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神代勇人は懇爛常態!  作者: 忍龍
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34/144

03

ここ暫く体調が悪いので次話の更新もしかしたら遅れるかもしれません、今のうちに連絡しておきます、すいません。

「性質……人を癒しだり、植物を成長さすたりのあれだすか?」


「それは副産物です」


「ふぐさんぶづ……」



 あの能力が、そんな言葉で片付いてしまうようなものなのか



「元々、あの大陸で"発生"する四元素の力を持つ者は属性による個体数の偏りは恐らく殆ど無いはずです」


「え、だども、つぢのお人はえらぐ少ねぇべ」


「その殆どが、胎に宿って間もない内に消えるからです」


「え?」



 レプスの"影"を刺激しないように、シリウスは言葉を選び、紡いでいく



「土の属性が与える影響は、他の属性よりも遥かに大きく広範囲です、当然、属性者自身が曝される影響も大きく、結果として宿って間もなく抵抗力の無い脆弱な固体はすぐに消えます」


「……その、その時、消えながったら、もう大丈夫なんだすか?」


「いいえ」



 殆どの場合、受精から消失までの期間が極僅かしかないために、個体数についてはあまり確実では無いが、恐らくほぼその通りだろう

 個体の能力が高い為に個体数が減るのか、減った個体数を穴埋めするために個体の能力が高いのか、どちらが先かは分からないが……


 受精卵の崩壊は二親の体の丈夫さに起因するもので、大抵は能力の大きさに耐え切れずこの段階で消失する

 シリウスは生みの母親の体は通常の妊娠にすら耐えられない程に弱かったものの父親は相当丈夫だった、なにせ、この男の父親は薬漬けにされた男娼だったのだ


 薬漬けでぼろぼろになり放棄され、薬による精神破壊の為に身元は分からなかったが、その肉体は痩せ細ってもひとたび発狂すれば容易に抑えられない程に頑丈であり、常に寝台に拘束されていた程のもので、その丈夫さが受精卵の段階で崩壊を免れた理由だろう


 生みの母親は神徒であるレプスとほぼ変わらない位の一介の巫女であり、慰問に訪れた際に発狂し拘束を破壊した父親に強姦され、結果シリウスを身篭った


 当時の父親の顔を知る者は想像もつかなかっただろうが、生まれたシリウスの顔を見れば、その顔がどれほど美しかったか想像に容易い、流石 男娼と言わしめる程の容姿だったのだろう

 自分から身を堕としたのか、それとも否応無くだったのかまでは分からないが……



「胎児になると能力が上昇し、宿った母体ごと崩壊します」


「ひぇっ! な、なんでだすかっ?!」



 正しくは、子宮ごと、だが、それを元に大抵の母体は死に、それを免れても二度と子供を産むことも宿すこともできなくなる

 土の属性者が間に合えば癒すことも可能だが、助かっても多くの女が恐怖の記憶が元となり不妊となってしまう



「土の属性者には周囲の様子を探る索敵能力がありますが、この能力が胎児の段階で既に備わっているからです、母体が置かれる環境が不穏なものであるとソレを敏感に感じ取って負の感情が暴走し、結果として崩壊に繋がります」



 シリウスはこの点、土の神子である義母親の庇護の元に胎児期を過ごしている為、本人に責任は無く不幸の結果による妊娠にも関わらず堕胎は許されず、なのに売女や阿婆擦れだのとまで蔑まれ、母体の置かれる環境は悪意に曝され頗る悪かったが無事生まれることができていた


 生みの母親は精神的に弱りきり出産と同時に亡くなったが、義母親の存在が無ければ、それ以前にシリウスは例に漏れず胎児のうちに母体ごと崩壊していただろう



「生まれた後も感情制御の乏しい乳幼児のうちは死の危険が付き纏います、恐怖、不安、不快感、そういったものを感じ能力を暴走させた結果、力が内か外に暴発し、結果として死にます」


「内か外……なんだすか?」


「内に暴発し肉体が崩壊するか、外に暴発し土砂崩れや植物の異常繁殖により飲み込まれて死ぬか、まぁそんなところです」


「はぁぁ……」



 レプスは溜め息しか出ない……が、ふ、と思いついた



(あれ? ってぇこどは……)


「これらの度重なる篩の結果、他の属性者に比べ土の属性者は極めて希少になります」



 他の属性者は、属性者ではない母体から自然発生する場合と確立はやや下回るが親から子へと連なる場合と凡そ半々ほどだが、土の属性者は母体数が絶対的に少なく、その所為か属性者ではない母体から自然発生することが殆どだ


 他の属性の子供は土の子供と違い索敵能力が無いので胎児の段階で能力が原因で死ぬ可能性は極めて低い

 母体への影響はせいぜいが体温が高めになるか低めになるか、或いは常に風下になるか程度で大概は命に関わる程ではなく自然発生体であれば胎児の段階では発見され難い、余程母体への影響が酷い程に能力が高い場合には流石に生まれる前に異常に気付き神殿に報告し保護される


 生まれてからは能力の発露の際に大概の場合において神殿に報告され そこで育つことになるので感情に任せて能力を発揮しても他の能力者が制御するので問題なく育つことが可能だ

 親が属性者の場合なら、そもそも胎児の段階から子の能力を制御するので問題にはならない



「そして、生まれた土の属性者が見出されず訓練を受けないまま育つと、気付かないうちにその土地の災害の要となるか、もしくは負の感情による小さな自壊と再生を繰り返し、一見して酷く病弱な個体となります」



 その点、やはりシリウスは父方譲りの丈夫な肉体が物を言った



「少ねぇには理由があるんだなすなぁ……」



 だからか、とレプスは腑に落ちる

 そんでシリウスさまはずっどカミシロさまば抱え込んでるだか、――と

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