黒浪士~1ノ章~「始まりの出合い」
この作品は、私がない知恵を絞って書いた作品です、この作品は夢を題材にしてはいません、自分で考え書いた作品です、
「コイツの事を知ってるかい?」
青い服の人間が街の人に手配書の人物が何処にいるか聞いていた、その手配書に描かれた人は、黒い浪士と呼ばれ、どんなな場所にいてもわかる、何故ならばその浪士は黒いハットに白い羽を刺し、黒いマントを着けているからだ、だが誰でも見ればわかるのに捕まらない、数十人で罠をはっても逃げられてしまう、だがコイツだけは捕まえる、ハンターとして。
「……俺はどうすればいい…………」
そんなことを考えながら黒い浪士は首に下げた赤いペンダントを見つめていた。
「罪は……消えない……」
黒い浪士は昔、大きな罪を犯した事を今でも悔やみ続けている、自分がこれからどうすればいいのかわからない、黒い浪士は今では世界中から嫌われた者だった。
「………」
黒い浪士はマントを翻し、路地裏を歩いていく、何処に向かっているのか、それはわからない、ただその心の中にある何かが、探さなくてはならない、そんなことを思わせて足を動かさずにはいられない。
「…………」
今では自分の気に入らない者に制裁を下し、貧しい者を出来る限り助ける、それが今の自分に出来る事だと考え旅をしている、
「おなかすいたよぅ……」
「……」
路地裏の壁にもたれ掛かるように座っている痩せこけた小さな兄妹を見つけた、二人とも何日もなにも食べていないのだろう。
「今の俺に出来る事……」
黒い浪士は路地裏から街の表道りに歩いていった。
「おなかすいたよぅ…」
「我慢しろ……少し休んだら食べられる物を探してくるから……」
そこにまた黒い浪士が戻ってきた、黒い浪士は兄妹の前にしゃがみこみ、マントの中から大きな干し肉とリンゴ二個を兄妹の前に置いた。
「!?」
「食べろ……生きていれば良いことがあるかもしれない」
黒い浪士は二人の頭をそっと撫でて、また暗い路地裏を歩いていく、どれだけの町を旅しても何も見つからない、それでも今まで生き長らえた、これにはなにか意味があるはずだ、俺は次の町を目指して歩き始める。
「見つけたよガルーダ!!」
「……」
黒い浪士は歩く足を止めて声の主の方を向いた、そこには青い服のハンターが銃を構えて立っていた。
「アンタの首はアタシが取る!」
「……捕まる訳にはいかない」
ガルーダと呼ばれた黒い浪士はその場から一瞬で消えた、黒い浪士が捕まらない理由は、敵に見つかっても逃げきれる速さがあるからだ、ゆえに黒浪士と呼ばれる他に黒き幻影とも呼ばれている。
「また逃げるのかいガルーダ!!」
叫んでもそこには既に誰もいない、だがわかっていても叫んでしまうのだ。
「畜生ーー!!」
誰もいない路地裏で壁に向かって銃を構え、感情のままに撃ち放っていた。
「今は……まだ」
一方、ガルーダは誰もいない路地裏で小さく呟いていた、生きる目的を求めて、今は見据える事のできない未来、そんな未来で生きていられるように、
「あいつが一番それを…………わかっていたのだろうな」
ガルーダは路地裏をすばやい動きで、街の出口まで移動した、この町には情報を得るためにきた、今世界で多発している国同士の争いの主な状況と、戦争をしている国の場所の情報だ、そして2つの場所が浮かび上がり、そこに向かうために、まず今いるこの街、「オルビレッジ」という街から一番近いのが、森を抜けた先にある「トラスタン」という機械の力で栄えた国だ、そこの王族である知り合いに会いに行く、昔黒の旅団と呼ばれる集団を率いていた時に護衛として着いていた事からよく話していた、現在ではハンターに追われる程の大罪を犯したために連絡はしていない。
「……覚えていればいいが」
あれから10年はたっている、忘れていても不思議ではない、だがだからといって無駄な戦争をしている国を放ってはおけない、なにより民の気持ちを王に伝えなくては、一時の戦争で栄えた国など意味がないという事を。
「まずは………!」
ガルーダは何かに気がつき木の影に身を潜める、すると森の中を歩く二人組の傭兵を見つけた、なにかを話しているようだ。
「トラスタンももうダメだな、兵士の士気が下がって話しを聞かない奴もいるらしい」
「このままだとフリージスに破れるだろうな」
「フリージスには氷の魔術を使う者もいるらしいしな、防戦一方さ」
「………」
ガルーダは黒いマントを深くまといその場から足早にトラスタンに向かった、その時ガルーダを木の上から見つめる者がいた、赤い帽子を被り、小太刀を獲物にもつ10代半ばの少女だった、少女はガルーダに気づかれないように木から降り、ガルーダの後を追って歩いていく、この時ガルーダはつけられている事に気づいていたが気にせずトラスタンに向けて歩いていた。もうっそうと生い茂る森の中を歩いていると魔物に襲われることもある、特にウルフやビックベアードなどに出くわすと厄介だ、こっちの武器は六本のナイフのみ、ウルフは倒せてもビックベアードは倒せないだろう、
グルゥゥゥゥ、
「……ウルフか」
7………いや8体はいるであろうウルフはガルーダを囲むようにして少しづつ距離を詰めてくる、ガルーダは六本のナイフを指の間に挟み込み鍵爪のようにして構えをとる、ガルーダはウルフ達を挑発するように足で「ダン!!」と音をたてた、するとウルフ達は弾かれたように一斉にして襲いかかってきた、ガルーダはその行動を予測して既に左右にナイフを投げていた、投げた六本のナイフはその全てがウルフの頭を直撃し、6体はその場に倒れ、他2体は前方後方か挟むように襲いかかってきていて、既に目前まで来ている、だがガルーダは冷静に右側に跳び回避して倒れた2体の頭からナイフを引き抜き、ナイフを投げて他2体も倒した、そんな戦いを見ていた赤い帽子を被った少女は声を出して感心していた、
「うわ~、あれをナイフて倒せるんだ、流石だわ~」
「…………」
ガルーダは呆れたように回収したナイフの一本を少女の身を隠している木上に投げた、そのナイフは少女の足元に刺さり少女はびっくりしていた、
「げ!ばれてた!?」
「………最初からな」
「うそん!?」
「俺に何の用だ………」
ガルーダはそう聞きながらウルフの1体から肉を剥いでいた、ガルーダはこの少女が自分に危害を加えないと判断して行動していた、それを少女は気づいていなかったようだ、少女は足元に刺さったナイフを取り木から降りてガルーダの元まで恐る恐る歩み寄る、そんな少女にまた呆れ、ガルーダから声をかけた、
「お前が何もしなければ何もしない……」
「え?、ホントに!?」
「……ああ」
「やった!、じゃあアタシの話し聞いてくれる!」
「………ああ」
「じゃあアタシも一緒に連れてって♪」
「断る」
「即答された!?」
少女はその場にへなりと座り込みちょっと怒りぎみにいい始めた、
「そんな即答しなくてもいいじゃんよー!、アタシだって案外強いのに~!」
「気配も消せない………俊敏さもない……それに攻撃に対する反応も薄い……」
「うぐっ!?、う~~!お願いです!一緒に連れてってよ!」
「他の者に頼め……俺は犯罪者なんだ」
「黒い幻影ガルーダ……フリージスの先代たる王の暗殺の罪で指名手配中の極悪盗賊、だけどその真意はいかに♪」
「!………」
ガルーダはこの少女が自分の事に関して知った上で一緒に行動しようとしている事に驚いた、その他にもまだ自分に関しての情報を知っている口振りの少女を、背を向けたまま困惑の顔で聞いていた、
「お願いだよ!、アタシも一緒に……」
「お前は………何の為に…ついて来ようとしている」
「フリージスにも行くんでしょ?、そこの今の王子と知り合いなんだけど、会いに行かないといけないの………」
「………そうか」
ガルーダはそこでウルフから剥ぎ取った肉を木の棒に刺した、
「どうするの?」
「焼くんだ……」
「ウルフの肉を食べるの!?」
「ああ……」
「街で何してたの?、普通食料品くらい買うでしょ~」
「あまり持てない物を今食べる必要は無い……」
「へ~……、美味しいの?」
「食べたいなら剥いでこい……」
ガルーダは草木の無い砂の場所に木の枝を集めてマッチで火をつけた、気づけば日が沈みかかっていた、
「今日はもう休むの?」
「日がある内に休み……沈みきった夜にまた動く」
「道は分かるの?」
「ああ……」
「でさぁ、さっきの話しだけど…」
「………」
「お願いだよ…一緒に……」
「勝手な行動はするなよ…」
「じゃあ!」
「後……俺の言うことは聞け……」
「うん!うん!聞く聞く!」
「なら今は食べて休め……」
「はい師匠!」
「……おい……師匠になった覚えはない」
「でも名前で呼ぶよりは」
「……わかった」
「♪」
「お前の名前は」
「アタシ?、名前なんて無いよ……アタシはアタシだもん」
「…………」
ガルーダはその言葉を聞いて昔の事を思い出していた、今の言葉と同じことを言った女性をおもいだしたのだ、その女性はアイリスという名前だった、気が弱くいつも人の後ろに立ち、綺麗な笑顔を振り撒いていた、そんな昔の記憶だった、
「…イリス………」
「え?なに?」
「これからお前をイリスと呼ぶ……いいな」
「それってアタシの名前!」
「不満か?」
「ううん!全然不満なんかじゃない!」
「そうか……さあ食べろ…これからまだ歩くからな」
ガルーダはそう言うと、焼いていたウルフの肉をを渡した、イリスはそれを受け取り恐る恐る食べる、
「美味しい!」
「そうか…」
イリスの笑顔、それは本当にいい笑顔だった、だからだろうか、その笑顔につられてかガルーダも笑顔になっていた、
「やっぱり優しいね」
「!?…………」
ガルーダは少し気恥ずかしくなり黒いハット帽子を深く被った、
「?」
その時ふと気がついた、イリスの足に残る深い切り傷、綺麗に塞がっているものの、まだ生々しいさが残っていた、だが傷が気になった訳ではない、その傷後を見たことがある気がしたのだ、
「師匠?」
「…………」
自分が歩んできた街、その何処かでこの傷後を見たことがある気がした、それはガルーダが忘れていた記憶、ガルーダはその傷後をどこで見たかを思い出して、はっと気づいたようにイリスを見た、
「そうか!」
「え!?どうしたの師匠!?」
「イリス…お前を何処かで見たことがあるような気がしていたのだが、お前……ガダフのスラム街にいたあの子か?」
「……そっか……覚えててくれたんだね」
「8年前の事だから思い出すのに時間がかかった、そうかお前が………随分変わっていたから気づかなかった」
「あの時はボロ切れみたいだったでしょ?、こんな服きてるからわからなかったんだよ」
「いや………俺は人の顔を忘れない、だがわからなかった……その理由はお前の目だ」
「目?」
「昔のお前は確かにズタボロだった、だがお前はそのスラム街の中でも一番すさんだ目をしていたのを覚えている、だが………今は夢を……光を手に入れた目だ」
「そう……かもね♪、」
ガルーダは昔のイリスを思い出していた、ガダフという街は表と裏が激しい街だった、表は金持ちが多く住むセレブの為の街、だがその裏が問題だった、ガダフには荒くれ者が住むすさんだ場所それを仕切る三大勢力、その場所では法や情けはない、あるのは自分の身を守る武器と酒だけだった、その時ガルーダはこの街で一目置かれるスラム街の情報屋を訪ねていた、そこで出会ったのがイリスだった、
「ふざけんなよクソガキ!!」
その声は怒り狂った声、ガルーダは話しの腰を折られてイラッとした、
「また始まったか、最近はピリピリしていけねぇ」
「………ちょっと待っててくれ」
「構わないけど、どうするんだい?」
「………黙らせる」
ガルーダは情報屋の人間にそう言うと外に出た、すぐに気づいたのはその場に漂う血の臭いだ、次に目にはいる光景はこの場所ではよくある光景だった、何人かの男女が首を切られて倒れている、そしてその中心で今にも殺されそうになっていたのがまだ幼いイリスだったのだ、だがその時の状況はガルーダには関係なかった、
「たすけてー!!」
ガルーダには少女が助けを求めている事、他に理由があるとすればうるさかったからだろう、ガルーダは少女を殺そうと刀を構えている男の腕にナイフを投げた、
「死ねクソガキ!」
「いやぁ!!」
ザク!!
「グアァ!、なんだこのナイフは!!」
ナイフが刺さった事で刀を落とし男はうずくまってしまった、ガルーダはその間に少女の元に歩いて行った、
「……大丈夫か?」
「……うっ!」
「足を切られたか……病院に連れていってやる」
「……いや」
「…………怖いか?」
「………」
少女は首を縦に振った、この少女にとってこの場所は全ての者が敵に見えるのだろう、だがそれは悲しい事だ、ましてやまだ10歳にも満たぬ子供が全ての人が敵に見えるなど、
「……逃げるな」
「え?」
「……自分から壁を作るな……人を信じるのは辛いかもしれない、だが……信じなきゃなにも始まらない」
「………」
「まだ……怖いか?」
「……」
「お前!!、黒いハット帽に黒いマント、お前大犯罪者黒き浪士ガルーダか!!」
「!?」
少女はそれを聞いてどう思ったのだろう、少女は驚いてはいたが、その目には少しだけ光が見えた気がしたのだ、ガルーダはそこでゆっくりと立ち上がり、その男に………いやまるで自分に言い聞かせるように言った、
「最近の人間は全てをはき違えている、明日を守るとは人々の笑顔を守る事、未來を守るとは生まれ来る子供たちの事、今を生きることも出来ない者はここから立ち去れ!!」
「いきなり説教こいてんじゃねぇよクソヤロウ!!」
男はそう言うと少女に向けて落とされた刀を投げた、
「いや!」
グサッ!
「………」
「なっ!?」
ガルーダは自分の左足を少女の前に出し刀から少女を守った、左足には刀が突き刺さっている、だがガルーダはひるまなかった、刀が突き刺さったままガルーダは男の首に勢いよくナイフを投げ、そのナイフは命中し男は脱力したように倒れた、ガルーダは左足に刺さった刀を引き抜き少女に振り返った、
「私はお前を病院に連れていく、私も治療を受けないといけないしな」
「……どうして…」
「私はもう世界に嫌われた存在だが、お前はまだ世界に嫌われたわけじゃない、だからお前は生きるんだ……生きていれば良いことがあるかもしれない」
「……うん」
「よし……行こうか」
その時がイリスとガルーダの初めての出合いだった、
この小説の続きを書くかは評判が良ければ書きますので、よろしくお願いします。