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毒舌秘書は社長の私を放っておけない。  作者: 三千
秘書井桁氏と先代社長の出会いとドSになった経緯
60/146

EP60


「井桁くんだったね? キミ採用。でも、さっきも言ったけど、赤字の会社なんだよ。だから、色々と勉強して相当頑張ってもらわないといけないけど、それでも良い?」

「え?」

俺は頭の中、パニックになっちまって。

「え、あ、も、もちろん! 勉強は苦手だけど、覚えは良い方だからな。掃除でも下働きでもなんでもやってやらあ! って、夜露死苦っす!!」

「ああ、こちらこそ夜露死苦ね。でも、やってもらうのは、私の秘書ね」

「は??? ひしょ?? ひしょってのはなんなんだ?」

「あれ? もしかして求人内容見てない? ん……まあおいおい、やっていけばいいか。そうだ。ビジネススーツを一着買っておいで。それ着て明日の朝、9時にここ役員室に来てよ」

そう言って、サイフから万札を数枚出して、俺の手に渡してくる。頭沸いてんのか、この社長……どこの馬の骨ともわからねえ輩に金だなんて、この金を持ってトンズラのパターンは考えねえのかよ?

「もちろん靴とカバンもね。あと手帳……は、私が用意しよう。わかったかな?」

「わわ、わかった!!」

俺は唾をごくっと飲んで、万札を握りしめた。金がどうとかじゃねえ。人生で初めて、信頼して貰えたんだと思った。

「そして、秘書ってのがどんな仕事なのか、その時点でまだわかってはいなかったんだけどよ、『千堂屋』のビルを見上げて、俺はやってやる!! って心に誓ったんだ。それでな、っておい、聞いてんのか?」

現社長を前にして、俺はギロッと睨みをきかせた。

「聞いてますっ聞いてますっ」

「ってか、社長が先代との出会いを教えて欲しいって言い出したんだろうがよ」

「ですです!!」

まったく、とぶつぶつ言いながら、俺は話を再開した。

「それで、まずは社長について回ってよ。色々な仕事内容のあらゆることを、手帳に書かされたんだよ」

で、書いて書いて書きまくってたら、めっちゃ字が上手になってな。一石二鳥ってわけだ。

で、ある日。

「井桁くん、新商品の件だけど、なんか改良点ってある?」

「改良点は、まず甘過ぎるってことと見た目がイマイチってことだろ。だがな、アンタはまずは社員に相談しろっての!!」

「わ、わかった」



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