閑話1.5 見習い兵士ライガイ 1.5 アルキメス編 6
もう自己紹介は要らないだろうが一応、私はアルキメス王国第13番隊所属ライガイ見習い兵士だ。
ユータと出会い3か月ガ過ぎようとしていた。
何と彼は勇者様と同じく異世界の出であったが、私はそれを知った後も同室の友として接してきたつもりだ。
数日後中規模な遠征が行われる、これは毎年11・12・13番隊で行われる新人合同修練である。
そのことをユータに話すとかなり乗る気である、あの出来事の後から彼の成長ぶりは凄まじく、私は手合せで全十の力でも勝つことが出来なくなり、先週剣術教官殿と手合せを行った結果ほぼ互角であった。
教官殿は涼しい顔で受け流していたが目は本気マジだった。
合同修練では鉄剣か鉄槍を主に使い、野生動物やゴブリンなどの最下級の魔物を相手に実践を行う。
昨年初めて修練に参加した時の記憶が甦り胃の中の物を吐きだしそうになる。
だけど昨年と違う点が1つある、それは勇者様がこの遠征にご参加されること、新人番隊員は強制参加なので逃げることは出来ない。
このことを伝えたが特に怯えた様子は無く良かったと思う。
日程は行に2日、滞在日数は私達の修練結果次第で早ければ2・3日だが昨年は5日間費やしたはずだ。
出発の日は近づきついに今日城を発つことになった、私達は13番隊なので最後尾食料を積んだ馬車と並んで進んでいく事になる。
城の外を歩くことになるので皮の鎧を着こなし腰に鉄剣を下げ疲労が溜まることに苦笑いした。
久しく話したこと無かった、11と12番隊の同じ村出身が集まっていた集団を見つけユータを紹介しようかとしたが彼は「すまんが、一人で行って来てくれ」と暗い顔をし、そういえば人見知りであったことを思い出した。
2日という進軍日程は滞りなくすすみ少し早めに寝床と夕食の下ごしらえをし子供の頃の思い出を語った。
その日は疲れもたまっていたので寝袋でもよく眠れた。
翌日から本格的に実践が始まり5・6人で固められたPTで1体か2体の魔物を相手にし全員で敵を追い込み斬り・刺し殺す、この行為を行うことが出来ずいつまでも震えていると敵にそれが伝わり真っ先に襲われる。
そう習ったがやはり命を奪うということは並みの精神ではやって行けない、慣れればとかいう者も居るだろうが私は殺すことに慣れたくない。
なんとか目標とされるゴブリン3体を討伐し終えその耳を証拠として持ち帰る、その途中に衝撃的な物を見てしまった。
”彼が”オークを斬り殺していた。
いや・・・オークは見たことあるだろう2メートルの豚の顔をした巨人だ、あんなものは教官クラスで無ければ一人で討伐するのは無理だと聞いたことがあるが・・・彼の成長喜んでいいものか少し複雑だ。
夕方になり食事の支度を始めることになった、が広場の方が騒がしい。後から入ってきた番隊の者に何があったと聞くと、「勇者様がオーガーを討伐しなさった」と言った。
今度はオーガーか、今年はいろいろと大変そうだな、・・・オーガーの肉は食えるのだろうか?
オーガーはオークの上位種だと書庫で読んだ覚えがある、騎士数人分にも匹敵すると・・・私達では100人で掛かっても勝てないということか。
ユータの姿が寝床に見えなかったが眠気には勝てなくそのまま眠りについた。