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8 冒険者登録をしました

 翌朝、冒険者ギルドに顔を出してみた。ギルドは多くの冒険者でごった返していた。受付横のボードには人だかりができている。受付横のボードと受付には人だかりができていた。受付のレイラさんがこちらに気づき、手を振ってくる。俺は手を振り返すとしばらく待つことにした。30分後、最後の冒険者が仕事に出て行った。

「サクラさんでしたよね。サポート協会の方から伺っております。これからサクラさんが一人前になるまで、サポートさせて頂きます。これからよろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 それにしても、レイラさんの口調、何か違和感がある気がする。

「それでは・・・、もう無り、これ以上は。それじゃ、身分証を貸して。」

 突然、レイラさんの口調が変わった。俺は驚きつつも身分証をレイラさんに渡すと、レイラさんは奥に入っていく。となりで、もう一人の受付嬢が笑っている。頭から獣耳が見えている。獣人のようだ。

「レイラさん、どうしたんですか?」

 俺が尋ねると、彼女は笑いをこらえながら答えてくれた。

「さっきのしゃべり方が素の彼女よ。ギルドマスターの命令で無理やり丁寧な口調でしゃべっていたのよ。」

「どうしてですか。」

「・・・えっとね。サクラさん。いまさら冒険者ギルドに入らないって言わないですよね。」

「ええ。」

「各ギルドで君の取り合いが行われていたの。」

「俺の取り合いですか。」

「ええ、この国は転移者の保護に力をいれているから、転移者が最初に入ったギルドには補助金が出るのよ。」

 そういうことだったんだ。レイラさん、がんばっていたんだ。

「そうだ。私の名前はティナよ。犬の獣人よ。よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

「君もよろしくね。」

 ティナさんはクリンの方を見て挨拶する。

「ボク、クリン。よろしくね。」

 足元で眠っていたクリンは起き上がると喜んで答える。話しかけられて嬉しかったのだろう、尻尾をブンブン振っている。

「君、じゃべれるんだ。賢いね。」

 ティナさんは驚いていた。この世界でも喋れる動物は珍しいみたいだ。クリンは褒められてさらに喜んでいる。頭を撫でられると気持ちよさそうに目を細め、体をすり寄せている。

「そろそろ仕事に戻るね。」

 彼女は一通り愛でると、仕事に戻っていった。



「お待たせ。身分証を更新したから確認して。」

 しばらくして、レイラさんが戻ってきた。俺は、身分証を受け取るとステータスオープンと唱える。身分証の前にステータス画面が出てくる。何度見ても不思議だ。



 相川桜(あいかわさくら) 

 職業 冒険者

 所属 冒険者ギルド

 賞罰 なし

 その他 転移者 狐の加護2 

 従魔 クリン

 所持金 1400


 いくつか以前見た時と変わっていた。身分証の職業の欄が冒険者になっている。しかも、狐の加護が2になっているな。天狐に新たな加護を貰ったからだろうか。あとは従魔の項目が増えている。

「冒険者ギルドってところをタップしてみて。」

 タップすると画面が切り替わる。



 相川桜(あいかわさくら) 

 ランクG

 パーティー なし

 称号 転移者 狐族の友

 その他 なし


「これがギルド用の身分証ね。」

 ランクはGで称号に転移者と狐族の友がある。それにしてもシンプルな画面だ。

「あっ、そうだ。サクラくんって呼んでいいかな。それじゃ、説明続けるね。」

 ・・・サクラくんか。レイラさんはかなりマイペースな性格のようだ。まあいいか。

「いいですよ。よろしくお願いします。」

「冒険者はSからGまでの8ランクに分かれてるの。初めはランクGで依頼はひとつ上のランクFまで受けれるわ。ランクは依頼を一定数達成すると上がるわ。依頼を受けるときはそこのボードから選んで受付に持ってきて。あと、ランクDからは昇給試験があるから。そのパーティーってのは、パーティーを組めばパーティー名が登録されるわ。称号は称号ね。ここまではいい。」

 この辺はよくある冒険者ギルドの設定と一緒だった。

「大丈夫です。」

「それじゃ、次ね。依頼の種類はいくつかあるわ。討伐依頼はモンスターの討伐ね。各モンスターごとに討伐証明部位があるから、それを持って帰ってきてね。後、モンスターの部位を素材として売れるものもあるから気を付けてね。モンスターごとの討伐証明部位と素材として売れる部分はそこの本に載っているからチェックしといてね。採取依頼は指定したものを持ってくる依頼ね。他には運搬依頼や護衛依頼とかもあるわ。これは読んで字のごとくね。ここまでも大丈夫?」

 この辺もよくある設定だ。討伐証明部位か。面倒だな。

「大丈夫です。」

「あとはDランク以上からは、指名依頼と言って名指しで依頼をされることもあるわ。」

「それは強制ですか?」

「ううん。強制じゃないけど、あまり断っているとイメージが悪くなって指名依頼を受けれなくなったり、上位のランクに進級しにくくなったりするわ。」

「わかりました。」

「後は細かい規則もあるけど、この冊子に載ってるから後は読んどいて。」

 そう言って一冊の本を渡される。さっと目を通すと「一般人を傷つけない」とか「約束を守ること」といった一般的なことが書かれていた。


「それじゃ、普通の人ならこれで終わりなんだけど、サクラくんは初期育成もサポート協会から頼まれているから、質問していくね。今までに戦闘訓練を受けたことはある?」

「ないです。」

「魔法は・・・まだ使えないわね。何か特殊な能力とか特技はある?」

「えっと・・・。」

 俺は狐の加護で身体能力が3%アップしていることを伝える。

「・・・3%?微妙な加護ね。」

「やっぱり、そう思います。」

「話を聞いた限りでは、かなり頑張らないと一人前にはなれないわね。」

「頑張ります。」

「魔法の適性検査はお昼からね。後は希望の武器とかある?」

「特にないですが、どんな武器が良いと思います?」

「そうね。やっぱり片手剣かしら。一番オーソドックスで汎用性も高いわ。槍もいい武器だけど、狭いところでは使いにくいとよく聞くわ。斧を装備する人も多いけど、あの武器は使いこなすのに腕力がいるからサクラくんにはちょっと厳しいかしら。」

「弓はどうですか?」

「遠距離武器としてはいい武器だけど、使えるようになるまでに時間が掛かるわよ。」

「どれくらいです?」

「そうね。1年くらいってよく聞くわね。」

 1年!それは長すぎる。

「そうだ、サクラくん。銃って知ってる?」

「銃がこの世界にあるんですか。」

「あるのはあるんだけど、軍事国家アトランティスにしかないわ。ちなみに作り方とか知ってる?」

「いいえ。詳しくは知りません。アトランティスってどんな国家なんです?」

「アトランティスは転移者によって作られた軍事国家よ。えっと、100年ほど前に君たちの世界の軍隊っていうのがまるごとこの世界に転移してきたの。」

「軍隊がですか?」

「ええ、そうよ。彼らは転移してきて、近隣の島国を占領して自分たちの国を作ったの。」

「近くですか。」

「ここからだとちょっと遠いわね。ただ、アトランティスに入国するのは難しいわよ。入国を制限しているの。情報も制限されているわ。」

「転移者でもダメですかね。」

「たぶんダメだと思うわ。以前、転移者が無断で入国して処刑されたって話を聞いたことがあるわ。」

 どうやら物騒な国家のようだ。独裁国家だろうか。行くのはちょっと怖いが気になるな。

「話がそれたわね。で、どの武器にする?」

 とりあえず、木剣をもらったことだし、剣にするか。

「剣でお願いします。」

「分かったわ。指導教官を探しておくわ。明日の朝また来て。魔法の適性検査は午後で予約しているから忘れずにいってね。場所は教会ね。」

 こうして、俺は冒険者としての一歩を踏み出した。



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