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次世代機パスクア  作者: 柳井リュウ
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patchwork concert

☆クローバー☆


火星でのスイング・バイを後日に控えたその日、ワシがメジャーに連れてこられたのは戦艦の慰安エリアのなかだった。

パンデミック前の客船アマノカリスの時はアミューズメントエリアだな。

ここはホロ劇場だ。

中央に球形投影ステージがあった。

ワシは記憶を呼び起こした。

かなり前、月でのスイングバイの後にメジャーに連れられ、その後、使用許可を出したエリアだったな。

突然、それは始まった。

ステージ上に人影が現れた。

三人……いや、三人が三組の黒いシルエット。

一組は中央に三角形に、残りの二組はそれぞれ右側後方と左側後方に逆三角形のフォーメーションだ。

軽快なリズム、心地よいテンポ、爽やかなメロディー。

背景が深い藍色に変わる。

少女がいた袖と裾の短いドレスにベレー帽の。

【私たち九人のピーコック・ラヴの新曲、<君待つ、春待つ>です。聴いてください】

この艦のクルーより若い、青い衣装の少女が現れ、そう言ってシルエットになった。


シルエットが白い衣装の人の姿になり、音楽に合わせて、ダンスを踊り始めた。

バラバラに見えて、三組そろうとどこか統一感のあるダンス。

白い毛皮のハットとコートで踊る九人。


〜こんな事今まで無かった〜


中央の長い髪の少女がうたう。

バンプスでステップしながら。


〜不思議な胸の高なりだよ〜


ハットを揺らし踊りながら、すぐ後ろの左右の少女が加わる。

声が重なりハーモニーになって、ダンスがゆるやかからスピーディーに変わる。


〜廻ってきた白い季節が魅せるよ違う姿〜


踊っていた左右のグループの六人の声が重なり合唱になった。

赤、青、紫、緑、黄、桃、橙、縹、そして白に少女達の衣装が変わっている。


〜あなたへのすべての想いを力にして〜


歌いながら白銀の少女が両手を上に伸ばす。


〜これからのふたりの時間を〜


一番右側では赤い衣装のロングヘアの少女が両手を前に伸ばして歌う。


〜お願い創っていきたいんだ〜


反対の一番左側では紫の衣装のポニーテールの少女も同じように手を伸ばし歌う。


〜粉雪の下で駆け出して行くよ〜


また背景が藍色に変わり粉雪の様に白い光の点がゆっくり降るようにうごく。

歌う九人の少女がダンスしながらまた三人づつ三組のフォーメーションにもどる。


〜受け取ってこの勇気をあなたが好きなの〜


それぞれの別の方向に両手を広げながら九人の少女がうたい上げる。


藍色の背景に目まぐるしく変わる色の光、流れる音楽のした、次々にフォーメーションを変えながら白いハットにコートの九人の少女は踊っていた。

しばらくダンスが続いた。

そして再び。


〜手をつなぎ雪空のした〜


藍色の背景に雪のように光が舞う。

右側の赤、黄、青の衣装の三人の少女がダンスしながら歌う。


〜輝く街の光を見ていた〜


白い光がオレンジ色にかわる。

右側の、橙、緑、紫の衣装の少女三人が歌い踊る。


〜ふたりのこれからの季節に体が震えてるの〜


今度は蛍光色に、蛍の緑色に光が変わった。

中央の縹、白、桃の衣装の少女達も歌いながら三人で踊る。


〜繋いだ手の暖かさが〜


歌いながら全員で手をつなぎ波のようにうねるフォーメーション。


〜わたしの震えを止めてくれるの〜


手を離し水色、白銀、桜色の三人の少女が踊り歌う。

手を離し、中央の後ろを歩きくように踊って入れ替わる左の赤、青、レモンの衣装と右緑、紫、橙の衣装の三人づつ。


〜これから先も一緒に生きたい〜


白い衣装の少女が一歩引き縹と桃の衣装の少女を頂点としたダブルユーのフォーメーションで全員が色違いの髪飾りの花を揺らし歌いながらダンスする。


〜このまま〜


また背景が純白にフラッシュ。

キラキラと煌めく淡い桜色の水晶片を繋いだような衣装の少女が両ほうの素手を歌いながら上に伸ばす。


〜思いあってずっと生きて行こうあなたとふたり〜


桃の衣装の少女が頭上の桃色の短い手袋をした両腕を左右に大きく広げ歌う。


〜造りたい未来と創れる未来は〜


右側の緑の衣装の少女が歌いながら両手を前に伸ばして広げる


〜何処か何かが違うと想う〜


左側のレモン色の衣装の少女も両手を前に伸ばしながら歌う。


〜それでも迷い立ち止まり又歩き出し〜


背景がまた藍色に変わり今度は桜いろの光が舞う。


左右の六人が頭のティアラを煌めかせ歌いながら編み上げのハイヒールで器用にダンスする。


〜ふたりで目指すのはどこかな美しい世界〜


桜いろの光に黄緑の光が加わり藍色の背景に乱れ飛ぶ。

中央の三人が加わり九人で歌いながら踊る。


〜見せるよ〜


また、背景が純白にフラッシュ。

水色の真珠のように輝く衣装の少女が頭上に大きく手を広げ歌う。同じ水色のパンプスでステップ。


〜あなたへのすべての想いを力にして〜


縹の衣装の少女は拡げた両手を胸の前で合わせて指を組みながら歌う。


〜これからのふたりの時間を〜


右側の端の橙の衣装の少女が右の素手上げて歌う。


〜お願い創っていきたいんだ〜


右端の青い衣装の少女が右手を高く上げて歌う。


〜粉雪の下で駆け出して行くよ〜


歌いながらダンスするジグザグフォーメーションの九人に、背景の藍色に銀色に輝く紙片が降り始め、白い光をキラキラと反射させ始めた。


〜受け取ってこの勇気をあなたが好きなの〜


白い衣装の少女が最前に立ちV字フォーメーションで歌いながらダンスし、全員で前に伸ばして腕を広げる。


音楽が流れる。

少女達はまたベレー帽を揺らしダンスしながらフォーメーションを三人が三組に戻し、音楽が停まると同時に静止した。


この艦のクルー位の少女達九人が並んで、息を切らせながら話して頭を下げた。

【私たちの歌を聴いてくれてありがとうございました】


また、白い光が広がって全てを飲み込んだ。


「あの音声には、バーチャルデータが組み込まれていたのだな」

メジャーに言った。

「そうです。それも、ホログラフィーじゃなく、実写3Dの重いのが」

「衣装やら、立ち位置やら、途中変わったり戻ったりしていたな」

「データが継ぎはぎだから。同じ曲を何回も演じたのを、一本に切り貼りしたんだ。いろんな所のデータだったからってとこだな」

「しかし高性能集音機を使っておるようだな。撮影エリア外にあったはずなのにあの音量音質だ」

カタカタと音がする。

「お願い!もっかい見して!」

音と声のした方をみると、前方で、子ども四人が、目を輝かせて、手を合わせこちらを見てメジャーを拝んでいた。

まったく。

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