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EP99
牧野さんは、少し慌てた様子で「そんなわけないでしょ」と言った。
取り調べは進む。
「それなら、蹴られた事はありますか?」
「ないないない」
「暴言を吐かれたことありますか?」
「暴言……ってか、まぁ嫌味っていうか……」
「ミスしたりすると、ネチネチグチグチ言ってくるわけですね?」
「そんな感じ」
「それは誰に対してもですか?」
「いや、お気に入りのやつには、そんなことはしない。だから俺は、嫌われてるってことになるよな」
「なるほど。それはキッツいですね。それで、牧野さんは、職場を代わりたいと思ってますか?」
牧野氏は、パンッと自分の両膝を叩き、そして叫んだ。
「ほらな!! あんたたちはすぐにそうやって、弱い方を追い出そうとするんだ!! だから言っただろ、この会社はブラックだって!!」
「牧野さん……」
「社長には悪いけど、この会社中身は腐ってんだよ!!」
まるで、刑事ドラマを見ているような場面。まさしくこれは、取り調べだ。カツ丼持ってきてーー!
けれど、今はそんなこと思っている場合じゃないや。




