愛 21
久し振りの更新、零 の第二十一話です。
零が死んでから半年。戦争は激化していた。今まで何の被害もなかったこの辺りも、頻繁に銃弾が通り過ぎるようになった。
避難中、仲の良い近所のおばちゃんが私の荷物を見て笑っていた。
「愛ちゃん、また避難にそんな大荷物抱えて~。遠足じゃないのよ? 」
「いやぁ~。家が焼けてしまうかもしれない! ってなると、中々持ってく物の選別難しくてぇ~」
咄嗟にいつものキャラ作りで愛想を作る。素性を隠すためには必要なことだ。
ちなみに、選別が難しかったというのは嘘である。警報が鳴った瞬間、必要な資料と食糧を即座にカバンに詰めて家から出てきた。大荷物なのは、戦争の資料がとんでもない量だったからで、余計なものは一切入っていない。
…いくら最新式の防空壕と言えど、爆撃の衝撃はちっとも抑えられていない。まるでバイキングにでも乗っているようだ。
「…いつになったら、戦争が終わるのかしら」
おばちゃんがぽつりと呟いた。それに続いて、若者達が声を上げた。
「そうだ。私達の自由はいつ来るの!?」
「食糧だってろくにねぇ。こんなのもう耐えられねえ!!」
「爆撃に怯える生活なんて、もうこりごりだ」
気付けば、防空壕は怒号で溢れかえっていた。
「そうよ、政府を叩けば戦争だって終わるはずよ! 」
女性の声が言った。それに賛同するように、声はどんどん増えていく。
気付けば、防空壕には私一人だった。
次回もお楽しみに。




