王宮へ
今日は待ちに待ってない厄日天気は曇り、古着屋で道士服を借り最初は包帯でも巻いて顔を隠そうと思ったが古着屋の奥に奇妙な仮面があるのに気付いた。
赤と黄で塗り分けられた仮面・・店主に「やめといた方がいいよ」と言われたが無理言ってそれを譲ってもらい被る、別に呪われているとかではないようだ。
・・・いやちょっと待てよ、”竜の加護を受けし者”があるから呪いの類は効かないのではないのだろうか、ならあの光の蔦は呪い系の魔法では無かったのか?
割とどうでもいいことを思いながら城門まで歩いて向かった、進むにしたがって次第に市民の格好でなく騎士や貴族が多く出歩く区域に入っていた、奇妙な仮面と服装で大きなカバンを背負っているのは俺しか居なく、そんな奴に近づく者も居なかったので何事もなく城門の検問所までたどり着いた
そこには馬車で長蛇の列が出来ており兵士が忙しなく動き回っていた
キョロキョロと視野が狭い仮面から御付きの姿を探す「確か城門の左の方に・・」あ、それらしき人物を見つけたが2度見をしてしまった、馬車の合間を縫うようにして近づくこちらに気付いたメイド服を着た御付きが不審人物を見る視線を向ける、目の前で止まり他の誰かに見られない様に仮面を取る一瞬安堵の表情を浮かべるがすぐに真顔に戻し「案内しますから付いて来て下さい」と脇にある小さい扉に入って行った、それに付いて行きながら再び仮面を被る
城内を歩きメイドや兵士の痛い視線を受けながら通路の扉の前に付くが黒騎士が2名両脇に立ち槍を交差させ扉を塞いでいる「貴様止まれ!今は誰の立ち入りも許さない立ち去れ!!」と強い口調で放たれる
が・・・リイはその黒騎士の1人に近づきその華奢な体を密着させ口づけをし服を脱いだそして振り返り俺を見て今にも泣きそうな顔をしてから笑った
するとそいつらが下衆の笑みを浮かばせリイの頭を乱暴に掴み
「この女分かってるじゃないか、ならすぐに気持ち良いことさせてやるよ!」と無理やり口を開かせ再び口づけをしもう一人が小さな体を弄り小さな喘ぎ声を上げるのを楽しんでいる
その状況を理解できず立ち尽くす自分が居た
おい、お前何やってんだよ!!もしかして最初から・・・自分を捨てる気で俺を? 何でだよ!お前俺のこと嫌いだったろう!こんな奴のために何してるんだよ・・・頼むからやめてくれよ・・・
悲痛な叫びは誰にも届かず代わりに心の奥底から怒号が溢れて気が爆発した
「・・・・やめろ・・・それ以上・・・そいつに・・・触れるなァ!!!」
と咆哮したと同時に赤と黄のオーラが体から放出されその騎士を吹き飛び鉄の両扉に叩きつけられ聞き障りな金属音を発した
リイよりも前に出て床で伸びているゴミ共の首を怒りに任せへし折り閃光を放ち消し飛ばした、心を静め振り向きマントを少女の正面に掛け風圧で飛んでしまった服を拾い渡そうとしたが、差し伸べた手を掴まれ抱きつかれたがすぐに離す、涙を浮かべでどうして?と聞いてくるが 「誰かを助けるためだったとしても人間を殺して汚れた俺に・・・」と言おうとしたが途中で少女は首を勢いよく左右に振った
・・・違ったのか?俺は余計なことをしたのか?あの後薬かなんかで眠らせる予定だったのか?俺の感情に疑問を浮かべたのでなく殺害したという行動にその疑問はぶつけられたのか?じゃ・・その涙は俺じゃなくあの騎士を思っての涙なのか?
・・・勘違いで人を殺める俺って馬鹿だよなァ
スッと立ち上がり「早く着ろ」とだけ言い後ろを向く1分位で着替え終わり服の皺を伸ばしているその時何人かのメイドに見られたがお辞儀されただけでそそくさと立ち去って行った
黒い煤が残っている鉄の扉を押し進むその廊下は明りが付けられておらず薄暗かった、御付きが先行し1つの扉の前で足を止め3度ノックする 中から女性の声がし扉が開かれる見慣れた女と・・・誰だ?この御付きのようにメイド服着ている女性この2人よりは上に見えるが。
「あ、リイお帰りなさい大丈夫だった?・・・後ろの人は?・・・それとさっき大きな音がしたけどどうやって気づかれずに来れたの?」とカリンがリイの姿を見て安堵し声を掛けるが俺が入るとリイに正体を訪ねもう一人のメイドはカリンの前に立ち臨戦態勢になるが疑問を早く解決したいのか早口に喋った
それに答えるためリイは口を開き謝罪をする
「お嬢様カイラ様お待たせしてしまい誠に申し訳ありません。お嬢様約束通り彼が来てくれましたこれでひとまず難は凌げると思いますが・・・不手際で見張りを殺してしまいました」
いい知らせで顔が明るくなるが見張りの件を言ったとたん空気が重くなった、そしてカイラと呼ばれた年上のメイドがリイの前に立ち頬を何度も引っ叩き乾いた音が響く
「リイ!!貴方は自分が何をしたのか理解しているの!?囚われの身であるお嬢様のお世話をする私達が新たに問題を起こしてどうするのです!その素性の知れない方をノコノコ連れて来てお嬢様にもしものことがあったらどうするのですか!!お嬢様と貴方が何の根拠もなく助かると信じ私の忠告を聞かなかったことでこんな事態になっているのですよ!!出来損ないの分際で勝手なことをして!私が貴方の代わりにガッリツ様に何度許しを請いに行ったか知っていますか!貴方など見張りにでも犯されればよかったのです!!」
途中でカリンが止めに入ったがそれでも何度も罵声を吐き怒りをぶつけそして最後に言った言葉のせいで先ほどの出来事がフラッシュバックした、リイは何も話さなくなりカリンはカイラに「酷い何でそんなこと言えるの?私達家族でしょ!!」と責め立てている
この状況で俺はただ立ち尽くすだけだった、「不手際」というのは俺のことだろうわざわざ事を大きくしてしまったのだから、だが何でこんなにも怒りが湧くんだろう、最初は関わろうともしなかったのに今じゃ人殺しまでしてしまった、何が起こったんだろう俺は・・自分の変化に付いていけないが、それよりカイラというメイドに向かい話す
「見張りを殺したのはそいつじゃなく俺だ、ついカッとなってやってしまったそれと2日前ガッリツという野郎に殺されかけた。なぜ俺のことがバレたのか分からなかったが今合点がいったお前があの野郎と内通して俺が邪魔で始末しようとしたこと、だがそれは失敗してまだ生きている、予定が狂ったアンタはリイを役立たずと罵りついでに俺も何も役に立たない存在として扱いカリンを騙し野郎から報酬かなんかを貰う算段だったみたいだがもうバレバレなんだ白状した方がいいぞ?」
出鱈目だがこいつが内通者だということは確定でいいだろう、こいつと同じ気を持った者があの場に居て俺を攻撃してきたのだから、気ってのは指紋みたいなもんで似ているがどっかこっか違う場所がある、でその攻撃してきた中の1つにその女とそっくりな気は有ったさっき会ったばっかりだから見間違えるはずもないし独特の雰囲気も出ているから同一人物であると踏んで何もしゃべらなかったが、さあ当たっているだろうか?
俺に発言に3人はポカンとしリンという御付きが進み出て俺の前に立ち手に持っていたナイフを向け
「黙れ!!この者は出鱈目を抜かしお嬢様を陥れようとしているのです、それにこの状況では貴方が一番信用ならないんですよ、さあカリン様今からでもまだ間に合いますガッリツ様にお父上の罪状を軽刑させていただく様にお力添えを請うのです!」カリンの肩を抱きしめながら耳元で囁いている
「部外者と言う点では合っているし状況をややこしくしたのも悪かったと思っているが、俺がもう不必要であの野郎に下るというのであれば契約は解消する」淡々だがはっきり言い背を向け部屋を出ようしたが何かに抱きつかれた、首だけ後ろを向くとリイが手を回していたのだから、正直驚いた
「私はこの人を信じます・・・だからあんな男の言いなりになってはいけません、きっとお父様もそう望まれているはずです。それにカリン様はこの人の作った料理を食べてみたいのでしょう!・・・ダメもとでも賭けてみたいのです、きっと大丈夫です名前も知らないですがね」
顔を上げ背中に顔を埋めながらつぶやく様に話し最後にだけ振り向き、場違いだけど無邪気な少女の笑顔を浮かべた
その笑顔に釣られ苦悩していた表情が打って変わり晴れやかな笑みになり「そうでしたね私は貴方の料理が食べたいがためにこんな無謀な賭けをしているのでしたね、もしダメだったら貴方を殺しますからね?名無しさん」
おい 最後の一言・・・で顔が引き攣るがそれを見てさらに大笑いする2人と、不愉快をしているやつ1人
「・・・もうどうなっても知りませんからね?後で命乞いをしても助けられませんからね!!・・・貴様が邪魔に入らなければ!」
最初に忠告をし諦めた様子でボソッと近くで怒声が聞こえ部屋から走り去った
カリンとリイには衝撃的な出来事なはずだが特に取り乱している様子もなく何か準備をしている
「何ぼけっと立ってるんです?これから私達の運命が決まるというのに・・・あ!陛下のの客人に御召し上がれる前に私が味見をするのはどうでしょう?ただ食べたいだけですが!」
カリンが突っつき頬膨らませるそして料理を食わせろと命令してきたが、まあいいか簡単な手抜きくらい作ってやろう
こうしてしばしの時間が流れとうとう祝勇者様パーティーかなんかが始まる時刻となった