零 7
お久しぶりです。
零 の第七話です。
「だけどもっと恐いのは、そんな恐ろしい武器を作れる技術力を持った誰かまたは国があるってことなんだよ。」
「…つまり?」
「だからぁ、技術があるんだからその人とか国を取り合う可能性が充分にあるの!そんなことになったら、戦争激化しちゃうでしょ!?」
「あ、ああ。確かにそうだな。」
「…私達、一体どうなっちゃうんだろ」
「さあな。」
そもそも我が国は第二次世界大戦の後、もう二度と戦争をしないと誓ったと習った。だが第三次世界大戦が始まったとき、当時の偉い人達は何も考えずに戦争に参加したらしい。アホだろ。そのせいでもう二度と戦争をしないという誓いが覆された。
こんな背景があるせいで国民は不安に駆られている。
「ねえ零。昔この国には自衛隊っていうのがあったんだって」
「知ってるよ。」
「その組織はね、国民を守るためにあったんだ」
「そうだな。」
「最初にうちらの国が他の国に攻撃したとき、どの組織が攻撃を実行したか知ってる?」
「……自衛隊だ。」
「でしょ」
「何が言いたい。」
「つまりね、私達を守ってくれる存在なんて結局存在しないってこと」
「…突然どうした。」
「いや、ふと思ったの。自分の国の国民を守る存在が、他の国の平和を脅かす存在になるなんて、皮肉だなって」
「お前、本当にどうした。ついにおかしくなったか?」
いつも楽観的なこいつがこんなことを言うなんて本当に信じられない。
「違うし! 戦争がおかしいって話。別に私がおかしい訳じゃないから!!!」
「そうか。ならよかった。」
「あっ。零めっちゃニヤニヤしてるし。馬鹿にしてるでしょ」
「してねえし。」
なんだか昔よくやった兄妹喧嘩を思い出す。よくこんなくだらないことで言い合いになったものだ。
「似てるな…」
ふと口から言葉が漏れた。どうしても愛を妹と重ねてしまう。
「え?誰に似てるって?」
愛が聞いてきた。聞こえてたのか。
「なんでもない。」
「ふうん」
別に隠す気はなかったのだが、とっさに隠してしまった。
愛軍曹と零軍曹に逃げられてから一ヶ月以上たった。彼らの居場所は未だ掴めない。もしかしたら愛軍曹か零軍曹の自宅にいるかもしれないと思って二人の情報を漁ってみたら、彼らの住所よりも先に、驚くべき事が分かった。
「二人のDNAか。なぜこんなものがとってあるのか。まあいい。この情報から髪の毛などを追って彼らのもとにたどり着けるかもしれない。」
僕は二人のDNAを解析にかけた。それから、ほんの好奇心で、二人の血縁関係を調べた。
結果が分かったとき、僕は唖然とした。
「兄妹…?」
機械が示していたのは、彼らが兄妹である可能性だった。
次回もお楽しみに。