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砂漠

作者: アリア

 此処は何処だろう。目が覚めたら知らない世界にいた。

 周りに見えるものは地平線まで広がる砂漠。空からは太陽の強烈な日差しが降り注ぐ。

 なんで僕はこんな砂漠の真ん中にいるんだろう。これは夢なんだろうか。

 此処にいても仕方がない、目に見える範囲には何も無いが歩いて見よう。何か見つかるかもしれない。

 僕は砂の上を歩き始める。何か無いかと辺りを見回しながらひたすら歩く。

 目に映るのは砂ばかり、何も目を引く物はない。

 一体ここは何処なんだろう。

 砂漠に何か面白いものが落ちてるわけでもなく、徐々に辺りを見回しながら進むことに飽きてきた。

 こうなってくると注意は散漫になり、此処は何処かという考察に神経を使い出す。

 まずはこれが夢かどうかだ。

 正直に言えば分からない。薬用な日差し、砂の沈む感触、それらはリアルで、これは夢でないと僕の直感は告げる。

 でも、もしこれが現実なら知らない場所に突然やってくるなんてあるのか。

 ファンタジー小説の世界であるまいしそんな事が、簡単に起こってしまっては敵わない。

 でも現に目の前で非現実的な事が起こっているわけだ。

 眩暈がする。一体何が起こっているのか僕には分からない。

 ふと、さっきまで歩いてきた道が気になり振り返る。

 砂漠には長い足跡が続いていた。当たり前だ、少し前まで歩いていた道だ。

 足跡だけが残っている、それ以外何も無い。まるで僕の人生のように……。

 僕は何を考えてるんだ。今はそんな事を考えるときじゃないだろ、目の前にあるこの問題について考えないと。

 此処は何処だろう、非現実的なこの状況。いくら思考してもわからない。進むべき道は見えず、目に映る景色に僕の道を示すものは何もない。

 不安になる。見いたことも無い場所で突然目を覚まし、砂だけの世界を歩き続ける。

 体力が無くなるより早く、心が折れてしまいそうな不安が重くのしかかる。

 何でこんな事になるんだよ。

 砂しか無い世界、変わらない道のり、退屈な光景、それらはまるで僕の人生のようである。

 考えたくないのに考えてしまう。

 僕の人生には何もない。飽きるほど長い時間の中、進んだ道はもう数えられない。

 しかし、生み出したもの成し遂げたことを数えると、指を追って数える程度の数しか無く……。

 僕の人生とは何なのか。

 こんな砂漠の中で、なんでそんなことに気がつかなければいけないのか……。

 自分の人生がいかに無駄かわかる。

 こんな人生だ砂漠の真ん中で死んだところで何も変わらないだろう。

 何もやらずに死ぬなんて嫌だなー。

 訳も分からず砂漠で目覚めて、こんな事考えさせられて、自分の人生を振り返れたと言えばいい体験だが、此処から帰れないなら意味なんてないんだよな。

 価値の無い人生だったかもしれないけど、死ぬ前に何かしたかったな。

 まだ死ぬとは決まったわけではないが、それでも覚悟はしておく。

 そんな事を考えてる間も僕は歩き続けている。

 それは止まることのない時間のように。

 そしてこの歩みが時間というなら、この砂漠は僕の人生に何もないことを暗示しているようだ。

 結局、僕の人生は過去にも未来も何もない。

 何でここに来たかも分からず、僕は人生を振り返り変えることなど許されずに、砂漠の一部となるのを待つだろう。

 嫌だな、こんなところに来る前に気がつきたかった。

貴方が偶然これを読んだなら、気がついて欲しい。

今気がついたならきっと間に合うから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 人生を何かで表すってありふれているように思えて、難しいですよね。 複雑なのか、それとも無なのか、考えさせられます。
2013/06/24 20:06 退会済み
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