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  作者: 十月志歩
9/20

零 9

零 の第九話です。

「実は君と零は兄妹である、とか。」

「………。」

「図星だろう?」

この男が言ったことは当たっていた。しかし、なぜこいつは知っているのだろう。

「どうやって知った」

「お、これにはあんたでも本性を現さずにいられないか」

「どうやって知ったか聞いている。問に答えろ」

明らかに男はこの状況を楽しんでいる。それがなんとなく、嫌だった。

「どうやって知ったか、は教えられないな。あんたも秘密は人に話さないだろう?」

こいつ……。

「…そうですね。ですが、その秘密を暴いたのもあなたですよ。」

「うんうん、いいねぇ、君の様な人の瞳が冷たく凍りつくの、嫌いじゃない」

話にならない。こいつには言葉がが通じないらしい。

「それはさておき」

男はニヤリと笑った。ハイライトのない、底無しに真っ黒な瞳でこちらを見つめてくる。

「零はどこだ?」

やはり、これが目的か。

「死にました。あの人は優しいから、人殺しの罪悪感で自殺しました。」

私はためらいなくすぐに答えた。これ以上零に迷惑はかけられない。

「自殺、ねぇ」

男は府に落ちなさそうに繰り返す。

しばらく経ってから男は言った。

「死んだなら仕方ない。あんたはもう帰ると良い。これがあんたの荷物」

男はどこからか私の荷物を取り出し、渡してきた。

帰り際、男はこんなことを言ってきた。

「また会おう」

正直、こんな奴とまた会うのはもう嫌である。

「運命の女神があなたに微笑んだなら、きっと」

女神よ、この男を思いっきり睨みつけてくれ。



家を出てから一時間後、愛から着信があった。

「零ぃ~!!久しぶり~!!!!今から家帰るわ~!!!!!!」

馬鹿に明るいこの声を聞いて、心の底からほっとした。

「何してたんだ、愛。心配したぞ。てっきり軍に捕まってたのかと」

「そぉんな訳ないじゃん!こう見えてもしっかりしてるんだから、私」

「説得力の欠片もない。」

「なぁんでよぉ!!!」

ひとまず、軍に見つかった訳ではなさそうか。安心した。

「実はね、零に言わなきゃいけなことがあるの」

「何だ?」

「…いや、やっぱなんでもない」

「変な奴だ。」

「変でもいいよ。零の傍にいられれば」

愛は手を握ってきた。

「…そうだな。」

今の俺の心拍数は多分とんでもないことになっている。




次回もお楽しみに。

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