表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/99

新しい知識


あの戦場に出た日からろくなことが無い、宿屋に居てもギルドに居ても武器売れだのお前にはもったいないから寄こせだの、軍兵だけかと思ったら頭の悪い貴族や噂で他の町から来た冒険者にもちょっかい掛けられ、陶しく思い宿屋に引きこもっていたが店主に迷惑だから出て行けと言われ。

イヤイヤ食べ歩きをしている、別に特別美味しくもない料理にお金払って食べたいとも思わないがなんも食べてない状態で露店歩くのも気が引けるので、入り口近くに焼き鳥みたいに肉を串刺しにして売っているのを2本買い見て歩く。

特に珍しい物もない、地元でやっていたバザーみたいなもんだ。

食べ物屋・服屋・骨董品屋・武器防具屋・アクセサリー屋・本屋・薬屋。

目が留まったのは本と薬だが両方とも高い。

識字率が高いのか低いのか知らないがどっちにしてもこんな値段だと誰も買わないだろう、と店を出ようとしたら近くで声がした。


「あんた若いのにこの字が読めるのかい?」


しゃがれた婆さんの声だ、どういう意味だ?普通若いほうが文字は覚えやすいだろうに?年の応じて文字が読めるなんてどこの世界にそんなもんある?いやこの世ならありそうだな・・・。奥から足音が聞こえる、目を向けると若い黒髪の女性が顔をのぞかせた。


「いらっしゃいませ~」 さっきのしゃがれた声ではなく掠れてはいたが年相応の声だった、さっきのは幻聴?


軽く会釈をするがその人はじっとこっちを見ている。

なんだ気味悪いなさっきの声といいこの子といい幽霊でも居るのか?

「あの~お客さんこの文字読めるんですか~?」

ぎりぎり顔が分かる位置で話しかけているから言葉の間隔が伸びて聞き取りずらい。

一応頷く日本人なら誰でも読めるだろ日本語なんだし・・・え?日本語!?

適当に中身を流し読みしていたが勢い良く閉じ表紙を読む・・・・。周りにある本で目に留まったのがいくつかあり


”本格派料理の本” ”初心者のための剣術” ”薬剤師のための本” ”伝説の勇者第1巻(絵本)”!!

それぞれ手に取り中身を確認する丁寧に説明や図式が描かれてておりこの数か月で一番興奮した、他もないかと探したがこの四冊だけだった


「すいませんこの本はどこで手に入れましたか!?」

ちょっと喰い気味に奥に居る女性に聞いたところビックリしたのかスッと消えるように走り去ってしまった。


追いかけようか迷ったところにしゃがれた声で「やはり読めるんじゃな」と聞こえ隣に目をやると俺の腰位の高さに白髪頭の婆さんがこちらを見上げているのが見えた。

・・軽い恐怖映像だぞこれ、というかどっから出てきたこの人?


「そんなに怯えんでもよかろうに、その4冊は我が家に代々伝わってきた書物なのだが家の皆も読めず若い頃国の文学者調査を頼んだがまった読めなかったのじゃ」

お、おう・・・。

日本語だもんな誰が異世界の文字分かるかいや、少々挙動不審になりながら話を聞いていた。


「これが読めるということはおぬしこの世界の人間では無いな、まぁどの世界でもイイわい悪人には見えんからのう。それはおぬしが持ってお行きなさい読めもしないワシ等が持っていても何の意味を成さないだろうからのう、お代は要らんからのう」


そう言い持って行くように身振りで示す、この老人の背丈だと本棚届かないもんなとその時は思った。

4冊を鞄に入れ何かお礼がしたいと思ったが、代わりになりそうな物はここ毎日訪れる奴等が欲しがる武器位だと気づいた


そこで一番・・・何の変哲もなさそうな短剣を渡そうとしたが


「あーワシじゃなく孫娘に渡してくれんかのう、もうじき帰って来るじゃろう昔から気が弱くてのう・・・ほっほほ」


そう会話しているうちに後ろから


「あの~さっきおばぁちゃんの声がした気がするんですが・・・。」

とキロキョロと顔を動かしているが見当たらないようだ、それもその位置からじゃ俺の陰になって見えな・・・あれ?振り向いたが居ない。

さっきもそうだったが気配無く近づいて来るんだよな、結構気を配ってるのに



「ああ、さっき貴方のおばあさんに本を貰っていいと言われまして、お代は貴方に渡してほしいと」

 と鞘ごと短剣を渡す、それを受け取り明りに照らし「綺麗・・」と感想を呟かれた。

払うものも払ったし帰ろうしたら声を掛けられた


「あの~なんでお客さんおばぁちゃんのこと知ってるんですか?」と首を傾げ聞かれた


不思議なこと聞くなぁー?と思ったが「さっきそこで本のこと聞いたので」と答え


「そうですか・・・私もたまに聞こえるんですが姿は見たことないんです」


・・・・・え?と思ったが続けて


「おばぁちゃん私の生まれてすぐに死んでるんです・・・でもたまに懐かしい声が聞こえるんです、さっきみたいにでも姿は見えないんです。でもお客さんには見えたんですね、その本は私も何が書いてあるか分かりませんでも絵が描いてあるのは読めないですけどなんとなく悲しいお話でした」


・・・・。

幽霊は割とゲームとかで出るから見る機会があれば信じようかと思っていたが・・・。

と、立ち尽くしているところ



「この短剣は大事にしますね。お買い上げありがとうございました~」


・・・最後は伸ばすのか。



興奮は収まっていないがそれより度肝抜かれるが起こってしまったので喜んでいいのか落ち込もうか微妙だな






精霊の短剣+6

精霊が宿ってるかもしれない短剣、持ち主に幸運を運んでくるかもしれない


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ