愛 18
零 の18話です。
あれから3日が経った。
私はまだ零の死から立ち直れていない。
零が死ぬ必要はあったのか? そもそもなんで私はここにいるのか?
そんな思いが頭をよぎる。
今日もあのロボットから情報源をしつこく聞かれた。
あの甘ったるい声が、嫌に上品な仕草が、最高に嫌いだ。
そんなことを考えていると、また男が部屋にやってきた。
「お暇ですか? ええ、私が話し相手になりましょうか?」
このニコニコとした表情には反吐が出る。
「結構です。それより、ここから出していただきたいです。」
「それはできません。あなたは知ってはいけない情報を知ってしまいましたからね」
「では私も殺せばどうです?」
「以前申し上げたでしょう。私は女性を傷つけることはいたしません。あなたが撃たれた事件も、実行犯が焦ってしまっただけであって、私は零さんは殺してあなたは生きて捕らえるように指示しましたからね」
男は自慢げに語った。
今すぐ壊れろよ。ゴミが。
「私を……。」
「はい?」
「女を傷つけないのは、そうできないようにプログラムされているからか?」
男の顔が少し曇る。
「プログラム、ですか。何を仰っているのか分かりませんね。もしや、まだ頭が混乱されていますか」
「私の頭はいたって正常に動いている。お前がアンドロイドであることは分かっているんだ。人間のふりをするのはもうやめたらどうだ?」
男はため息をついた。わざとらしい、人間らしいため息だ。
「ええ、確かに私はアンドロイドです。よく分かりましたね。_この話し方も、振る舞い方も、プログラムと訓練によるものです。_私の振る舞いは完璧だったはずです。どうして分かったのですか?」
「言うと思ったか?私はお前が嫌いだ。今すぐ壊れてほしいゴミだと思っている。_お前はゴミに向かって熱心に話をする人間を見たことがあるか?」
「なるほど、話してはもらえないようですね。_それにしても愛さん、急に口調が変わりましたね。およそ女性が話しているとは思えない。もしや、元々はヤンキー、いや、身内がヤンキーでしたか?」
ああもう。どんどん話がずれていく。
私が元ヤンだと見抜けるところは優秀だが、それ以外はゴミに近しい。
何か、今すぐこいつを壊せる道具は無いだろうか。
「ええ、図星でしたか?」
あった、鉄パイプだ。これで頭を打ち砕けば、壊せる!
私は男の頭に鉄パイプを振り上げた。
次回もお楽しみに。