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  作者: 十月志歩
16/20

零 16

零 の第十六話です。

目の前に立ちはだかっている高層ビルの中に入り、インターホンを押す。

相変わらずロックが解除されるのは速い。

エレベーターを出た所にあの男が立っていた。

「またお越しいただけて、嬉しい限りです。さあ、中に入って。お掛けください」

男の指示に従って、俺達は前と同じ場所に座った。

今度も彼はお茶を淹れてくれた。…飲みたくはないが。

先に口を開いたのは俺だった。

「さて、我々がまたここへ来た理由は分かりますね?あの時なぜ嘘をついたのか、そして、例の件の真相が知りたいためです。今度こそ、正直に、話していただきたい。」

「ええ、そうですね。先日お話ししたことはほとんどが嘘です。なぜ嘘をついたか知りたい、ということですが、理由はただ一つ。真実は私に都合が悪いからです」

「ではなぜ、真実を我々に話すと言って呼び出したのですか?」

「まあ焦らずに。_段階というものがありますからね。真実も話せば長くなりますよ?それでも良いのならお話ししましょう。_お茶を飲みながら、ゆっくりとね」

「お聞かせ願います。」

「まず、前回話したことはほとんどが嘘だと言いましたね。ええ、お察しの通り一部は本当です。あなた達を恨んでいる軍人がいるというところがね。けれど、愛さんを撃ったのは彼ではありません。他の男だ。

我々は三人で協力し、あなたと、愛さんを殺そうとした。_彼らとは昔からのちょっとした知り合いでね」

「つまり、あなたと他一人が指示役で、あと一人が実行犯だと。」

「ええ。私にもあなた方を始末したい理由がありまして_後程お話ししましょう。愛さんが一週間程失踪したことがあったでしょう?あの時は私たちが保護していたのです。そうですね?愛さん」

愛は戸惑ったように小さな声で「はい」と答えた。後で事情聴衆しよう。

「そちらの件についてもじっくりと話を聞きたいところですが、本日は愛が撃たれた件についてお話を伺いたいと思っております。」

「ええ、そうですか。では、続きといきましょう。」

部屋に茶の香りが広がる。

「まず、愛さんを我々が保護していた時に愛さんとのお話を担当していた男の話をしましょうか。

_彼は愛さんの、俗にいうストーカーというやつでした。彼は元美容師でね。客として店に来た愛さんに一目惚れしてしまった。彼はすぐに予約時の名前から、職業と住所、電話番号等を特定しました。それから彼は愛さんを監視するようになった」

「ひっ」

愛の顔が青ざめる。

「けれどある日、彼は愛さんが男性_零さんと歩いているところを発見してしまった。彼はあなたを彼氏だと勘違いしたらしい。それから彼は、あなたと愛さんを恨むようになった。彼は今回の事件の実行犯になりました」

男がにやりと笑う。

「どうします?これ以上聞くと後悔するかもしれませんよ?」

俺は少しためらってからこう口にした。

「いいえ。この事件の真相が解るなら、我々にとって一つの後悔など安いものだ。続きをお聞か願います。」

「そうですか。では、洗いざらいお話いたしましょう」

次回もお楽しみに。

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