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アダ名

随分進むと洞窟の幅が次第に広くなっていることに気がついた。

「随分と広くなったな」

「そうね、そろそろ最深部に着いてもいい頃ね」

そう言いながら少し足を早めた。

更に奥に進むと洞窟の最深部が目視できた。

ご丁寧に松明とその側にチャイムベルがあった。

《御用の方はベルをお鳴らし下さい》

「ほぉ、では」


ーチリチリ〜ン

街角のパン屋を連想させるシャレオツな音が響いた。


ーガチャ

床式扉が開き、係りのゴブリンが顔を覗かせた。

「はーい、何でしょうか?」

「あ、すいません。ここの洞窟に観光に来た者ですが、仲間が何人か行方不明になって。此方に来てないでしょうか?」

俺は生まれて初めてゴブリンと会話をした。

だが何故だろう。全く嬉しくない。

「成る程、確かに人間が迷い込んで来ましたので捕獲しましたよ」

ゴブリンのその言葉に後ろにいたミルアが怒った。

「なによ!ゴブリンの分際で!」

「ちょっ!なるべく穏便にだな!」

俺が止めに入ったが時すでに遅し、ゴブリンはミルアの言葉に激怒し仲間を呼んだ。

「おーい!人間が俺らに喧嘩ふっかけてきやがった!」

「なんだと!?」

「それは許せねぇ!」

「あぁ、許せねぇな!」

完全にゴブリンを怒らせてしまった。

とりあえずに剣を抜き構えた。

ミルアとフレアも杖を構えた。

「皆の者!?かかれー!」

リーダーらしきゴブリンが勇ましく声をあげると同時にゴブリン兵が襲いかかってきた。

その数ざっと100匹

「ミルア、フレア!援護を頼む!」

先程の戦闘経験でそれなりの自信をつけていたので戦闘に対して幾分の度胸がついていた。


ーズズズーン

突然、雷の様な轟音が響いた。

「待て、おまえら」

まるで大音量のスピーカーの様な声でゴブリン一同は気をつけの姿勢になった。

「ボ、ボス!」

ゴブリン達がボスと呼ぶ先には巨大なゴブリンの姿があった。

それこそ大の大人三人分の身長があり、かなりがっちりとしていた。

だが、様子がおかしい。

「ボス、体の具合がよろしくないのに。寝室へお戻りください!」

ゴブリン達がボスと呼ばれるゴブリンに言う。

「大丈夫だ」

部下のゴブリン達に笑ってみせるボスゴブリン。

「すまんかったのぉ、人間さん方。非礼を詫びよう。」

ボスが頭を下げ謝る。

それにつられて周りのゴブリン一同も頭を下げる。

俺達は突然のことに呆気にとられていた。

「申し訳ねぇ、旅の方。ワシの具合が悪くなってからといったもの、子分達はこの洞窟にくる人間からワシを護る為にちょっとばかし敏感になってしもうて。」

ボスゴブリンは、掠れかかった声で言った。

どうやらこのボスゴブリンは病に侵されているらしい。


それを考えればゴブリン達が殺気立っていた

のにも納得がいく。


まぁ相手に殺意が無いのならば無駄な血を流す必要は無いだろうと俺ら人間チームは考えがまとまった。


「争う必要がなくなり、よかったです。私の名前はミルア=ファルニア。こっちがケンタとフレア」

軽く会釈をした。


「ご丁寧にありがとうございます。私には名は特にありませんのでどうぞお好きなようにお呼びください」

「そうっすか?じゃあ、ボスリンで!」

俺はこのやり取りの間にふと思いついたボスゴブリンのあだ名を言った。


「ボスリンですか、良い名前ですな!」

どうやらボスリンは気に入ったようだった。

「いやいや、無いだろ」

ミルアとフレア、それにゴブリン子分達が口を揃えて言った。


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