EP64
「どういうことですか?」
ん〝ん〝ん〝っと喉の調子を整えると、井桁さんは持っていた電話の受話器を差し出してきた。
保留音が鳴っている。
「社長、アニメマックスの方からお電話です」
「え? なんでそんな会社から? アニメマックスって、アニメ制作会社ですよね?」
「はい。どうやら、お仕事が舞い込む予感がしています」
井桁さんがいつもより緊張しているみたいに見えた。あの井桁氏でも、緊張するなんてこと、あるんだな。
「はい。お電話代わりました、千堂でございます」
『アニメマックスの広報課、斎藤です。初めまして』
「は、初めましてっ」
『本日は貴社が販売していらっしゃっている『お抹茶あずきのぷちけぃき』について、お願いがごさいまして、電話した次第です』
そして、少し話してから受話器を置いた。
「社長! なんの話でしたか!?」
井桁さんが食い気味に問うてくる。
「やりました! 快挙です! 聞いてください、皆さん! アニメマックスが制作し、今絶賛放映中のアニメ、『俺の妹に彼氏ができたので、その彼氏がどんなやつか見極めようとしたら、なかなか出来た漢だった件』略して『妹彼』に、うちの『お抹茶あずきのぷちけぃき』を使いたいと!」
「コラボってこと?」
「マジか、すげぇ」
「千夏ちゃ、社長! 凄いじゃないのお」(あれ? ママいたの?)
「ちょっと小山田氏に報告してくる!」
私は役員室を飛び出すと、エレベーターに飛び乗った。
突き指するかぐらいの連打で、ボタンを押し、開発部に向かう。




