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  作者: 十月志歩
11/20

零 11

零 の第十一話です。

「うわぁ~、今日も暑~い」

外に出て、思わず呟いた。

もう10月に入ったというのに、まだまだ30度を越える日が続いている。

私が一週間行方えをくらませたことがきっかけで、零は私に散歩はできるだけするな、どうしてもするならせめてサングラスとマスクを着けろ、なんて言ってくる。

シスコンか? …いや、あっちは私が妹だって気付いてないのか。

ま、私に散歩をするな、なんて無理な話だよ。

それにマスクなんて着けたら熱中症で死んじゃうし。

「サングラスかけたって、普通に私だって分かるでしょ。まったく、過保護よね~」

試行錯誤してもバレるなら、いっそのことしない。それが私のモットーだ。


色々考えつつ近所をブラついていると、木の上から微かに音がした。

動物が通ったとしてもありえない、金属の音だった。

「誰かいるの?」

と、問いかけてみた。

反応はない。

気のせいだったかもしれないと思い、警戒はしつつもその場を離れようとしたその時。

「バーン」という銃声と共に、腕に激痛が走った。

「っっ…!!」

狙われている。誰かが、私を殺そうとしている。

血塗れの右腕をおさえながら、木の上を見上げる。逆光で顔は見えなかったが、誰かがこちらに銃口を向けている。

これじゃ、避けられない。

木の上にいる人間は再びこちらに狙いを定める。

あ、終わった。

覚悟を決めて目を瞑った。

意識が途切れた。




「…い。あい!愛!!!」

男性の声で目が覚めた。

目の前には涙で顔がぐしゃぐしゃになっている零がいる。

「れ…い?」

口に付いている呼吸器のせいで上手く喋れない。

というか、私、生きてる?

「よかったぁ。生きてたんだな」

零が嬉しそうに涙を流す。

零は何で私が病院にいて、生きているのか教えてくれた。

銃声が聞こえたので、急いで外に出たら私が倒れていたこと。

急いで救急車を呼んで、私は何時間も集中治療室にいたこと。

三日間意識不明だったこと。

全部聞いて、私は号泣した。

零はもっと泣いていた。


「とりあえず、しばらくは入院になるそうだ」

「だよね~」

「愛。こんな状態で申し訳ないんだが、聞きたいことがある」

「何?」

「最近、ストーカー被害にあったりしていないか?」

「…いいや。多分ない」

「そうか」

零は渋い顔で何かを考え始める。

「ストーカーと今回の件、関係あるの?」

「まあな。だが、その件はお前が元気になったら話そう。」

「は~い」


零が帰ってから、私は再び泣いた。


生きていて、良かった


零が来てくれて、良かった


次回もお楽しみに。

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