閑話1.5 見習い兵士ライガイ 1.5 アルキメス編 7
翌朝早く一度目覚めた時、横にユータが寝ているのを見て二度寝しそうになるが、朝は13番隊が食事を作る役割があることを忘れるところだった。
朝食を済ませ今日より大人数で修練を開始することになった。
なんでも勇者様と騎士様が奥に進むようで私達の身は自分らで守れと、そういう感じだな。
午前中だけで討伐を完了させ昼食を食べに拠点に戻ると、人だがりと怒鳴り散らす声が聞こえた。
他の隊員はそのまま通り過ぎ食堂に入っていくが、そこで立ち止まり人をかき分けどういう状況なのか見える位置で気分が悪くなった。
貴族様の女性がお腹を赤く染め顔は死人の様に青白かった、金髪と茶髪の青年が神官を掴み
”この国ではない言葉で大声を出していた”
(異世界語か?)
何言いたいのか、かろうじて分かる言葉で怒鳴りつけているが神官が怯えてまともに詠唱できてない。
意思の疎通が出来ないことに怒りを爆発した金髪が腰の黒い刀身の剣を抜き神官の首に当てる。
ここに居る者全員がえ?と疑問詞を浮かべた後神官は泣きじゃくり何度も回復の呪文を唱え傷は塞がった。
その後、午後の部が始まったが夜寝るまでユータ姿が見なく翌朝になった。そしてそのよく朝の出来事が
私達の運命を変えた。
翌朝別の班が料理当番だったのでそれまで寝て居ようと思ったが、悲鳴が挙がりやむなく起きることになったのだが寝ぼけていたのでユータが居なかったのは気付かなかった。
勇者様用のテントに向かうと手足が紫に変色している貴族様が茶髪の膝の上に横たわっていた。
全身が紫になるモノと言えば致死量の毒を取り込んだ時にしかありえない、それより昨日治療しただろう?まさか・・・回復しただけで解毒はしてなかったとかじゃねえだろうな?
まさかが事実だった金髪は暴れ、私は呆れた。この程度の人間が勇者か・・・。
超人的身体能力を持っているが中身はまだ子供だった。私達と同い年位だろうに。
至急会議が開かれ騎士が集められある発言をする
「この森に棲むと言われるドラゴン族の臓であればあらゆる病に効果があると言われておりますが・・・ドラゴンと言うのは非常に強力な・・・」
その言葉をすべて聞き終わる前に全て騎士と何故か私・ユータ・背の小さい女の子を指名し後方で支援を行えと命令が下った。
茶髪の勇者が見えた魔物をかったぱしから切り刻んでいく、貴族の女性方々は兵士を何人も見張りに立たせテントの中で瀕死の貴族の。女性を介護すると言ってたが本当のところはどうなのか。
またしばらく歩くと開けた場所に到着する。
その奥には黒い小山ほどのモノが一部を浮き沈みさせ居た。
騎士が横広がりになりそれを囲み一人が右手を上げそれ以外が合図を待つが一向に仕掛ける様子はない。
それどころかそこに居る全員の膝が笑いだし震える。
ダメだ、完全に飲まれた。
圧倒的存在感と国すら滅ぼすことも可能な戦闘力、私達のような虫けらでは相対することすらおこがましい。
そこに不意を突かれたように寝返りが打たれその尻尾で端に居た騎士が3人舞い上がり、それを合図にしてバラバラに攻撃しだすが鱗に弾かれうまくダメージが与えられてなく、騎士が一度下がり3人同時魔法の”火炎弾連撃”を放つがそれでも煤すら付かない。
何分かの攻撃戦を黙って見ているが、臓器奪うどころか擦り傷すら与えてないわ。
ドラゴンは寝返りを打ち首から上を持ち上げ咆哮する、
「我の眠りを妨げる愚か者は誰だ!!!」
ビックリして腰を抜かしてしまった。ドラゴンが人語を話したのだ、他の騎士も勇者でさえも膝を着き重圧に耐えているようだった。
だがユータだけは無事に立っていた、もしかしたら立ったまま気絶して居たのかもしれない。
ドラゴンは私達を一瞥し体を反らすがその動作のことは考えたくもなかった、
「ブレスが来るぞ!!、全員走れ!!」
騎士の誰かであろう、そう叫んだ者は命の次に大切な剣を投げ捨てこちらに走って来る。そして一瞬ドラゴンに目の奥を覗かれ
私はそこで意識を刈りとられた。