春と花粉と
初めまして。透です。
ご覧いただきありがとうございます。
この物語は、人の性格や感情が「色/極彩」として表現される世界で、まだ自分の色を知らない少年が「色」と出会う、そんな学園青春モノです。
楽しんで見ていただけたら幸いです
「今日の君は青いね、今私たちが見てる空みたいな、きれいな青。」
教室の角、最後列の窓際。
そこに座る僕を見て君はそう口遊む。
それは何を言っているのか、何を見てそう思ったのか、言われてる側からしたら何も分からない。
これからの見る景色が、彩りが、そうなる事も。
ーーっくしゅん。
「こんな季節に散りやがって・・・」
春、この季節に飛ぶ花粉を僕は許さない。
中学を卒業して今春、苦手な学業を極限まで追い込み合格できた高校へ入学した僕は、アウェイな教室へ初入場するやいなや、花粉症に苦しめられている。
これから青春を謳歌するというのに、こんなもの(花粉)に付きまとわれては良いスタートとは言えない。
「おいおい、秋ったら高校でもくしゃみとオトモダチなのか?」
煽るような口調で前からニヤニヤしてくるのは、幼稚園の頃からの幼なじみである木村優也。
くしゃみをすると必ずと言ってもいい程に花粉症煽りをしてくる。お前もなってしまえばいいのに。
「花粉症の辛さを知らないのに何を言う。そんな優也はボールと友達でしょ?」
「あったりめーよ、仲良すぎて結婚するわ」
「勝手にしてろ」
優也は小学二年生の時からバレーボールをやっており、夢はバレーで世界一!なんて言って熱を持ち、今も部活で夢を追いかけてる努力家だ。
親同士が仲良いのもあり、よく公園で遊んだりもしていた。
ちょっぴり阿呆な部分もあるが、何かあれば声をかけてくれるし、勉強も部活も人一倍努力家なところはとても尊敬してる。僕の親友だ。
「そういや秋、お前部活はどうしたんだ?」
「あー、迷ったけど帰宅部っていうのも気が引けるし、吹奏楽部にでも入ろうかと・・・」
「吹奏楽だ?! お前、まさか秘密でピアノのコソ練してたのか」
「嘘だよ、ドレミすら弾けるか危ういぞ」
「それは俺でも弾けるんだが」
なんて冗談交じりの会話をしながら、下校のチャイムを聞いて二人で靴箱へ歩く。
こんな風に優也とも同じ学校になれて、いわゆるバカ話をしながら歩くのも安心感がある。
「んで結局、何部にしたんだよ」
「美術部にした、絵描くのは好きだし、噂で聞いたんだけど幽霊部員になってもバレないらしい」
「お前はなからそれが目的だろ」
「あれ、バレた?」
絵を描くことが好きなのは間違っていない。早く帰ってゲームしたい気持ちはもちろんあるが、模写などは昔から好きなアニメキャラなど描いてた事もあり、色の使い方などを教えてもらえそうだとも考えて美術部に決めた。
来週から活動が始まり、部員の人らとも初めましての挨拶があるらしい。緊張もあるが、心のどこかに楽しみな気持ちもあった。
どんな人がいて、どんな事を教わることができるのか、そんな事を考えながら歩く帰り道。
その時はまだ、僕は僕自身の「色」なんて気づくこともなかった。
第1話、というより冒頭のみに近いですね。短いものではありますが読んで頂き、ありがとうございます。
初めて小説を書いてみたのですが、いきなり主人公が「花粉症」という状態から始まるものは中々ないかと思い、書いてる私自身も新鮮だなと改めて思います。
秋は、自分の色をまだ知りません。そんな彼が美術部という場所で、これからどんな「極彩」の世界に巻き込まれ、グラデーションのように変わっていくのか。そして冒頭で彼を「青い」と呼んだ彼女の正体とは……。
気になる展開が出てきたかなと思います。
もし続きが気になると思ってくださったら、評価/感想等お待ちしております。




