EP82
「はい。わかりました?」
「リクエストの投書のアドバイスからも、その通りの印象でした」
「あはは。確か佐伯さんのお悩みのときも、『悩むな』の一言だったですもんね」
私と佐伯さんは顔を見合わせて、笑った。良かった、佐伯さんの緊張もほぐれてきたみたいだ。
「もちろん、匿名の投書で相談してくれてもOKです。ここ、こうしたら良いんじゃないかとか、お給料を上げてくれ以外なら、ちゃんと受け取りますので」
佐伯さんは、さらにふふふと笑い、ありがとうございますと頭を下げた。
そして私はさっそく、その場で井桁さんに電話した。
「あ、もしもし? 井桁さんですか? 」
『はい、ふぇっくしょーん……あーすみません、さっきからクシャミが止まらなくって。で? なんのご用件でしたか? はっくしょーい』
スマホから漏れる井桁さんのクシャミ連発に、私たちは声を殺して笑う。
「大丈夫ですかあ〜風邪かなあ〜〜(棒読み)えっとですね、社員さんの名札なんですが、至急苗字だけのパターンを作ってもらえますか?」
『え!? な、なん、で……はっくしょんふぇっくしょん……はーー。つら。ま、了解しました。それでどなたのやつを?』
「全社員」
『ん? は?』
「だから、全社員です」
『……わか……りまし……た』
「クシャミが終わったらで結構です。なるはやで、よろしくお願いします」
『はい……ふぁ』
「ゴッドブレスユーです」
そして電話を切った。




