予想外の人物
そんな雑談と共に、コンコンとドアをノックした。
「どうぞ」
ボスの声が聞こえて「失礼します──」といつも通り、ドアを開けた。
──そう、いつも通りだと思っていた。だから、ボス以外に人がいるなんて……夢にもおもわなかった。
「澪里、ただ今から復帰させていただきます。ご迷惑をおかけ──」
そこまで言って、ボス以外にも人の気配がしていることに気付いた。
下げていた頭を少し上げて、ちらりとそこに目線を向ける。
すると──そこには予想もしていなかった人物、レンがいた。
「な、んで」
そんな私の反応を見て、レンは口角を上げる。そして、口が動いた。
『探したよ』
もちろん、レンは声を出していない。
口の形を読んだ私は、サーっと、全身の血が引いていくような感覚がした。手が冷たくなる。冷や汗が止まらない。誰から見ても、蒼白だろう。
そんな私に気付いてか、ボスが言った。
「澪里? 大丈夫か? まさか、具合が悪いのか?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
(今は報告に集中しよう)
レンのことを頭から追い出し、悟られないように、いつも通りに微笑む。けれど、ボスはそれも見通しだろう。
「そうか。……お大事に。……それで、復帰してきたところ悪いが、早速澪里に任務がある。……無理そうだったら、断ろう」
「いえ、やらせていただきます」
ボスの気遣いが伝わる。たが、私だって、任務を怠りしたくない。
「……じゃあ、話そう」
そんな会話の中で、レンがにやけていたことには、当然、会話に集中していた私に、気付いているわけがなかった──




