EP81
「そうです。覚えていてくださったんですね。それで、社長には真摯にアドバイスをいただいて、気持ちが楽になったので、いつかお礼をと思ってて」
「えーーそんなこと全然気にしなくて良いのに! でもあのアドバイス、みなさんの役に立っているのかどうかがイマイチ微妙だったので、そう言っていただければ嬉しいですよ」
「何を仰るんですか。あれ、最高ですよ。社員の皆さんも、毎日読むのが楽しみだし、癒されるって言ってて」
「本当ですか! やったー!!」
私はグッと拳を握りしめた。
「その後、お仕事はどうですか?」
「はい。あのアドバイスを胸に、皆さんに迷惑にならないように、頑張ってます」
あらら。
私は真顔で姿勢を直す。
「佐伯さんは周りに気を遣い過ぎかも知れないですね。気にせず、マイペースでいってください。もちろんそんな訳にはいかない時もあるかも知れませんが、忙しい日が続いたら、一休みする日も作ってと、心地よく働いてくれたらいいなと思います。佐伯さんみたいに、悩みながらも仕事に熱心に取り組んでくださる社員さん、うちには絶対に必要ですから。辞めたいなと思った時があったら、その前になんでも相談してくださいね」
「あ、ありがとうございます」
「ドS氏にアポだけ取ってくだされば、私もご相談に乗りますので」
佐伯さんは、ぶふっと吹き出して、「井桁さんですね」と言う。




