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高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果  作者: ケンノジ


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魔女さん


「ってことがこの前あって」

「へえーそうなんだ?」


 日曜日の昼下がり。

 紗菜の部屋で見かけたハロウィングッズのことを話すと、柊木ちゃんは興味津々な様子だった。


「でも、紗菜ちゃんよかったね。クラスに馴染んだみたいで。これもきっとお兄ちゃんのお陰かもね」


 ニコニコと柊木ちゃんは俺に言う。

 そうなのか? 確かにオリジナルの記憶では、紗菜はずっとぼっちであんなふうに誰かにハロウィンに誘われることもなかった。

 でも、俺じゃなくて奏多のほうが影響は大きい気がする。


 この調子でもっと交友関係が広がったらいいんだけど。

 いや、性格が性格だから、それは難しそうだな。


「猫耳メイド紗菜ちゃん、可愛いんだろうなぁー。あたしも見たかったよ」

「先生は、ハロウィンするの?」

「する。します」


 食い気味で言う柊木ちゃんは、真顔でじっと俺を見つめる。

 意外。ああいう騒ぐ系のイベントは、苦手だと思ったのに。


「どういうやつやるの?」


 訊くと、それはそれは得意げな顔をした柊木ちゃん。


「えー? 誠治君知らないの? カボチャくりぬいて、ジャックオーランタンを飾ったり」

「それ本来のハロウィン! ちゃんとしたやつ!」

「あれ? 違った?」


 違わなくはない。むしろ正しい。でも、思ってたやつじゃない。


「先生、最近の日本人がよくやるハロウィンは……」


 俺は一種のお祭り状態のハロウィンについて柊木ちゃんに説明した。


「あ、そういうことだったの? だ、だからかぁ、夏海がやめろって言ってたのは」

「ん? 夏海ちゃんが何か言ってたの?」

「ええっとね」


 と、柊木ちゃんはそのときのことを話してくれた。

 会話にすると、こんな感じだったらしい。


「最近ハロウィンって流行ってるんだねぇ?」

「何、春ちゃん、もしかしてやりたいの? やめときなって。あれってば、若い子のお祭りだから」

「っ! わ、若い子?」

「そうそう。春ちゃんくらいの年の人がやると、ちょっと痛さが……」(個人の感想です)

「あ、あたしだって若いし! できるから、ハロウィンくらい!」


 とまあ、こんな感じで実態をよく知らずに、手持ちのありったけの知識で大見得を切ったらしい。


「そのとき作ったのが、これ」


 一抱えほどある、大きなカボチャを柊木ちゃんが運んできた。


「うっわー……ザ・ハロウィンだ」


 でしょでしょ、と柊木ちゃんは、俺が誉めたと思って喜んでいる。

 誉めていいレベルのクオリティだし、よくこんなの作ったなーとも思う。


「トリックオアトリートって言われたらお菓子あげるんだよ?」


 知ってるわそれくらい!


「飾ったの?」

「うん! それで、クッキーいっぱい作って待ってたの!」


 仮装をしたちびっこ魔女やゾンビさんたちを待っている、ウキウキな柊木ちゃんを想像する。


「でも、待っても待っても、誰も来ませんでした……」


 でしょーね!

 寂しく作ったクッキーを一人で食べてる絵が思い浮かんだ。

 小綺麗なアパートには、幼稚園や小学生のちびっこたちは来そうにないもんね。


「夏海ちゃんが言ってるのは、仮装をして街を練り歩くほうだよ、先生」

「先生じゃなくて春香さんでしょ! でも、それで死者の魂をお迎えすることができるの?」

「それ本来のやつ! 実際はただのコスプレパーティで、意味なんてなくていいんだよ」

「そうなんだー」


 ふむふむ、と何か考えている柊木ちゃん。

 けど、俺には何となく何を考えているかわかった。




 そのまた一週間後。

 お昼過ぎに来てほしいと言われたので、その通りに柊木ちゃんちにやってきた。

 インターホンを鳴らすと、「どうぞー」と中から聞こえた。

 いつもは出迎えてくれるのに、今日に限ってこれってことは、何かあるな?

 扉を開けると、魔女がいた。


「どう? 似合ってる?」


 丈が短いスカートを両手で広げて会釈する柊木ちゃん。

 その挨拶は魔女じゃなくて貴婦人っぽいけど、そこは突っ込まないことにしよう。


「似合ってる。可愛いよ先生」

「てへへ。やった♡」


 つばの大きな黒い帽子に、黒いミニ丈のワンピース。ところどころレースが入っている場所からは素肌が少し見える。ちょっとだけセクシー。

 相変わらず、ぽいんぽいんなおっぱい様ですこと。

 足にはタイツをはいていて、ほとんど透けて……あ、これこの前買ったやつ!?

 エロい! 足もエロい!


「あ。言うの忘れてた。トリックオアトリート!」

「お菓子は持ってないな」

「じゃあ、いたずら、しちゃう♡」


 飛び付くように俺に抱きついた柊木ちゃんは、ちゅ、ちゅ、と俺にキスをした。

 おっぱいが当たってむぎゅってなってる。


「誠治くんも、抱き締めて?」


 耳元で甘えるような小声でささやく。

 リクエストに応えて抱き締めると、相変わらず体全体が柔らかくて心地いい。


「今日は誠治くんは使い魔ね。あたしの言うこと、何でも聞くの」

「おっけー、ご主人様」


 魔女に部屋へ連れていかれ、膝枕をされながら、耳掻きをしてもらう。

 すりすり、と太ももを触るセクハラごっこをすると、


「ひゃん。だーめ、もうっ♡」


 と、怒られてしまった。


 こんな感じなら、もっと怒られたいぞ……!


 今度はふにっと二の腕を触る。ふにふに。


「そこ、ダメ~っ!」


 こうして、両手が自由なのをいいことに、俺は耳かきしてもらう間、柊木ちゃんにセクハラしまくった。


「誠治くんのほうがイタズラしてるよね?」

「あ、ごめん。イヤだった?」

「……そんなこと、言ってないでしょ……?」


 頬を染めながら言う魔女さんも、まんざらじゃないらしかった。

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