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EP83
すると、佐伯さんがあたふたとしながら「社長!! 全社員のを作るんですか?」と聞いてくるので、私もあたふたと答える。
「ももももちろんですよ! どちらの名札を付けてもOKに、しましょうや」
「そんな……私だけのために……」
「そんなことありませんよ。もしかして、苗字だけの名札が良いのにって思ってる人も、他にいるかもです。例えば、名前をイジられるとか、嫌いな上司に名前を『ちゃん』呼びされるとか」
佐伯さんが、ホッとした顔を浮かべる。
「それにしても、噂をすると本人がクシャミするって、都市伝説だと思ってましたけど……本当でしたね」
「ほんとです。マジなやつでした」
二人で目を丸くする。
「また今度一緒に、ドS氏の噂話に付き合ってください。私もねえ、攻撃したい時があるんですよ〜〜」
「それって、藁人形的な攻撃ですよね」
「面と向かっては言えないんですよ。恐いから」
散々笑い合ってから、その場で佐伯さんとは別れた。
あーなんかスッキリしたあ。
井桁さんに、カワウソ可愛いを忘れ去られて、ちょいザマあを仕掛けたくなっていたところだったので。
クシャミ攻撃、最高。




