売られた喧嘩は・・・
その翌朝体を起こしラジオ体操をする、まだ胸が痛むがそれ以外は快調だ。
ベットの横に掛けてあった剣を肩にかけ部屋から出て鍜治場に向かった。
いつもそこに親方は居る武器を作れない親方は座り何かを漂わせている戦歴の鍛冶士の背中がいつもそこにあったが今日は居なかった。
リビングかなと思い戻って見たが居ない、と思ったが外から親方が入ってきて俺の姿を見た瞬間泣き崩れた
いい歳の爺さんが泣いているのを見てどうするわけでもなくそれを見ていることしかできなかった
すぐ泣き止み剛力で抱きしめられた、骨が軋むが1分ほど経ったら離してくれた
まあとにかく椅子に座らせあの後どうなったのかを親方に聞いた
「わしに詳しいことは聞かされておらんレギスが謝罪してきたことだけかの。おぬしは6日眠り続けておったのじゃ、もし明日まで目が覚めなけば最悪な事態になっていたであろう」
親方は苦虫をすり潰した時のような顔で拳を固めていた
「そうですか、とにかく迷惑かけてすいません。看病してくれてありがとうございます」
そう言って頭を下げギルドに行こうとしたが止められた振り向くとゴツイ手が右手を掴んでいた
「あんな目にあったのにまた行く気か!?悪いことは言わんもうギルドには近づかん方がいい、そもそもわしがしっかりしていなかったからこんなことに・・・」
親方は頭を抱え屈みこんだ
俺は親方の肩に両手を置き「行ってきます」と呟いた
6日ぶりのギルド前あれに懲りず依頼を受けにやってきた。
中に入り依頼板を適当に見て薬草採取とゴブリン退治の紙を剥がし受付でカードと紙を「お願いします」と言い提出する。
無事受託され森に向かおうとした時、また嫌な視線を向けられていることに気が付いた。
飲んだくれの方に目を向けると、薄ら笑いでこちらを見ている奴が数名入り口を塞いでいる奴数名どちらも獣人だった。
俺が扉の前に立っても退く気がないのか挑発してるのか知らないが邪魔なんだが。
「すいませんが通れないんで退いてくれませんか?」
扉を塞いでいる獣人の一人に声を掛けた、するとゴミでも見たかのように俺をあざ笑い腰の斧に手をかけ引き抜いた。
「おい見ろよまだこの人間生きてやがったぞまったくしぶとい野郎だ、一丁ここで始末しておくか?ったくお前が悪いんだよ虫程の戦闘力でこの世界で生きて生けるなんて甘い考えしゃがって、おい異論があるやつはいるか?あのうるさいエルフもいないし止める奴も居ないなら・・・死ね!!」
獣人達は武器を手に取り獰猛な顔でこちらを睨み最後に笑みを浮かべ両手斧を振り下ろしてきた。
丁度俺の首と左肩の間あたりを狙ったようだ、そのまま近づいて来る凶器を見つめながら左手にモドキ3を使い受け止めるために頭と同じ高さに持ち上げる。
そのあと聞き障りな音が響いた
最初に口を開いたのは斧を振り下ろした獣人だった
「な・・・なん・だと!?俺の斧が砕けるなんぞ・・ありえん!!」
よほど武器が砕けたのが気に障ったのかそれを投げ捨て殴りかかってきた、獣人の最大の武器は人間とは比較にもならない身体能力パワー・スピード・耐久力・持久力。要は全身凶器。
例えば鍛えた抜かれた人間の戦士と獣人の一般女性が戦った場合パワーでは獣人技術では人間が勝るりも大体の場合数で人間が勝利する。・・・・例えがよく分からなかったな・・・。
だが一対一ではどんな人間でも獣人のパワー超えることはおろかそれを耐えきることも不可能に近い、そのことについて獣人族は絶対の自信を持っているそれを目の前で砕かれたようなものだ。
ああこんなこと考えてる場合じゃなかったな?
前には今にも俺に一撃入れようと右手を引き歯を食いしばっているのが見えた正真正銘全力フルパワーのパンチか・・・左手に掛けていたモドキを全身に行き渡らせる、俺の使ってるモドキは魔法じゃないので魔力を感じられる者でもどこを強化しているのか分からないだろうし察することも出来ないだろう。
ただまだ完成してない技なので消費量が多いのが欠点だがまだ何とかなるだろう。
行き渡らせたと同時に拳が俺の胸部にぶつかり衝撃を発生し俺は棒立ちのまま吹っ飛ばず、殴った本人が仲間を巻き込みぶっ飛んで扉をぶち壊し通りを走っていた馬車に衝突してた。
室内は閑静に包まれ外は騒然となった。
外では馬車の持ち主てあろう商人がぶっ飛んでいった数名に怒鳴り散らしているが1人を除き気絶している。
その一人がフラフラと立ち上がりこちらをジッと睨み付け数歩進もうとするが、商人に邪魔されると俺を殴った時の威力の半減版を憤怒と喰らわせギルドの正面に建っている店の壁にめり込んだ。
悲鳴が上がる中俺はアイツの前まで歩き向かい合った、本来なら頭2個分ほどあっちが高いはずだが吹っ飛んだダメージのせいか知らないが背中・膝を曲げ左手で右手の出血を抑えているから頭がほぼ同じ位置にある。
それより獣人ってこんなに弱いのか?
素で受ければこっちが危なかったが衝撃であんなに吹っ飛ぶとは思わなかった。
お仲間がクッションになって緩和されたのかな
「ッグ・・・人間風情がなぜこんな力を・・・!!くずが死ねぇぇぐおおおおおっら」
なにか呟いた後叫び声をあげ再び飛び掛かってくる、弾けるものは弾き避けれるものは避け防げるものは防ぎ間に合わなかった攻撃は潔く喰らう、時計見えないから何分間かは知らないが一方的な攻防戦が続いたが相手の蹴りを掴み押し投げた、それを最後にしてもう立ち上がらなかった。
そしてとどめを刺そうと剣先を心臓の位置に定め殺そうとした瞬間なぜか涙が溢れてきた。
意味が分からないそしてそれを隙と見たのか職員たちが道で気絶した者を引きずって道の脇に退避させ、俺に喧嘩を売った獣人も数人に担がれ室内に運び込まれ、剣は地面に刺さった。
まだ甘いのか俺は?