自分勝手
どうすっかな・・・・腕組みをし強行突破でもしようか迷っているのだが
「貴様等は包囲されている大人しく投降し処罰を受けるというのであれば手荒な真似はしないがそのまま抵抗するのであれば容赦しない!!」
とさっきからずっと叫ばれているのが一向に捕まえられる気がしないのだがどうなってるのだろう?
さっさと帰ってかつ丼食おうと思ってたのに変なとこで時間が掛かるな・・・。
こっちも向こうも様子見で動こうとしないが城から見覚えのある奴らが3人ほど出て来て1人が俺に向かって「おい!?仮面の男!いま俺達が陛下に直談判したからこっちに来い!!」とヤンキーがでかい声で叫びその声で周りに居た兵士が剣を下ろし道を開けた
罠だったらぶっ潰すぞテメェ等・・ヤンキーに負けず劣らず口悪いな俺・・・左右に分かれた兵士の顔を睨みつけ前へ進む、さっき調理場で見た兵士が居たが敬礼した状態で目も合わせない後ろから3人が付いて来ていることを確認しそのまま勇者が城に入りその後ろに続いた。
そして物が散乱した謁見の広間に着き入り口付近に落ちていたヒビの入った仮面を再び被り赤の絨毯の上を歩き玉座の何メートルか前で立ち止まり後ろの3人は跪き俺は前を見据えたまま腕を組みそのまま待とうとしたが、後ろで「何をしている!君も早く跪きなさい!」とおっさんの声がしたが周りに居た白騎士や兵士を見て「俺に”跪け”と思っている奴手を挙げろ」と別に声は荒げていないが難聴でない限り聞こえるであろう声量で言葉を発し反応を待ったが今集まった武官を除き誰も挙げようとしなくその武官も近くの文官と兵士にに諭され手を渋々下げた。
この反応を見たおっさんは目を見開き「えっ、え?」とキョロキョロしながら間抜けな声を漏らした
まあ腕組みの状態で10分程待っていると前方の扉が開かれ勇者の2人と豪華な服装と装飾品を身に纏った肥満体系の国王が気の重い足取りで一度俺を見て不愉快な表情を作り玉座に座った、そして
「皆の者急に集まらせて悪いな。さて、いきなり本題に入るがリュウヤ殿とユウマ殿の故郷の味1つと擬似しているというその方の料理は一体どこから学んだものだ?わが国には存在しない調味料を使っていたとも聞いておるお前は何なのだ?」
と首を傾げながら疑問を投げかけられるが「お前には答える必要はない」とだけ話し口を閉じる、その返答が気に食わなかったのか。
「そして何だ!その仮面・その態度は!!無礼にも程がるのだぞ!どこの田舎者か知らないが、我をアルキメス王国代11代ギメス・サ・アルキメスと知っての所存なのか!?それに我の武器を勝手に破壊しその態度だとは万死に値する!!」顔を真っ赤にしていきり立っているがアンタの名前は初めて知ったんだが、この仮面が気に食わないのと武器?ガッリツの部下のやつか?勝手に人の武器を奪っておいて所有物にし破壊したから許さないと?
「面倒な・・・」と呟き片手で仮面を外し鞄に入れるそして前に向くが特に何も反応を見せない、あれ?と思って勇者の方を見るが同じ反応・・・・。
なんだ・・・忘れたのか?同じ日本人だろうが?自分で勝手に自意識過剰になってこんな仮面被っていたのか・・・忘れられたとも知らずに、そう考えると武器のことなど一瞬忘れ急に可笑しくなってきた・・・自分が滑稽に見えた
「・・・ファハハハハッハハハハッハハハッハハハハハッハ!!」
顔半分を手で押さえ声を大にして腹を抱え床に転がった、周囲は何だこいつ?とでも思ってるだろうがそんなこと関係ねぇ気が済むまで床で転がりまくり腹筋が痛くなるまで続いた。
何分経ったか分からないが収まり起き上がるそして国王を睨み真顔に戻る。
「俺を勝手に召喚して行方不明になるも探さず放置した人でなしが?俺を”殺そう”と部下が奇襲してから奪った武器を自分の所有物として扱って本人に破壊されたら怒るのか!!あぁん?おい屑王よ!!」
最初は淡々と話し次第に口調と声量を上げ最後に咆哮と同時に声を張り上げる、途中で勇者のイケメン君が俺の方を見て何か言いたそうだったが無視し1歩1歩玉座に近づいていくが白騎士はおろか近衛兵も立ち竦み動こうとしないそれを見て危機を感じたのか
「おのれ!我を愚弄した上出鱈目を!!・・・抜かすかァ!!この者を引っ立てい!!切り捨てても構わん!」
と王は騎士兵士に命令するが依然動かない、が
そこに2人動いた人物が居た勇者イケメンとライバン・ウィルの2人が俺と王の間に立ち塞がりよくわからない表情をしていた
勇者が間に入ったことで安心したのか玉座から転げ落ちる寸前だったデブ王は深く座り直しイケメンに
「おお!ユウマ殿申し訳ないがこの不届き者を始末してくれ!」と命令したが2人は振り返りその場で跪くが視線だけはずっと王の顔を見つめていた。
そしてライバンが覚悟を決めそれなりの大声で話し出す
「陛下・・・恐れながら申し上げますこの者が申したことは事実でありガッリツが陛下の軍を動かし各地で略奪を繰り返しておりました。そして当時この青年が所持していた武器を奪い陛下に献上したことは黒騎士団の生き残りを取り調べを行った結果分かりました、ですからこの青年は自らの武器を破壊しただけにすぎません。お言葉を取り消すようご忠告申し上げます」
と床に頭を付ける
声を聞いたであろう左右の家臣や後ろの3人が声を挙げるが王が手を挙げ、静まった
重鎮からの忠告を受けた王だがライバンからイケメンの方に視線を移し用件を待ちイケメンはライバンの方をチラッと見た後口を開き小声で話し出した
「陛下・・・恐れながら申し上げます、陛下はお忘れになられたかもしれませんがこの人はあの日僕らと同じく召喚された日本人です!だから・・・という訳では無いのですがあの料理を再現することが出来たたのだと思います、でも彼はまだ日の浅い時期に行方知れずとなり僕らの前から・・・いえ記憶から消えてしまいました。それから今に至るまで全く思い出そうともしませんでしただけど、・・・そうですね勝手に呼び出しといて何の加護も受けることが出来ない状態で彷徨い続けていた可能性があるのであれば、僕も彼と同じ気持ちになっているでしょうね・・・ですから王様前言撤回し謝罪の1つも言ったらどうですか?」
途中で俺の方を見てからさらに前に詰め寄り判断を待った
信頼していた家臣と勇者に予想外の反論を受けた王はしばらく俺を睨み呻るだけだったが開き直り
「国王たる我が貴様のような勇者の出来損ないに謝罪だと?笑わせるな!ユウマ殿?そなたの言いたいことは理解したが、我はこの国の王だ!出来損ないの勇者風情に頭を下げるほど安い首ではない!!だがそれではユウマ殿の面目も立たないであろうから今回の非礼については2人の顔を立て目を瞑るが・・」
「だが次無礼を働けば死刑は免れないと思え!出来損ない!!」
とここで王は目を瞑るがすぐに大きく見開き手に持っていた扇子で俺を指し少し腰を浮かせ、家臣皆に聞こえる声で叫びドッカリと深く腰を鎮めた
家臣が王の叫んだ言葉を拾いコソコソ話す声が聞こえる。
「出来損ない?」「彼も勇者?」「いや勇者様は2人だけだ!」「何と寛大な御心遣い!」「切り捨てられても文句は言えないのにな」などと割と地獄耳な俺にはそんな声が聞こえたそしてため息を吐き振り返りおっさんの方に歩くそしてその横に立ち
「はぁ・・・別に俺のことはどうでもよかったのだが?それで勇者共料理長の件早く屑王に了承を得てくれよ?立ってるのも疲れんだからさあ・・・?」と催促し欠伸をし王の額に青筋が浮かぶのが見えたのだがそのまま待った
またイケメン君が屑王の前に跪き
「王様、僕もリュウヤと話し合いその条件が一番友好的で好ましい物だという結論になりました。ですから前ガイル料理長殿を再任命してもらえませんか?」と顔色を窺うように見上げる
屑王は立ち上がり段を降りブツブツ呟きながら
「誠に不本意ではあるが・・・ガイル・リント前へ」
呼ばれたおっさんは服に着いた汚れをはたき王の前に恭しく跪き言葉を待っている「其方を再び王宮料理長に任命いたす異論は無いな?」と懐から巻物を取り出し開きおっさんの頭に乗せ「謹んでお受けいたします」と返した際それは青い炎となり燃え尽きた
まだ納得がいかないといった表情をしている屑王だったが、入ってきた扉から出ていき終始俺を睨み付けていた。
勇者の2人がこちらに近づいて来てヤンキーが「おい!約束は果たしたさっさとかつ丼を作れ!」と催促してくるが「まだ終わってない」とだけ返しまだ跪いて居て動かないおっさんの方に歩いていくと、肩を叩く感極まったのかおっさんは涙を流していた。
「アンタらに用がある」と我儘女カリンの方にも視線を向け調理場に付いて来いと言い向かう、そして着替えてもらい古本屋で買った本を取り出し
「今から2人に俺の料理を再現してもらう一応この本に書いてある手順を訳するので分からないならそれ見てやってくれ」といい30分位で数品の日本の料理を翻訳し2人に渡す材料は少し違うだろうが一通り揃ってるであろうこの場所でまず何も言わずに作ってもらうがどれも失敗に終わる。
2人が悔しそうにしてるのを見てあれ?手順合ってるよな?と思い直し紙に書かれた手順通りにかつ丼を作り見せるが、2人はジッと見つめたまま動かない我儘女に至っては涎を口から流し手掴みで食べようとしている。
仕方ないので皿に分けて前に差し出すフォークを使いがっつく女とその豹変ぶりを見て唖然としているおっさんは恐る恐るといった感じでカツを口に運んでいた、すると目が零れ落ちるのではないかと心配になるほど見開き手を進めていき完食したと同時に「君は一体・・・何ランクなのかね?」と聞いてきた少し不思議に思ったが「Eランクですが?」と答える。
おっさんは苦笑いしながら「そっちじゃなくて技能の方なんだが・・・?」ああ・・・調理師の方か?ならばギルドカードを取り出し気を注ぐそして非表示の設定を一部残して解除し渡した。
おっさんはそれを受け取り数秒見つめてから「ギィイャァアアア!!」と奇声を上げ
我儘女の方に放り投げ床に頭を打ち付けた、それを見た娘の方も「えっえ!?」と表記を見て挙動不審になっている
名前 ユウー
種族 人間 性別男
Eランク
戦闘力 10 (550)
属性 なし (気)
パーティー名 なし
スキル 筋力UP(鍛冶士皆伝)調合士特級・調理士特級
こんな感じなのだが何かおかしいか?腕組みしながら「見りゃ分かると思うが調理士と調合士が特級だけど何か悪いのか?」と挙動不審になってる親子に向かい聞くが「「え!?マジ?」」と声を揃えて振り向かれる目に光が灯ってない・・・真顔でおっさんが「なぁカリン・・マジで彼とはどんな関係なんだ? お前も年頃なのだから相手を見つけなければな?・・・将来のことを考えて婚約を頼もうか?・・・」と肩を組みチラチラこちらの様子を伺いながら小声で話している、それを聞いた娘の方は顔真っ赤にして首を左右に振ってるが・・聞こえるんだよな地獄耳だし・・・・。
腕を組む直し目を瞑るそして考える・・・
冗談じゃない・・・いや無くないが向こうじゃ結婚も多分出来なかっただろう俺だからそういうことには嫌悪感があるというか、無理・・・。
俺も性別は男だからそういの想像したことあるが無理、怖い、女怖い、これまでの感じから行くと自分はかなり女運が無いだろう?そして元の性格上普通に接することは出来ない
片方は貴族のお嬢様で片方が・・・平民だったら大概結ばれないだろうだが実力があれば少し話が変わってくる悪い方に・・・権力かなんかで押さえつけていい風に使われるに決まってる・・・。
日本だと少ないだろうけどこっちだと日常だ、そういえばこのおっさん上級調理士だったな?で俺の特級の表示を見て腰抜かしていたことを考えるに特級はかなり珍しいのか?それは調理だけに関することなのか?調合の方も見せてしまったがそれは良かったのか?もしどちらか片方の特級を習得するのにとてつもない時間と努力・才能・金などが必要になっていた場合特に強そうでもない、青年が2つも持っていたらどうなる?
それを知った貴族はどうする?婚約・・・はまだ良い方かもしれない建前だけかもしれないが、頭の悪い貴族なら権力か金で買い奴隷かなんかにしたがるだろう
もし特級がそこまで珍しいもの出ればだが・・・?
そこで目を開き挙動不審な親子を見る、おっさんは一度笑みを浮かべ会釈した・・・もう分かる、いつの時代も金持ちは権力や金を際限なく求めるものだと思っていたその考えは間違っていなかった。
いくら人が良さそうでも根は貴族の根性で欲しい物があればできるだけ手元に入れたいと考えるのだ
人を者扱いにされるのはとても不愉快だな、俺が悪い方に考えすぎでもいいだろう俺の体んだからもしこの我儘女と結婚したとして幸せに死ねるだろうか?多分死ねるだろうけどなんかな・・勿体無いなーー
我儘女の方を見て、こいつ食い意地は結構なもんだが顔は良い分類に入るだろう俺じゃ釣り合わないなー
それ以前になぜこんなにも舞い上がってる?何で俺はこの女と結婚する未来を考えている?無理なんだよ勿体無いんだよ俺には・・・人殺したくせに・・何人も何人も殺したくせに、腕組を解き手の平を見る
仕方なかったと言えればすべて片付くが今になって罪悪感が湧いて来た本当今更、殺した奴にも家族が居たかもしれないのにその人達の生活壊したの俺なのに・・・幸せになれる?
なれないな成れないわ迷うようなことでなかったんだ・・・
迷いを断ち切りまだコソコソ話している親子をしり目に紙にまとめた料理を完成させていく、それを試食してもらい各自完全再現できるまで続け味噌と醤油の作り方も教えまとめた。
これで俺は用無しっと・・・
まだ顔を赤くしている女の方に歩いていき
「それでは依頼完了しましたのでこれで失礼します」
「いえいえこれだけのことをしてもらったのです私からも何かお礼をさせて戴けないでしょうか、どうですかなこれから私の屋敷で晩餐でも?綺麗どころを集めておきますが如何でしょう?」
と報告し帰ろうとするがおっさんが立ち塞がり無理矢理気味に笑顔でと歓迎ムードで声を掛けてくるが
「いえ、疲れているので宿屋で休みたいのです」
「そうでしたか、では尚更お越しいただきたいですね我が家敷には整体を専門としています医師を何人か住まわせているのですが1度ご体験なさりませんか」
・・・ちょっとしつこい、肉体的な疲れじゃなく精神的なものだ・・・ここにいるだけでもすり減っていく
強引にも見える誘いを断りそそくさと宿に帰りベットで横になる・・・「明日服買わないとな・・・」
とか思いながら眠りについた