前途多難
ドラゴンさんの森からアルキメス王国へ向かう途中テッカ国(ドワーフ族)に寄ることにした。
と言っても地図も何も持ってないので木にでも登って城のような建物がないか確認しながらな、歩きながらこれからどうするか考えてみるが大したことは思いつかない
まあドワーフって鍛冶屋やら細工師とかのイメージがあるので、武具を揃えてからでも目標を決めるのは遅くないと思う
2日目の夕方頃やっと城門らしき建物が見え一旦安堵した
テッカ国(ドワーフ族)
ドワーフ族の国。武器・防具や特殊なアクセサリーが特産。ドワーフが多く住んでいるがほかの種族獣人を除く、主に人間を嫌っている。酒が大好物。エルダー国(獣人族)とは友好関係であるがアルキメス王国のことはあまりよく思っていないようだ。
しばらく歩き城門まで来たがほかの通行者が兵士に通行料?を渡してるのを見てお金を持っていないことに気が付いた。
森を通った時に魔物は何体か倒したがその肉とかでも大丈夫なのだろうか・・?まあとにかく日が暮れるまでに中に入りたかったので列に並んだ。
兵士には変な目を向けられたが肉を渡し無事城下町に入ることが出来た
見たところ道を歩いているのは人間や獣人が多く、雑貨露店や武具店の中でしかドワーフの姿は見かけなかった
町はほとんど石造りで所々に人の顔や鳥?などの姿が彫り込まれていた。それらの中で鷹のような石像を扉を挟むようにして置かれた大きな建物
{テッカ国ギルド組合}と掲げられた
「ここか」と独り言をつぶやいて木の扉押し中に入った、第一印象は酒臭かった。日も暮れて夕食時だからなのかいつもこうなのか分からないがあまり顔に出さないように受付ほうへ足を進めた。カウンター越しに挨拶しようとしたら受け付けの猫女?が睨んで口を開いた。
「いらっしゃいませここはテッカ国のギルド組合ですが今日はどのようなご用件で?」
人のことは言えないがもう少し愛想よくしてもいいんじゃないのかと思うほど仏頂面で
まぁ登録出来るなら少しくらい待遇が悪いのは仕方ないが聞き間違わないようにはっきり
「冒険者登録をしにきたんですがここで出来ますよね?」
猫女はキョトンとした顔になりキッキと笑い殺したような笑いをし始めたと同時に周りで酒を飲んでいた冒険者たちが一斉に大笑いし口々に言葉を発した。
「人間がここで冒険者になりたいだって?www」
「ガキは家に帰ってママのおっぱいでもしゃぶってろ」
「さっさと帰れ人間」
「悪いことは言わない王国に帰ったほうが身のためだ」
最後の奴以外は喧嘩売ってのか?だったら買ってやるが?
今は登録を完了させたい。周りの一瞥だけしてまた受付に向き直った。
「人間は登録できないのか?ここはギルドだろ個人の感情に任せて仕事してるんじゃないんだろ?ほかになんか理由あるんですか?」
受付猫は俺の言葉を聞いて無表情になりさっきまで後ろで大笑いしていた奴らもたまに笑いが漏れる位に静まった。そして
「アンタのような雑魚ではこの国の冒険者として務まるとも思えないので無駄死にする前に消えなさいと言っているのです。もちろん登録なんかさせなせんよ?」
・・・そうかい。まだ雑魚いと。また後ろで俺の姿を笑ってるであろう爆笑が起こってるがそれとは別に頭に来ていることがある。2か月少しの間一緒に暮らしてくれたドラゴンさんの顔がなぜか思い浮かんでくる。なんか俺をバカにされてるってことは鍛えてくれたドラゴンさんへの冒涜な気がしてくるんだよな。
ここに居ても嫌な思いしかしなさそうなのでさっさと出ていこうとしたがなんかに吹っ飛ばされた。
「お?なんだ人間のガキかすまんすまん小さすぎて見えなかったんだw」
壁に頭をぶつけてガンガンしているとこに陽気な声がかかった。前を向くと3メートル超の獣人が見下ろしていた。受付に用があったのだろうか、それを取り囲むように数人の獣人がこちらを見ている
「あ、ギャラドルさんおかえりなさい」「ギャラドルの旦那おかえりなさいません」「きゃーギャラドル様抱いてー//」
・・・3メートル超の獣人はギャラドルいうようだがずいぶんと慕われているなどっかの勇者みたいにな、頭痛が収まって外に出ようとしたがさっきの取り巻きに囲まれた
「おい人間兄貴にぶつかっておいてなんか言えねのか?」
「こいつ兄貴の姿にビビッて声も出ないんじゃwww」
「まずなんでここに人間が?」
最初の2人あとで・・・もういいか。
「すいません先を急いでいたものですいません」
もう頭下げておこう面倒だ。隙間が空いたのでそこから抜け出そうとしたが服を掴まれて引き戻される。
「おい謝るだけで許してやるなんて一言も言ってないよな?有り全部金よこせ」
「肩なんて震わせて泣いてるんじゃねこいつwwww」
もういい加減にキレていいかな?
「咆哮」とつぶやいて大きく息を吸い込もうとした。
獣人は魔力量は少ないが総じて身体能力が高いつまり聴力も人間とは比較にならないほど発達している、そして今ここに居る中でただ一人だけその言葉と意味を理解出来たものが居た
ギャラドルだ、歴戦の戦士である彼だけがその言葉が何なのか知っていた。遠い昔の記憶でそれに近いものを知っていたという方が正しいがそれからの動きは彼の動きは誰の目にも認識できないレベルで言葉を発した人間の少年のもとへ滑り込み跪いた。
そこに居た全員が驚愕した。
この国で最強を誇る戦士がただの人間に跪くなんて常識では考えられない。というか俺もびっくりした跪いているのだろうが元々がでかいので、立ってるこっちよりまだ頭1つ分ほど高い、その光景を見た受付の猫が罵声を吐きながら切りかかってきた、が。
「やめろ!!お前らその辺でやめておけ」
跪いていたギャラドルが立ち上がり猫を押さえつけて周囲に殺気を発した
ざわつきが収まり夕食時とは思えないほど静まる
「こいつらが失礼したようですまないな今回は私の顔を立てて納めてくれないか?」
猫を後ろに放り投げて頭を下げた。
一応お礼を言っとくほうがいいのか・・・?
「あなたが誰なのか知りませんが助かりました。暫くここには来ませんから許して下さい」
大男に仲裁され建物から出ることは出来たがしばらくは野宿か