EP74
「連絡はすべて私を通してください」
『個人的に連絡を取りたいんです』
「それはお断りします」
『私は千夏さんにお聞きしているんですよ』
「千夏のスケジュールは、俺がすべて管理してるんだよ」
千夏呼びっっ、ちょ、わし社長!!
なんかわからないが、手話で通訳する間もなく、二人はガンを飛ばし合っていて、しかもなんか文脈もおかしくないし、会話が噛み合ってる!
私は、おいおいおい「ちょ待てよ!!」と、きむたく風に言いつつ、さらに二人の間に身体をぎゅむっとねじ込んだ。めっちゃ近い。奇跡のサンドイッチの出来上がり。
『とにかく、みなさん一度冷静になりましょう』
まあまあ落ち着きたまえと、私は二人を両手で、ぐいーっと離した。
『雅也さん。先程お渡ししました名刺に、私の仕事用の携帯番号が載せてあります。何かご連絡がありましたら、こちらにお掛けください』
「社長っ」
ふうふうと牛のように荒い息をしている井桁さんを、腕で制すると、『それではまた』と手話で伝えた。
『お見苦しいところをお見せしました。反省です。ご迷惑をお掛けしてすみません。それでは、またの機会に』
そう言って、雅也さんは帰っていった。
「何がまたの機会に、だ!! そんな機会は永遠に来ねえんだよ!!」
いや取引先ww
ちなみに井桁氏、なんでそんなに激怒なん?
訳もわからず、その日は興奮冷めやらぬという感じで、幕を閉じた。




