表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

大立ち回り



 _____ゴクゴクゴク



 ラベルに『マジカリンγ』と書かれた魔力回復剤を飲み干すと、アイラはその小瓶を投げ捨てた。



「殺す気かッ!」



 間一髪で彼女の『魔法』を交わしたのだろうカオルが埃まみれになりながらも彼女に詰め寄る。



「逆にー、何で生きてんのー?」



 胸倉を掴まれながらも真顔のアイラは、棒付きキャンディを咥えてそう述べた。



「まーあれじゃん。成り行き?」


「……お前な!」



 今にも殴りかかりそうなカオルを他所に、彼女の注意は別の所に向けられていた。


 彼女の視線の向かう先……それは、焦土となった場所の真上。


 未だ夜を覆う漆黒の暗闇がそこにはあった。



「(やっぱ、今のでもダメかぁ)」


「なんか言い残した事は無いか?」


「ねぇ、カオちー……」



 握り拳に力を溜めるカオルに、アイラは真剣な眼差しで問いかける。



「次はカオちーの番ね。ぁいら、きゅーけー」



 そう言って彼女が指差す先には、漆黒の暗闇から此方を伺う大きな一つ目。



『グギギィ……貴様ら……タダの人間では無さそうだな』


「ぁあ〝? (ウチ)は今めっちゃイライラしてんねんッ!」



 再び暗闇から姿を現した世壊し(ヨコワシ)に、カオルは怒鳴り、走り出した。



「ギギギィ……愚か者めッ!」



 一直線に向かって来るカオルに向かって世壊し(ヨコワシ)も空中から急降下を開始する。



「ギギギ……俺様に刃向かった事を後悔するんだな」



 そう述べる世壊し(ヨコワシ)の一つ目が赤く染まり、炎を纏った腕が体から生えてきた。



「ギギィ……、【バーニングフィスト】ッ!」



 炎を纏った拳は完璧にカオルを捉え、大きな衝撃と共に爆発を引き起こした。



 …………!



 しかし、爆炎を切り裂くように大きな盾が世壊し(ヨコワシ)の目の前に現れた。


 そして盾の後ろには不気味な笑みを浮かべ、連接棍(モーニングスター)を振り回すカオル。



「チェストォォオッ!」



 彼女の掛け声と共に、鎖に繋がれた棘付きの鉄球が世壊し(ヨコワシ)の一つ目を強襲する。



「グギギガガッ! そんな攻撃、効かぬわッ!」


「なッ」



 完璧に捉えた筈のカオルの強襲は、カオルごと世壊し(ヨコワシ)の体をすり抜けた。



『つらたんッ』



 追い討ちをかける様に氷の矢が世壊し(ヨコワシ)に襲いかかるが、この攻撃も世壊し(ヨコワシ)の体をすり抜ける。



「えー、まじアリエンティー」


「ギギギィ……鬱陶しい……【一閃】ッ!」



 世壊し(ヨコワシ)から生えた腕から斬撃が繰り出された。



「やばッ……『フッ軽』ッ!!」



 自身に身体強化の魔法を掛けたアイラは間一髪で世壊し(ヨコワシ)の斬撃を回避した。



「ギギ……、貴様の能力……特殊な言葉で呪術の詠唱を省略しているのだな……」


「だったら何? これは、ぁいらにしか使えないスキルなんだけどぉ?」



 世壊し(ヨコワシ)は、埃まみれになった服を払いながら立ち上がる彼女を赤く染まった眼で凝視している。




【アイテム解説】


【マジカリンγ(ガンマ)

 アイラ=イケブチのユニークスキル『異界錬金術(マカフシギ)』によって生成された魔力回復薬。


 使用すると魔力を全回復出来る。

 素早く魔力を回復出来る代わりに、1日の摂取量は2本まで。


 見た目は、某製薬会社の栄養ドリンクに見えなくもない。


 摂取し過ぎるとお腹を壊すらしい……



【龍殺しの大盾】

 龍殺しの騎士が使用していたとされる大盾。

 伝承によれば(ドラゴン)のブレスを防いだとされている。


 魔法耐性が高く、対魔法用の魔具(マジックアイテム)として使用されることが多い。

 勿論、物理耐性も高く、通常の盾としても使用できる。



連接棍(モーニングスター)

 柄と棘付きの鉄球を鎖で繋いだ打撃武器。

 振り回す事により防御に使用でき、即座に攻撃に転じる事も出来る。


 但し、相当な重さがある為、使用するにはそれなりの腕力が必要である。



もうすぐ終わります。

お付き合い下さい……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ