資金稼ぎ
一夜明けて次の日の朝宿屋に泊まるための金もないので外で野宿だった。
食事はそこらの野生動物焼いて食えばいいし雨が降らなければ野宿でも悪くない、でも身分証明書となりえるだろうギルドカードを発行してもくれないとはケチだな、どうにかして金を得て剣だけでも買わないといい加減素手で戦闘するのでも飽きてきた、風呂にも入りたいし
ここら辺の魔物狩って素材になりそうな皮とか角を売りに行ってもいいんだろうが、もう来ないって言ったし大鞄は物々交換で貰えたが大して入らないし。マジックボックスなるものがあればいいんだろうけど、あれ魔法だからな・・・。
最悪武器はそこらの木の枝でもいいが鎧くらいマシなもん着たいな。
・・・勇者だったら聖剣とか魔剣とか授けられるんだろうけど・・はぁ~無いものねだりしても仕方ない街に入ってちょっとキツイ依頼でも探してみるか。
昼までで見つかったのは
・道具屋店内の清掃募集日雇い 年齢制限なし 駄賃銅10枚またはパン一斤
・ゴブリンの討伐募集 冒険者・ランク不問 10体で銀貨1枚
・鉱山の鉱夫増員分募集 年齢制限20~40歳 力に自信がある者 歩合制
他にゴミ拾いとか薬の試験体みたいのもあったがマシなのがこの3つ。
ゴブリンは冒険者じゃないから除外、清掃・・・気が進まないがパン一斤が魅力的に見える、鉱夫ってなんだっけ?想像ではつるはし使って壁を叩いて石を掘り出すやつだと思うが自分の体見てもそんな力強そうには思えないんだよな、最悪界王拳モドキ使ってもいいと思うが・・・まあ行ってみるかダメだったら清掃にで我慢しよう
町を出て30分程北に歩いた鉱山?に十数人程のドワーフ・獣人・竜人?がなにかを待っているようだったこの人達も希望者なのかなと近くの石に座って仕事の説明を待っていた。
数分後、中から仕事を終えたであろう人たちが出てきて道具やつるはしを座っていた人に渡し水を飲んだり話を聞いていたり地面に大の字になっていたりしていた。で、準備が出来た者から中に入ってもいいようで置いて行かれないようにそこらにほっつけてあったつるはしを持って(説明無しかよと思いながら)中に入ろうとしたが一段と体の大きいドワーフに止められた。
大きいと言っても俺と同じくらいの背丈だが
「おい お前募集を見てきたのか?」
とりあえずうなずくがそれを見た後肩を落としてため息交じりにこう答えた
「なら帰れそんなひょろひょろじゃ1時間と持たんだろう邪魔になるだけだ、大体人間が何でここに居るんだ・・・」
なんだ・・・そりゃドワーフや獣人族からすれば日本人標準体型の俺はひょろひょろに見えるかもしれないがお試しみたいのはないのか・・?
そう思いそれが顔に出ていたのか
「なんだ不満そうだな?なら」
そう言ってドワーフは右手をこちらに伸ばしてきた。なぜかほかの希望者はこちらを心配そうに見ていた。なんだ?とりあえず右手を出し相手のが握った瞬間万力で挟まれたような痛みが体を走り顔を顰めてしまった。
何とか握り返そうとするがビクともしない、そのまま相手の顔を睨んだが涼しい顔でこちらを見ているだけだった。
(み・・右手だけ・・・界王拳モドキ3)
少し力が緩んだようだったか相変わらずな馬鹿力だ。10秒も経たないうちに・・もう無理っと倒れ掛かったが腰が抜けただけだった。
周りからホッとため息が漏れた気がした
ドワーフに見下ろされ帰ろうとしたが、ニャリと笑みを浮かべた
「大したものだ 獣人でも悲鳴を上げる力を込めたはずなのに握り返してくるとは!気に入った!そんなボロじゃなくわしのつるはし使え!既製品じゃお前の力に耐えきれんだろうからな!ついでに鍛冶イロハを叩き込んでやる!わしはガルドだ!まぁ好きに呼べ!ワッハハ!!」
残って見守っていた数人ドワーフの言葉を聞き目を見開き信じられないとでも言いたいのか口をパクパク開閉させている。
これでしばらくの働き口は苦労しないだろうと思う