なんだかなぁ
なんだかなぁ・・・
ちょっとした事件を起こしてしまったがそれでも毎日薬草の依頼だけは欠かさず行っている。
俺がギルドに行くと決まってシーンと静まり受付がガクブルで応対するんだが、そんなに震えなくとも何もしないからと言ってはみるが首を縦にブンブンと振るだけで依然ビクついた口調で応対する。
金を受け取るために手を伸ばせば体を丸めて「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」と悲鳴にも似た声で許しを請うのだから若干引いてしまう、金を受け取るとさっさと出て行ってと言わんばかりの目線で見られたときはイラっとしたがほかの職員に首を掴まれながら奥に消えてった。
さて今日も薬草依頼です。
え?半殺しにしたのになぜ依頼を受けることが出来るだって?そりゃあ・・・個人と個人の争いにはギルドは関与しないとかなんとか・・・?あそこでぶっ殺した場合は流石に退団とか言われるだろうが生きてたしなぁ
普段なぁなぁで済ませてるやつ者の方がチンピラなんかよりよっぽど恐ろしい
まあんなことはどうでもいい、いつもの群生地に徒歩で着いたので適当に柔らかいとこで茎を数本折り10本で1束として2束採取する。
そのあと地面に手を付け気を流す、何故かこうすると数日置きにで群生地の範囲が広がるんだ、あれか大地のエネルギーである気を部分的に放出することによってその部分だけ活性化し茂るんだろうか?
そんなことを思いながら帰ろうかと町の方に歩き出した数秒後風向きが変わったのか血と土とか混ざった臭いがし顔を顰める、そしてここからそんなに離れていないところで叫び声と戦闘音が聞こえた。
何でか今日はやけに気になった別にこの森からも定期的に討伐依頼が出されているから戦闘音が聞こえることはたまにある、だけどこの森は初心者の初心者が来る場所なはずで弱い魔物しか居ないはずだゴブリンとか凶暴な野生動物とか、で動く的で最初に出会うのはこの2つだから初めて討伐依頼を少数で受け多数で囲まれた場合ぐらいしか考えられないのだが、大体討伐依頼は最低でもEランクパーティで受けるものであり、仮に全滅しても死亡手当のようなものが出ない。
緊急クエストなどで死亡しのちに誰かにカードを届けられた場合のみ遺族に支払われることはあるが基本自己責任だ。
近づいて横取りと間違われるとイチャモン付けて晒し者されることもあるようだが、俺ならただの通行人として見られるはず!
そう考え騒音の方へ小走りで向かった、近くだとは思ったが1kmも離れてはいなかった。
見たところ4人で盾1剣2回復1のバランスのいいパーティでギルドで一番多く採用されているやり方だった、盾が負傷・回復も魔力が底を付いているようで盾を回復させようとしているみたいだが流血は止まってない。
剣の2人は軽傷ながらの敵をいなし続けているが時間の問題だ。
で一番問題なのが敵でゴブリン程度なら様子身だけで済ませようと思っていたのだが「はぁ~」久しぶりに声に出してため息を吐いた、そして敵にも聞こえる声で
「おーいお前ら大丈夫か~」と隠れていた小さな木から完全に体を見せて手を振って見せた
俺の声が聞こえたであろう魔物とパーティの人達がこちらを見る、ちなみに俺は薬草片手に丸腰です
「おい馬鹿オーガー相手に何してんだ死ぬぞ逃げろ!!」と盾の人が俺を怒鳴りつけた。
なんだよ・・・引きつけてやろうとしてんのにさぁ
。丸腰で初心者丸出しの感だしてるから助けに入ろうとしているの気づいていないな?
その冒険者たちの周りをオーガーが6体で囲んでいる、そこにアホ丸出しの冒険者が丸腰で登場、どうなるか分かるよな?
案の定6体のうち2体がこっちに襲い掛かってきた。
2メートル越えの怪物が血みどろの斧を振りかぶるそれを俺は見ていた。
向こうで悲鳴と神にお祈りをあげていいるやつが居るがすぐに止むことになる
オーガーも何が起こっているのか分かっていないようだ、渾身の力で切り潰そうとした人間が目の前に立っている。
斧が外れた訳ではないしっかりと柄は俺の肩に乗っており、もう1体のオーガーの斧も俺の腰を狙ったようだがそれは右手で握り潰した。
やっとここでオーガーも疑問の念が湧いたのか少し下がった。
オーガーはそこらのゴブリンやオークとは違いそれなりの知能を備えている中には人間の言葉を理解し会話が出来た個体も存在したという。
こいつらは言葉は分からないにしろなぜ自分らの攻撃が効かなかったのかを考えるだけの頭はあるという訳で、まあ所詮は魔物なので本能の思むくままに殺戮を繰り返すだけで考えても分からなかったのか叫び声をあげ、目の前の人間をミンチにしようと腕を振りかぶり叩きつける
が自らの拳から血が滴るだけで俺には傷1つ与えていない、そりゃあ獣人のパワーですら大して痛手にならないんだ力任せのパンチでダメージが入るわけがない。
見ていただけだった人間とオーガー最初はただ人1人が撲殺されるだけの光景のはずだが、そいつは全くダメージを受けてない様子で逆にオーガーが傷を負い荒い息を吐いている。
その異常さに見ているものは唖然とした、だたの成人男性がオーガーの攻撃を受けて立っていられるはずが無いあんなことが出来るとしたら最低Aランクの盾職がガチガチに装備を固めなければ出来る技ではない、それを甲冑どころか皮鎧すら来ていない奴が攻撃を完全にいなし余裕で仁王立ちしている。
希望を通り越して恐怖すら感じる光景を自分らは見せられている。
オーガー達の猛攻が止み信じられないというかの如く後ずさりしている
「おい終わりかよ、なら今度はこっちの番だぞ?」
そう言い終わり組んでいた腕を下ろす、今のは自分の素の力だけで受けきったものでありモドキは使っていない。
使わなくても軽いマッサージ程度にしか感じなかったので体が鈍っていないことを確認した。
次は攻撃力の方を試す、後ずさりする2匹の後ろに先回りするが頭は2個分以上高い。
薬草の束を木の後ろに置いてある位置を見てから右の奴の背中に回り込み張り手をかます、ドンという音と共に木をなぎ倒しながら消えていったもう1体には体当たりをぶつけ4体残っているオーガーの方にぶっ飛ばし2体を巻き添えにして肉の塊になった。
残りの2体のうち片方は今倒した奴より個体がでかいのはリーダーかなんかだろう
<オーガーリーダー>
オーガーの群れを統制するリーダーその個体はオーガーよりも1回り大きく能力も高い
そのオーガーリーダーが俺に向かって
「オマエツヨイ、オレタチモウオマエニテダシシナイ、コレホント、オレタチ、ツヨイモノニシタガウ」
片言ながら言葉を話し俺の前に跪くリーダーだがまだ話をつづけるリーダー
「コノニンゲンニ、ムラノミンナコロサレタ、オレコイツラコロソウトシタ、デモ、オマエデテキテ、オレタチマケタ、ニンゲンニクイ、デモオキテニシタガウ、オレラオマエニシタガウ」
武器を置きひれ伏すオーガー2体
従われてもなぁ、俺別に魔物使いとかじゃないからそんなこと言われても困るんだが?
そういえば負傷した冒険者パーティを見たがガクガク震えているだけで目線を合わそうともしない
殺されるとも思ってるのだろうか?
「残念だがお前ら言い分も分かるが俺も冒険者だこいつらを罰することは出来ないだが・・・気の毒には思うだから」
と言って薬草と一緒に置いていた大鞄から最近打った俺の身の丈ほどの剣をリーダーに向かわす。
一瞬冒険者の奴がこの大剣を見て目を見開いたようだがそんなの知るか
正義の大剣+8
清き心を持つ者だけが扱える武器、悪しきの心を持った者は握った瞬間黒炎に包まれる、強き信念を持つことにより潜在能力を引き出すことが出来る
「これを取れ」とリーダーに差し出す「とても強力な剣だ正しき心を持っていないと自らを滅ぼすこれを渡す代わりに人間を襲うなど行為はするな、もし襲われたらこの剣で倒せ、そしてひっそり暮らせ、命令だ」
リーダーは恐る恐る柄に手をかけ苦悶に満ちた表情を浮かばせながらも鞘から引き抜き天に掲げた
人間よりオーガーの方が心が澄んでいるってのもおかしい話だが本能的なものが強いんだろ?善悪よりも
武器を掲げたまま固まってるオーガーに
「よし、お前名前はあるか?」と尋ねる顔を横に振る少し考えリーダーに名前を与える。こうすると強くなるってなんかで読んだ気がする
リーダーの顔を見て
「これからお前の名前は豪鬼、ゴウキだ」・・・ひねりは無いが強そうだな
「オレノナマエハゴウキ、ゴウキ、ゴウキ・・・」
ゴウキが名前を何度も繰り返して覚えようとした時大剣が光輝き鉄の銀色から淡い青色の刀身になりその光にゴウキも包まれた。
光が収まりそこには3メートル越えのゴウキ・・・かが立っており剣を掲げながら目を瞑っているが数秒後体を動かししゃべった
「あれ、オイラはどうなったんだべ?主様小さくなってないかべ?」
片言からもうほぼ違和感なく人語を話すことが出来るゴウキが居たどっかの田舎に居そうなしゃべり方だな
名前を付けたらでかくなり人語をペラペラに話すまでに進化してしまった・・。
まあ別にいいだろう
<ゴウキ(オーガーキング)>
特別変異によって生まれる個体であり過去に数回目撃されただけの謎多い種。能力はオーガーリーダーをも凌駕する
そのあとゴウキともう1体は森に消えていった。
あの剣は自分用に作ったのだが俺には引き抜けなかった。
どこかが汚れてきてるんだろうか?
いつの間にか冒険者パーティの姿は消えていた、さっさと帰ったか
俺も帰るか・・・