戦闘終了
3時間ほどの戦闘で死傷者と重軽傷者が半数を超える惨事となったがぎりぎり勝利を収めた。
東側もじき終わるだろう。
司令官に宴やなんやらと誘われたが酒臭いところは嫌いなので断った。
ギルドの依頼報酬は数日後になるようだ、負傷者・死者が多く出しすぎたせいだろう手続きが嵩むだろうし死亡手当を遺族に支払わなければならないだろうなから、下手したらも少し先になるかもしれないな?
宿屋に帰り風呂に入りさっさと寝る、今日は疲れた。
翌日ギルドに行くと位の高そうな軍服着たおっさんと付き添いの・・・騎士が整列して脇に待機している、ギルマスでも待っているのか?
報酬金を受け取りに受付に話しかけるがまだ準備出来ていないようだ、それならいつものように薬草依頼を受けようとしたら軍服の奴らに囲まれ、一番身分の高そうなおっさんが声を掛けてきた
「この度のご活躍はお聞きしております、どうですかなお茶でもご一緒致しませんか?」
おっさんとお茶する趣味は無いんだが、なんかこいつ見覚えあるが・・・断って帰ろうと思ったけど周りの奴が退いてくれない。
おっさんは微笑み手を出口の方に差し出し部下を左右に分かれる、いつも囲まれるな俺・・・。
外の街道を歩き貴族が利用しているであろう高級喫茶店に案内され「お好きなものを」とメニューを渡されたが、コーヒー1杯1銀って飲まんわ!
一番安そうなパンケーキセットを頼む、ん?頼める時に頼んでみよう・・・みたいな?
すぐに出てきて食べる、モグモグ・・・甘くないな、はちみつ掛かってないからかな、ずっとこちらを見ているおっさん。
「さて、あなたを連れてきた要件をお話ししてもよろしいですか?」
モグモグ・・・やっぱりかあの軍兵と同じか、一気に不機嫌になりモグモグモグモグ1枚を口に放り込みよく味わう。
甘くないとはいえこの世界では数少ないお菓子だろうから食べる方に集中させ手で話を続けてと示す、顔を引きつらせながらピクピクさせて話をつづけた
「自己紹介がまだでしたね。私はアルキメス王国所属近衛隊総隊長を務めておりますライバン・ウィルと申します以後お見知りおきを」
周りを囲んでいた騎士が兜を取り一斉に礼をした、女性騎士か?全員整った顔つきってさっきまで兜被っていたから厳ついおっさんかと思っていたよ・・・・。
にしてもなんか聞き覚えのある名前だな・・・。
パンケーキを呑み込みフォークを皿に置き手を頭に当て記憶を探る、ウィル・・ウィル・・ウィル・・・これからの人生で忘れることはないだろう召喚されたあの日の・・あの騎士隊長レイバン・ウィル!!
ハッと手を下げおっさんの顔をよく見た・・・あまり似ていないが名前が一緒ってだけか?で、よくよく見ればおっさんというより爺さんだな目立った皺が無く髭と髪に白髪が多いが体格はガッシリ背筋は曲がってない腰に帯剣し赤黒の制服を着ている若く見えてもおかしくはないか。そいいやあのウザい軍兵もこんなん着てたか?
ジロジロと背格好を見ていたせいか周りの騎士がイラつきだしてるようだ無礼者とでも思っているんだろ
「それで、あなたをここにお呼びしたのはですね、昨日あなたが戦闘の出来ない者に貸し渡した武器をですね。我々に売ってもらえませんかね?勿論それなりの額は用意しますし他に望みがあるんであれば出来る範囲で手をうちましょう。いかがですかな一本5白金貨で数は多ければ多いほど良いです」
思っていたのと同じだな力でねじ伏せれないなら金で釣ろうってか?騎士で取り囲んで?女で固めたのはなぜだろうか?単に侍らせているだけか?それとも女なら手荒な真似はしないだろうと高を括っているのだろうか?どういう考えか知らないが断る、金が欲しくて鍛冶屋やってんじゃないんだしな。
「すいませんがお断りします、値段が付けられるようなものでありません」
視線を逸らさないように頭を下げそそくさと席を立とうとするが両肩を抑えつかられ強制的に座らされる。ギロリと後ろに立っている騎士を睨む
「いえね、まだお帰りしてもらうわけにはこちらとしても都合が悪くてですね」
と苦笑しながら手を前で組む、まだ立たせないように肩を押し付けられている
「詳細な事情はお話しできないのですが、貴方の武器をどうしても欲している方がおられましてこちらとしても穏便にことを進めたい次第で、どうか折れてもらえませんかね?抵抗されるなら手段を選んでる余裕はないので」 と肩を抑えてるやつ以外腰の剣を抜き俺にその先を向けた。
「穏便?結局は武力行使じゃないか?ふん俺の武器が欲しいなら直接会って話すのが普通だろ?アンタみたいな仲介挟まれても俺に得も何もありゃしない!」
ちょっと言いたいことがズレたが損得はあまり関係ない態度が気に食わん、それだけ。
「下手に出ていれば言いたいことをペラペラと!貴様のような下民がライバン様に逆らうなどと身の程を知れ!」
と囲んでいた奴の1人が俺の頭を掴み顔面をテーブルに何度も打ち付けた、さっきまで食べていたパンケーキの皿に額が当たり皿割れ額から暖かいものが流れる。
別に暴れようともしないしなるがままにしていたのだが額じゃなくて鼻の付け根ら辺の骨にぶつけられたときキレた、地味に痛いからねあの骨
前は眼鏡かけていたからこんなことされれば一発でおじゃんだ。
額がテーブルに付いた状態で首に力を入れ叫んだ
「・・・痛いんだよ、何度も何度もぶつけやがってェ!!」
バッと上体を起こしテーブルに手を付き立ち上がる椅子がガタンと倒れる、騎士が押さえつけようと再び肩に重さが掛かるがそれぞれの手で体を突き飛ばす、で頭を掴んでるやつを両手で前に投げテーブルに叩きつける、そしてその整った顔の横に拳を叩きつける、音を立てて石で造られたテーブルが粉砕しそいつは床に転がる。
・・・泣きそうな顔で睨まれる、はぁ?自業自得だろ。
「次、体を掴んできた奴は顔面に叩き込むからな」
確認じゃない決定事項だ倒れた椅子を戻し座る、顔に刺さった欠片をなでながら取る。
実際はそんなに痛くないが自尊心が・・・プライドなんか薄っぺらいもんしかないか。
爺さんの方を向き睨む、ちょっと計算外だった・・・と言ってるような顔をしていた。
温厚な性格の俺でもキレるときはキレるんだからな。
「話は終わりだな?この机は適当に直しておいてくれ、よかったな部下が死ななくて」
机は無いが椅子を片づけて帰えろうとするが一応パンケーキ代を椅子に置く、これで食い逃げにはならんだろう、まだ道を塞ぐ馬鹿が居るが手を振り上げるとビクッと震わせ左右に分かれる
「ま、待ってくれ!軍に入らないか?君に上位の席を用意し・・・ヒィ!!」
「君」の辺りで振り向き右手を肩の位置に持ち上げ気を集中させ「用意し」で前に打ち出す、爆音と共に壁に大穴が空き、目に見えていた山の山頂が吹き飛んだ。
情けない声を上げた野郎に軽蔑の視線を送り最後に
「次突っかかって来たらあんた等の城吹き飛ばすぞ」
そう脅し店から出る、外に野次馬が囲んでいたが何も知らない顔をして宿屋に向かいその日はそれで寝た