approaching
☆ナウティルス☆
離れて小さくなってゆく地球を、外層ブリッジから五人はずっと見ていた。
皆、夜の海上では家族を視ることができた。アキヨシもリヒロもミキヒコも涙で家族の名を叫んだ。
ショウは毅然と父に敬礼を返した。
大気圏外では軍の作業体に敬礼で見送られた。
ここでついにショウも父を、かつての仲間たちの名を泣きながら呼んでいた。
≪……あなたが居るから……るよどんなに……なじ夢が……≫
ヘカテに向けて自動制御していた古い機材の観測機器が歌を捉えた。
「星のお姫様の歌だ」
四人は距離など関係ないのに外層ブリッジ中のディスプレイに走り寄った。
リヒロが調整を始めた。
しばらくするとノイズが少なくなった。
≪……れるなら 同じように 夢をみようよ どんなにつらくても 一緒ならば乗り越えられるよ られるよ……≫
【警告!警告!識別不能飛翔体高速接近中警告!警告!識別不能飛翔体高速接近中……】
歌は掻き消された。
直後にミキヒコとショウが走り出した。
少しして頷きあってからリヒロとアキヨシが続く。
「クローバージィ……艦長もしかしたら、ショウ達を援護してやって。僕等は二人と違って今日まだ前処理してないから、してから行くから」
走りながらリヒロがクローバーに声を投げた。