決策が思いつかなかった。




その場を後にし帰る、もうこの森に来ることは無いだろう



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