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「ダンジョン」と生きていく  作者: 春 シオン
1章【始まりと冒険】
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5話〜冒険者の姉妹〜


「あなた大丈夫...ってその様子じゃ大丈夫じゃないか」


「ダメージが酷そうです...すぐに治療しないと...」


現れたのは二人の女性冒険者、一人は長いサイドテールにダークブラウンの髪の少女。強気な表情が印象的だ。さらに身の丈もあるような大剣を担いでいる。もう一人は腰ほどのストレートに淡い青色の髪の少女。少しおどおどした印象が見受けられる。こちらは碧水晶が付いた杖を握っている


「とりあえずシーアはその人の治療お願いね。私はこっちを何とかするわ」


「わかりました、姉様はあのゴブリンを。見たことない種ですので警戒は怠らないように」


「わかってるわよ!」


大剣を持った少女はゴブリンに向かって走り出して行った。ゴブリンは撃退するように棍棒を振りかざしてくる、振り下ろされた棍棒を軽やかなステップで避けて一撃、怯んだ隙にもう一撃、と斬撃を相手に刻んでいく


「速いわね、やっぱり普通のとは少し違う」


相手を見定めつつ対峙する。敵の意識を引いているうちにもう一人の青髪の少女がエリアの側に座り込んだ。すると杖に魔力を込めて呪文を詠唱し始めた


「大いなる光の精霊、神託の力よ光の道に集え、万物の理を成して癒したまへ...」


「ブレイブヒール!」


光がエリアの傷に集まってくる。光に包まれた場所が癒しされていき傷が治っていく。薄れいく意識が鮮明に戻ってきた。そして目の前の少女、そして先程まで戦っていたゴブリンと戦っている少女の姿が目に入ってきた


「君たちは...?」


「今はそれよりも目の前の状況をなんとかしますね」


「...僕もやるぞ...」


「あの...あなたはまだ動かない方が...」


「傷は治ったんだ、女の子に守られて見ているわけにはいかない」


吹き飛んでいたダガーを拾い大剣を持った少女の隣に行く、そして構えた


「あら、もう平気なの?見てればいいのに」


「いつまでも座って見てるわけにはいかないだろ」


「ふぅん、意外と根性あるのね。じゃああいつをどうにかしましょうか」


二人は挟み込むように走っていく。ゴブリンは同時に迎撃するように棍棒を振り回す。エリアはしゃがみ、少女は飛び上がった。大振りしていたおかげで隙が大きい、そこをエリアは腹部を刺し少女は空からの一撃で右腕を切り落とした。ゴブリンは予想外のダメージにもがき苦しんでいる


「そろそろ倒せそうね、一気に行くわよ!」


少女の大剣は二つの剣へと姿を変えた。そして魔法を唱えると剣は赤いオーラを帯びた


力付与術(パワーエンチャント)!」


「君はあいつの注意引いてもらえるかな?」


「わかった!」


そう答えるとエリアは一気に敵の懐に駆け込んでいく、それを見ていたゴブリンは弾き飛ばそうと残っている左腕でなぎ払おうとした。しかしそれを体をひねるようにしてかわし右眼にダガーを刺す


「やるわね!あとは私に任せなさい!」


そう叫んだ少女は猛スピードで近づいていき両手に持った剣を振り下ろす


「とりゃあぁぁぁぁ!」


振り下ろされた剣は赤いゴブリンの体を三つに切り裂いき、その大きな体は地鳴りを起こしながら倒れた。エリアは安心したのか緊張が解けたのかその場に座り込んだ


「あなた意外とやるのね」


顔を覗き込むように大剣の少女が話しかけてきた


「あ、助けてくれてありがとう。」


「どういたしまして♪あなた名前は何ていうの?」


「えっと、エリア・グラディウスって言います」


「エリアね、私の名前はリリーナ・フランネル。リリーナって呼んでくれればいいわ。そしてあなたの後ろにいるのがシーア・フランネル、私の妹ね」


後ろ?そう言われ振り向くとさっき回復してくれた少女がいた。


「シーアです、あの...お体は大丈夫ですか?」


「あっ、はい、大丈夫です...多分」


「でも...頭から血が出てますけど...」


「あれっ、本当だ」


さっきの攻撃がかすっていたのかエリアの頭からは血が流れていた


「...一応応急処置しますのでそこに座ってください」


そう言われ素直に手当をしてもらうことにした。止血をして包帯を巻いてもらっているときにリリーナが話しかけてきた


「ねぇねぇ、君って初心冒険者だよね?どこのギルドに入っているの?」


「ギルド名は...知らない...かなぁ?」


そういえば昨日作ったばかりで名前も知らない、あるのかもしれないけど聞いてなかった


「知らないって...自分が所属しているところなのに...、まぁその感じだと新しく出来たばかりのギルドってとこかしら?精霊の名前はなんて言うの?」


「アー様...じゃなくて、ニアサス・アーウェルンクスって方だよ」


「「...っ!」」


その名前を聞いた途端二人は驚きの顔をしていた、緋色の神裁って語り継がれているぐらいだし知ってる人の方が多いのかな?と心の中で考えていた。するとリリーナが疑いの表情で聞いてきた


「ニアサス・アーウェルンクスってあの『命選の精霊』の...だよね?」


「うん、あってるよ」


「その精霊がギルドを建てた、そしてそのギルドにあなたがいる、これであってるわよね?」


「間違ってないよ」


「そう...」


エリアからの答えに驚きつつもリリーナはとんでもないことを言い出してきた


「ねぇ、あなた達のギルドに私達も入っても大丈夫かしら?」


「入るって...うちのギルドに?」


「?他にどこがあるって言うの?」


「ね、姉様...私達ってことは...もしかしなくても私もですか...?」


「そうよ」


シーアは話の流れについていけてないようで、今にも目を回して倒れそうだ


「僕はいいと思うけどアー様がなんて言うかわからないからなー...それに二人はここにいるってことはどこかのギルドに入ってるってことだよね?そのギルドのことはいいの?」


「ギルド...あーあー...そうね、大丈夫、そこには後で抜ける手続きしてくるわ。とにかく!これは決まったことなの!さっ、早く街に戻るわよ!」


リリーナは急ぎ足で入口の方に向かっていった。それを追いかけるようにシーアが慌ててついていく。エリアも二人の後について行こうとしたのだが一つ気になることがあった、赤いゴブリンの死骸が消滅していないことだ

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