EP8
「それにしてもですよ。和菓子から洋菓子への鞍替えだなんて、ほんとよくやりましたよ。普通はリスクを考えたら、なかなかできません」
「ですよねーなんかうちらも知らん間にって感じでしたよ。毎日アンコ食べてたのに、いつからか生クリームに。ははは」
しかし毒舌が鳴りを潜めているなあと、油断していると。
「先代には大変お世話なりましたので、私でできることがあれば何でもやる覚悟でいます。千夏さん、これからあなたは社長として経営を引き継いでいかねばなりません。ビシバシいきますので、ついてこいやオラぁ!」
「はいー!!」
やっぱそうくるよねー。くっと眉間を指で摘んだ。
「さあ!! 社史から経営のなんたるかまで、勉強すっぞ!! 死ぬ気でやれ。サボるんじゃねーぞ!!」
ちょいちょい挟んでくる元ヤン臭。黒髪短髪だが前髪長しをかきあげる。もちろん、こっちも顔面偏差値は高い。キリッとした眉。キリッとした鼻筋の通った高い鼻。キリッと……まつげ長あっっ。羨ままつげ。まつげ合掌。
「千夏さんなぁ、先代が自分の子どものように大切にしてきた千堂屋だ。これからは千夏さんが盛り立ててくれやあ! 夜露死苦!!」
「は、はい! 頑張ります!」
決起集会かよ。