3話〜ダンジョン〜
あの精霊の少女、アーウェルンクスと出会いの次の日...僕は彼女に会うためにクロノス神殿に訪れた
相変わらず廃れている神殿の奥へと足を運んでいく
「あらエリア、遅かったわね」
不意に背後から声をかけられエリアは振り向くと彼女は窓のない窓枠に腰をかけながら果物を食べていた
「遅いって...まだ明朝の4時ですよ...って!?」
エリアは苦笑しつつ顔を見上げるとそこには肌着姿の彼女の姿があった
「な、なんで服を着ていないんですか!?」
顔を赤らめつつそっぽを向いた
するとそれを見ていた彼女は窓から降りてきてエリアに後ろから抱きついた
「なんだ?君はこういうことには慣れていないのか?初々しいやつめ」
そう言って彼女は笑いながらエリアの頭を撫でている
「な、なんでもいいから早く服を着てくださーい!」
そんな彼の叫びが神殿に響く...少し経って服を来た彼女が言った
「まったく、こんなことで心を乱すようじゃダンジョンじゃ生きていけないわよ?」
エリアの方を見つつ鼻で笑うアーウェルンクス、そんな彼女に対し
「いやそもそもなんで服を着ていなかったんですか!?」
「なぜって?だって私寝るときは服を着ないもの」
「っな!?」
またエリアは顔を赤らめた
「あなたってほんと面白いわね」
完全にからかわれている。
「そ、そういえば今日は拠点になる場所を探すんでしたよね?どうしましょう?どこかいい場所ありますかね?」
エリアが本来の目的を思い出したように話をそらす、それを聞いた彼女が自慢げに胸を張って言った
「あぁその件に関して私に一つあてがあるの、今からそこに行ってみるわ」
そう言って扉の方に向かって歩いて行くアーウェルンクスの後ろに付いていこうとするとにこやかな笑顔で告げられる
「あぁ、あなたは来なくていいわよ?」
「えっ?」
「あなたはダンジョンにでも行ったらいいわ、楽しみだったんでしょう?」
そう言われエリアは自分の目標を思い出した。ダンジョンを踏破する、それを目指してこの街に来たのだから
「でも...いいんですか?」
「私のことは気にしなくていいわよ、あなたが帰ってくるまでにしっかり帰る場所を用意しておくから」
「...わかりました」
彼女に背を押され僕はダンジョンに行くことにした
「ここから近いのは【聖者の森林】かしらね、あそこは初心冒険者も多いわ、死なない程度に頑張ってくるのよ」
この世界には星型を描くように10のダンジョン、その星を囲むように25の迷宮が存在している。なぜそのような配置でそれらがあるのかは神々ですらも知らない。ただ、それぞれの場所には不思議な力が漂っているという。ダンジョンと言ってもどれも似て非なるものばかりで、天空に伸びていくものもあれば地下深くまで続くもの、浮かんでいるもの、普通では見えないものもある。そして今彼が行こうとしている【聖者の森林】と呼ばれるダンジョンは比較的に安全で冒険者の卵が自分の技量を上げるために向かう場所でもある
「ここが【聖者の森林】か...」
エリアはダンジョンの入口まで足を運んでいた
ここが彼の最初の<冒険>の場所となるのだ
彼がダンジョンに入ろうとすると一人の男性が声をかけてきた
「君、ここに入るならリングを見せてもらうよ」
声をかけてきたのは憲兵の男性だった、ダンジョンではモンスターが現れ危険も多い、なので一般の人が入らないようにこうして各ダンジョンに数名憲兵がいるのだ。そして冒険者には一つのリングが渡される、それが冒険者としての証明になるのだ
「えーっと、これでいいですか?」
そう言ってエリアは蒼く輝くリングを見せる
「ふむ、いいだろう。入るがいい」
憲兵の男性はダンジョンの扉を開けてくれた
エリアは初めての冒険に心を踊らしていた
そこに憲兵の男性が呼びかけるように言った
「君は見た感じ初心冒険者だろう?だったら牙狼種には気をつけた方がいいよあいつらは仲間を呼び集団で襲ってくるからね」
「牙狼種...か、わかった、気をつけるよ」
そうしてエリアはダンジョンに入っていった