EP63
「えええ? ど、どうしたんですか?」
ごくんと唾を飲む。私、何かやらかした??
「違う違う! 社長のやらかしじゃないよ。開発部の小山田さんが開発した『お抹茶あずきのぷちけぃき』税込350円の商品が、インスタで見事にバズったよ!!」
「本当ですか!! あの『妹の彼氏が挨拶に来た時に持ってきてくれると嬉しいスイーツ』がコンセプトの!!」
「そう! 見事にそれ!」
見事にそれ??
どいう意味よ。
「女性雑誌アムアムでね、『妹の彼氏が挨拶に来るときにいただきたいスイーツランキングで、見事1位になったんだよ!!」
なんなん、そのランキング? しかも、ど真ん中いっちゃってるww
「えええ! まあとにかく、ありがたいですね!! で? もしかして増産?」
「もちろん」
「うわあ、やばあい、嬉し〜い」
私は両手を上げて喜びを表現した。すると、佐久間さんが、ハイタッチしてくる。ち、違うけどま、いっか。パチン。
「やったね。包装紙に書いてある、あのイラストがドンピシャで良かったみたい」
「えーーーあの彼氏、可愛いですもんねーー」
「あの妹もね〜〜いえーーーい」
ハイタッチ。
「まだ朗報は止まりませんよ」
すると、背後から厳しめの声が掛かって、私たちは振り向いた。井桁さんだ。




