EP87
すぐに井桁さんが、禁ファイルを出してきて、人事部の牧野さんの履歴書や資料を渡してくれた。
「牧野 周平。T大卒、D商社勤務の後退職、その後うちに来たようです。エリートですね」
「ええ、T大なら私の先輩じゃないですかあ。それなのに、後輩をいじめて何が楽しいんじゃー」
私は頭を抱えてしまった。
「面談します?」
「でも違う人かも知れないじゃないの」
ママがもっともなことを言う。
「だよね」
「要は落とせば良いんだろ」
「だめだめだめ! 落とすって何を!!」
そこは一番冷静な佐久間さんが、ため息をつきながら言う。
「まあ、こっちからなんらかのアクションは出来ませんから、様子を見るしかないですね。投書の返信もしましたし、今後の動向を見守りましょう」
「わかりました」
私は努めて明るく、「じゃあ販売店さんの様子を見てきますね」
「社長、どちらへ?」
鋭い眼光の井桁氏。
「えっと…… 羽田町さんです。先日、設置したぷらっとかふぇの利用の様子を見てきます」
「私もご一緒します」
井桁さんが、すかさずキー置き場の扉を開けて、社用車のキーを取り出す。
「大丈夫ですよ、自分の車で行ってきます!」
いつものように井桁氏をまくために、さっとカバンを持って、ささっとドアへと回る。
すると。




