EP62
「わわわ、泣かないでください。釣られちゃうじゃないですかあ……ぐすぐす……でもそうですか。お母さま元気になって良かったですね」
ニコッと笑う。
「お、おう」
先代と同じ匂いがした。
優しくて善良な人なのかもしれないも思い始めている自分がいる。
あれ? カワウソだと思っていたが、なんか人間に見えてきたかも。人間としてもちょっと可愛いかも……←何気にひどい扱い
「ん゛ん゛ん゛。まあとにかくだ。あんたは社長就任してから、頑張っていると俺は思う。佐久間っちも……佐久間副社長も同じように、社長のこと認めている。あんた気がついてないかも知れないがな。本社の雰囲気、すげー良くなったし」
「そうなんですか!?」
「ああ。残業がなくなって心に余裕が出来たんだろうな。残業なしにした分、こなせる仕事のキャパは減ったが、役職付きの人間が仕事内容を精査して、かなり削ぎ落としてシンプルにしたって報告があったからな。仕事のパフォーマンスは上がってると思うぞ」
「それは良かったです」
喜びの表情を浮かべた。
ん?
俺は目をごしごしした。
んーー
……可愛いかもな。←ww
*
「社長大変!」
朝、出社したら珍しく語尾が伸びていない佐久間さんが、慌てたように駆け寄ってきた。




