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【連載版】高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果 作者:ケンノジ
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はじめての昼休憩



 待ちに待った昼休憩の到来。
 間食なんてことはまったくしてない俺は空腹MAX。

 さて。年上で若干天然で小悪魔の柊木ちゃんが待つ世界史準備室へ行くとしよう。

「真田ー? どこ行くんだ? 弁当食わねえの?」

 我が友・藤本がハンカチで包んである弁当を掲げている。

 悪いな、藤本。

 俺はもう、どうやったら女子にモテるとか、おっぱいの大きさはどれくれいがいいとか、そういうことを論じるステージにいない。

 なぜなら、女神が世界史準備室で俺を待っているからだ。
 手作りの弁当を持参でな!

「弁当は食う。けど、しばらくは一緒には食えないかもしれない」

 藤本が真顔で俺を見つめてくる。

「どういうことだよ。おまえは、オレしか友達がいないはず!」
「うるせえよ、本当のこと言うんじゃねえ」

「そのおまえが、別の誰かと昼休憩に弁当を食う? あり得ねえ!」
「あり得るんだ、それが」

 悲しそうな、むしろ同情しているような顔で、藤本が俺の肩を叩いた。

「無理すんなよ。本当はいないのに、藤本(おれ)以外にも友達がいるっていう虚しいアピールならやめろ。いないってのは知ってるから」

「俺をそんな悲しいキャラにすんのはやめろ」

「バレないように便所かどこかで一人寂しく飯を食うつもりなんだろ?」
「違うわ!」
「オーライ、オーライ。おまえには、たくさん友達がいる。そう、毎日毎日、日替わりで昼飯を食って談笑ができる友達がな」

 渋顔で笑みを浮かべつつ、うんうん、と藤本は何度もうなずく。
 な、なんだよ、急に……。
 いや、てか、そんな友達いないから。

「それはわかった。だから、強がるのはやめて大人しくオレと一緒に飯を食おう。金がないなら三〇〇円までなら貸してやれる。な?」

「別に金がないから弁当が食えないってわけじゃねえんだ」
「なら、今日はオレが金を出してやる。オレたちは友達だ。そうだろう?」
「え、ああ、うん」
「さあ、行こう。学食か? それとも売店のパンか? 好きなほうを選べ」

 三枚目の外人みたいに、肩をすくめる藤本。

「いや、だから。俺は別の人と食うっていう話。オーライ?」
「まあまあ。そう言うな」

 ぐいぐい、と藤本が俺を強引に引っ張りはじめた。

 あ、わかった。

「さてはおまえ……俺以外に食うヤツが」
「違うし」

 否定早っ。

「いや、マジで違うから」
「いないんだろ。一緒に昼飯食ってくれる相手」
「言うなって」
「一〇〇円やるからその手を離せ。ぼっちマン」

「くっ――。友達だろおまえ! 友達っていうのはなぁああ! 一緒に昼休憩を過ごすんだよぉおおお! 弁当食いながら、どうでもいい会話するもんなんだよぉおお!」

 俺は財布の小銭入れを覗く。

「さて。ぼっちマンに恵む一〇〇円はあったかな……」

「くっそ……! いいじゃねえか。教室でいつも二人でいるから、クラスの女子に『あの二人デキてるんじゃないか』って噂流されてても」

「何その噂!? 余計イヤになるわ!」

「陸上部の後輩が入ってきたんだぞ!? 『昼飯、藤本さん一人で食ってんスね(笑)』みたいなことになったら、おまえどうすんだ! 先輩としての威厳保てねえだろ! オレを助けると思って、頼む!」

「何だよ、結局自分のメンツか。じゃ教室から出なかったらいいだろ? おまえとは違うステージにいる俺から、おまえへの最後のアドバイスだ」

 ぱっと藤本の手を払って、俺は教室を出ていく。

「真田ぁああ、カムバァアアック!」

 うるさい大声を聞き流し、ぴしゃんと扉を閉めた。
 ぼっちマンのせいでタイムロスしちまった。

 俺は急ぎ足で特別教室棟へむかい、世界史準備室を目指す。

 緊張しながら、扉に手をかける。
 職員室では、柊木先生と男子生徒として接していたけど、このむこうにいるのは、告白をオーケーしてくれた彼女である柊木春香さんなのだ。

 誰にも見られてないことを念のために確認してから、中に入る。

「あ、真田君。授業お疲れ様」

 ニコニコ、と柊木ちゃんが俺を迎えてくれた。
 その笑顔を見るだけで、すごく癒される……。

「お疲れ様です」
「これ。ちゃーんと作ってきたよ」

 整理整頓されたデスクの上に、昨日言っていた通り、弁当がふたつ置いてある。

「ありがとうございます。先生ってちゃんと料理できるんですね」
「そういう意地悪言う人にはあげません」
「料理できる女の人は、魅力的ですよ」
「もう、すぐそういうこと言うー」

 照れ隠しに怒ってみせる柊木ちゃん、可愛い。

 はいはい、と柊木ちゃんは、自分の席の隣に用意した椅子を叩く。
 隣にお邪魔して、さっそく弁当を開く。

 ……一面唐揚げだった。
 ご飯とかその他おかずは一切入ってない。

「唐揚げ入れてあるでしょ?」
「いや、入れてあるっていうか、それだけが詰められているっていうか」

 弁当に唐揚げ入れてほしいって言ったのに、何で唐揚げだけ入れてんだ!

「あ……ご、ごめんね! ふ、普通は、もうちょっと……」

 やばい。俺が喜ぶと思ってたのに、微妙なリアクションしたせいで、柊木ちゃんが若干ヘコんでる!

「ううん。そんなことない、大丈夫だから! 俺唐揚げめっちゃ好きなんで」

「ごめんね、気が利かなくて……普通はもうちょっと、レモンとか入れるよね……絞る派だった?」
「そこじゃねえええ」

 常識をどこに置いてきた!!

「さっぱりしたいときもあるもんね?」
「いや、そこじゃなくって。もうちょっと……全体的に思ってたのと違うっていうか」

「そこじゃなくて、思ってたのと違う……あ、そういうこと」

 やっとわかってくれたらしい柊木ちゃんは、ぱちんと手を合わせた。仕草がいちいち可愛い。
 ふう、と俺は息をつく。

「うん、そうそう、そういうことです」
「もしかしてぇ」

 含み笑いをしながら、俺のほっぺをつんつんと指でつついてくる。

「唐揚げのことを竜田揚げだと思ってたんでしょー?」

 どっちでもいいわ!
 そんなピンポイントな違いを指摘したわけじゃねえ!

「くふふ。違うんだよ? 唐揚げと竜田揚げって。まあ? お料理普段しない人はわかんないかもねー?」

 普段料理してるんだぞアピールをしてくる柊木ちゃん。ちょっとドヤ顔なのである。

「もしかして、先生、木を見て森を見ないタイプ?」
「? どっちも見てるよ? 割と。通勤途中に山があるから」
「……」

 オーライ。俺の愛しき女神柊木ちゃんは、天然だ。これは確定だ。
 若干天然だと思ってけど、若干どころじゃなくてガチの人だ。

 いただきます、と柊木ちゃんが礼儀正しく手を合わせる。
 二段重ねの、手のひらに乗せられるほど小さな弁当箱だった。

「先生、こんな量で足りる?」
「足りる、足りる。そんな男子みたいにいっぱい食べられないから」

 ぱかっと蓋を開ける。
 中身は…………普通だった……。

 なんでだよ!!

 で、俺の箸がない。

「先生、箸入れ忘れた?」
「ううん。入れてないだけだよ」
「え。なんで?」

 柊木ちゃんが、唐揚げを箸でぶすっとさして俺の口に突っ込む。

「食べさせてあげる♡」

 この人、俺を超甘やかす気だ……。
 あ。鶏の唐揚げ美味い。

「美味しい?」
「うん。冷めてても美味しい」
「じゃ今度こっち」

 今度こっちって……全部一緒だろう。
 またしても食べさせてもらった唐揚げは、鶏肉じゃなくてタコだった。

 か、唐揚げの中身で違いを見せつけてきおった!!

「タコだよ、タコ。結構いけるでしょー?」

 唐揚げのバリエーションが考えられるのに!
 弁当としてのトータルバランスをどうして考えられないんだ……。

 不満が出つつも、料理ができるとアピールするだけあって、柊木ちゃんの作った唐揚げは美味しくて、飽きずに食べることができた。

 結局、全部あーんで食べさせてもらったけど。

 どうしてそんなに食べさせたがるのかは、まったくの謎だ。

 けど、柊木ちゃんが楽しそうだったからよしとしよう。

 雑談をしていると、扉のすりガラス越しに誰か映った。
 俺と柊木ちゃんは思わず会話をやめて、そのまま立ち去らないか、じっと見つめた。

 カタン、と鍵がかけられ、ガタンガタン、と扉をむこうの誰かが動かそうとする。

「あれ? 鍵が締まった? ってことは……開いてた?」

 たぶん、早めに準備をしにきた先生だ。

「あ、ヤバイかも。真田君、隠れて」
「か、隠れてって言われても……」

 物陰はあるけど、中に入ってくれば一発でバレる。
 カタン、と再び鍵の開く音がした。
 俺はぐいっと引っ張られ、柊木ちゃんが使っているデスクの下に放り込まれた。

「あ。柊木先生だったんですか。誰かと思いました」

 少し年配の女性教師の声。名前は知らないが、顔はわかる。おばちゃん先生だ。
 ごそごそ、と物音がして、柊木ちゃんとしゃべっている。

「ええ……お昼ご飯をここで食べていて……」
「どうりで今日は職員室にいなかったんですね」

 机の下に放り込まれた俺には、全然気づいていないみたいだ。
 っていっても、柊木ちゃんの後ろは窓で、こちら側に回り込まれて、下を覗かない限りはバレようもない。

 って。ちょっ――!
 柊木ちゃん……スカートの中、普通に見えてる……。

 普段スカート履かないから、無意識なのか……?

 股が少し開いたり閉じたりするせいで、もう俺は、欲望と魅惑の詰まった三角コーナーに夢中だった。
 気を抜けば、鼻血による出血多量で気絶しそう。

 ガラガラ、とおばちゃん先生が準備室から出ていった。

「もう大丈夫だよ? ごめんね、狭かったでしょ?」
「狭いは狭いで、いいことも、ありますから……」
「顔赤いよ? 大丈夫?」

 頬を触って、それからおでこを触られる。

「あの。先生。今日スカートだから……股は閉じていたほうが……」

 挑発的な目をして、柊木ちゃんは口元だけで笑う。

「いつまで見てるのかなって思ってたけど、ずうっと見てたもんね?」

「え」

「あって気づいたら、すっごく真剣に見てたから、閉じちゃうのも悪いかなって思って」
「そ、そういうときは、閉じてください! 目のやり場に困ってたんですから」

「困ってたって、片時も目を離さなかったでしょー?」

 柊木ちゃんはきょとんとして、屁理屈を返してきた。
 俺にパンツを見られるくらい、どうってことなかったらしい。

「ねえねえ、何色だった?」
「知ってるくせに聞かないでください!」
「ピンクです♡」

「言うなよ! 知ってるよ見てたから!」
「一生懸命ツッコむ真田君可愛いー」

 計算なのか天然なのか、さっぱりわからない柊木ちゃんだった。

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