その日、僕の運命の歯車は狂い出した。
新作です。
ギャグです。
この世には《天才》と呼ばれる人達がいる。記憶力、思考力、ひらめき、そんな頭脳的なものから、芸術、スポーツなどのセンス的なものもある。
僕、久遠光一は高校生でありながら、少しだけ世の理を知っている。 数式を見れば法則が浮かび、機械を見れば構造が読める。父親は有名な科学者であり、彼も天才と呼ばれていた。僕もその後を継いで科学者になるつもり...だった。
秋に差し掛かり涼しくなってきた頃。親父が俺のところに来た。普段は研究室にこもりっぱなしの、冬眠中のモグラのような親父が、だ。
「おい、光一。今日は俺の研究所に行くか。」
「いいの?親父。」
そんなこんなで親父が働く研究所にやってきた。
―――久遠・八百万総合研究所。そこが親父の働いている研究所だ。日本有数の大型研究機関である八百万科学会と親父の親、つまり僕の祖父が始めた久遠科学研究會が共同で作った世界レベルの研究所だ。そこには様々な《天才》がいるのだろう。楽しみだ。
「なあ、親父。あそこにいるの女子高生だよね。あれも研究者なの?」
あちらから女の子が走ってきている。
「あ、ああ......まあな...うん」
親父が冷や汗を浮かべている。
嫌な予感
僕に気づいたようで、手を振っている。
やめて。来ないで。
そんな僕の神に願う気持ちも届かなかったようだ。僕の前で少女は立ち止まった。
「君、1年の久遠光一君だよね?」
ひいぃっ。ス、ストーカー!(んなわけない)という心の声を殺し訊いた。
「そ、そうですけど。なぜ知ってるんですか?」
「ありゃりゃ、私のこと知らない?八百万那智だよ。」
「ああ。」
僕は心の中で納得した。八百万先輩は有名だ...悪い意味で。頭はいいらしいけど
「私が君を知っているのは、君が久遠先生の息子だからだよ。知ってて当たり前じゃん。」
「あー...那智さん。なんで俺の息子に用があるんです?」
親父が苦笑いして訊いている。
「私が、光一くんに用があるのはぁ.....ずばり『ちょうどよさそうな頭脳してるじゃん!助手になってよ!』だよ!。」
はあ?
「君は、頭もいいらしいし、なんたって久遠先生のお子さんだからね!」
「えっ、いや...あn「是非是非、こいつには色々学んでほしいですから。」
親父が僕の言葉を遮るように、ハイテンションで喋った。
あとから聞いた話によると、親父は那智先輩の親、つまりは研究所の所長に、「この放浪者もとい娘を落ち着かせたい」的なことを言われ、研究仲間を俺にすれば落ち着くんじゃね、と思ったらしい
謀りやがって...あんのクソ親父があああっ!と僕は荒れた。
とにかく、僕の人生は、見知らぬ女子高生にスカウトされたその瞬間、予定調和から完全に逸れた。それは人生においてプラスだったのだろうか。
もう一個の作品の方もおいおい投稿します。
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